2024.11.25 UP 子ども第三の居場所
2024年度「子ども第三の居場所」フォローアップ研修会を11月7日・8日の2日間、東京海洋大学楽水会館と白鷹館を会場に開催した。
本研修会は「子ども第三の居場所」の拠点マネージャーや自治体担当者を対象に、外部講師による基調講演や事例発表、児童の個別ケースから支援方法を学ぶケーススタディ、分科会等を通じて、他拠点との連携を促進し、拠点運営における課題の解決や支援の質の向上など、今後の円滑な運営につなげることをねらいとしている。
研修スケジュール
今年度は「不登校を共に考えよう~未然防止と支援のあり方~」と題し、不登校の子どもたちの支援をメインテーマに実施。33拠点35名の拠点マネージャーが参加したほか、各自治体担当者40名以上がオンラインで参加し、様々な意見交換が行われた。
1日目 | 2日目 |
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開会挨拶 | 事例発表① 「不登校支援による子供の変化および関係機関との連携」 発表者:群馬県明和拠点MG 足立 崇 氏 |
参加者紹介 | 分科会① テーマ:「関係機関・関係者との連携」 |
子ども第三の居場所 事業進捗報告 | 事例発表② 「不登校支援における保護者への対応および専門家との連携」 発表者:兵庫県南あわじ拠点MG 合田 尚美 氏 |
基調講演:「不登校を共に考えよう~未然防止と支援のあり方~」 講師:新潟大学教授 神村 栄一 先生 |
分科会② テーマ:「保護者支援」 |
ワークショップ:「ケーススタディで学ぶ居場所型不登校支援」 講師:認定NPO法人カタリバ川合 裕子氏、内藤 沙織 氏 |
閉会挨拶 |
開会挨拶
開会にあたり、B&G財団理事長 菅原悟志は、文部科学省が公表した「問題行動・不登校調査」の結果では、不登校の児童生徒は全国約34万6000人で過去最多を記録。こうした学校に行きづらいと感じる子どもたちが安心して過ごせる場所を作っていくことが重要としたうえで、「未来を支えていくのは子どもたち。子どもたちのために真剣になって、皆さんと一緒に歩んでいきたい」と述べた。
基調講演 「不登校を共に考えよう~未然防止と支援のあり方~」
新潟大学人文社会科学系教授 神村 栄一氏
不登校支援を含めた教育相談に長年携わり、認知行動療法を中心とした研究が専門の神村教授は、具体例を交えながら不登校と生活習慣の関連性や「令和型不登校」の傾向について説明。参加者は「子どもの心のエネルギーを回復できる場があることが大事だと知った」、「不登校の背景にある生活習慣の乱れについて学ぶことができた」といった声が上がった。
ワークショップ 「ケーススタディで学ぶ居場所型不登校支援」
認定NPO法人カタリバ 内藤 沙織 氏、川合 裕子 氏
不登校の子どもたちへの支援方法について、現場での事例を基にしたケーススタディを行い、運営マネージャー同士で活発な意見交換を行った。内藤・川井氏は、複雑な心境を抱えた不登校の子ども達にとって、保護者でも先生でもない「ナナメの関係」の対話がカギであるとし、子どもたちのありのままを認めて受け止める支援の必要性を語った。
事例発表・分科会①(群馬県明和拠点)
はじめに群馬県明和拠点の足立マネージャーが「不登校支援による子供の変化および学校との連携」について事例発表を行い、「関係機関・関係者との連携」のテーマで分科会を実施した。
分科会は、補助事業・運営委託・直営の拠点の運営形態ごとにテーブルを分け、それぞれの拠点が実際に行っている連携について情報共有と意見交換を行った。
事例発表・分科会②(南あわじ拠点)
続いて、兵庫県南あわじ拠点の合田マネージャーから「不登校支援における保護者への対応および専門家との連携」と題し、保護者支援の事例や医療機関と連携した新たな角度での不登校支援について発表した。 分科会では「保護者支援」をテーマに、各拠点の保護者支援に関する成功事例や失敗談を共有し、新たな気付きや発見につなげた。
閉会挨拶
閉会にあたり、B&G財団常務理事 朝日田智昭は「今後も様々な課題を抱える子どもたちのために、安心安全な居場所で、子どもたちの自立する力を育んでいきたい」と述べた。
参加者の声
・今回の基調講演を聞くことで不登校支援についてたくさんの学びを得ることができた。
・睡眠と食事習慣の大切さや、学習内容の整理整頓の必要性、ストレスを感じさせない声がけなど知らなかったことをたくさん吸収することができた。
・全国の拠点マネージャーとの交流を通して、各拠点の課題や悩み等を共有でき、新たな活動への意欲につながった。
・各拠点の特色ある取り組みを知れて、今後の運営の参考にできた。
参加者は「不登校」という課題に対し、様々な観点から支援のあり方を考察し意見を共有した。今回の研修を通じて、拠点運営に活かせるネットワークが強化され、今後の活動に弾みをつける研修会になった。