事業内容を知る 「子ども第三の居場所」
12月16日(木)~17日(金)の2日間、長野県大町市の「フレンド・プラザ大町」で「子ども第三の居場所」フォローアップ研修会を開催しました。
この研修会は、各拠点が抱える課題解決や支援の質の向上を図るため、各拠点の取組紹介や外部講師による講演、分科会でのディスカッションなど情報共有を行い、今後の運営に活かすことをねらいとしています。
B&G財団が支援する16拠点から、45名の自治体担当者ならびに運営マネージャーが参加しました。(うち14名はリモート参加)
研修内容
各拠点の取組紹介
各拠点の取組紹介では、こども食堂と連携した調理実習や外国人支援員による英会話、野菜収穫体験、植樹活動、職場見学会など、地域性を活かした独自の支援プログラムについて説明がありました。参加者はメモをとりながら、自分たちの拠点で取り入れられるプログラムを思索していました。
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1日目 自己紹介、各拠点の取組紹介 B&G財団からの報告 講演「子どもたちの自己肯定感の育み方」
日本ほめる達人協会 松本秀男 専務理事事例発表①「自己肯定感を育む支援」
大分県杵築拠点事例発表②「自己肯定感を育む支援」
北海道東神楽町中央拠点 -
2日目 大町拠点視察 分科会 日本財団からの事業報告
講 演
日本ほめる達人協会 専務理事 松本秀男氏に「子どもたちの自己肯定感の育み方 ~課題を抱える児童への言葉かけやコミュニケーションの取り方について~」と題し、講演いただきました。
子どもへの声かけやあいさつの効果的な使い方をはじめ、「ほめる」を他の人と比べるような評価や操作ではなく、応援や勇気づけに使うことが大切であることなどを説明いただいたほか、話の聴き方のポイントやコツについてお話いただきました。
マネージャーに求められるチームビルディングにも活用できる内容となっており、参加者からは、「子どもに限らず、保護者や関係者への対応にも役立つ内容だった」「拠点スタッフにもっとねぎらいの声かけをしていこうと思う」といった声が聞かれました。
事例発表
杵築拠点の小畑さん、東神楽中央拠点の小林さんから事例発表をいただきました。
①杵築拠点
杵築拠点では、基本的生活習慣の欠落や不安定な食生活(欠食や偏食)、意思表示のない子どもなどの課題解決に向け、関係機関と連携を深めるとともに、発達障害に関するスタッフ研修などを実施し活動内容や環境の見直しを行っていると説明。
「ふつうに生活する」という継続的な取り組みを大切にしながら、誕生会やクリスマス会、各自でお客さんを招待して一緒に過ごす「こどもカフェ」など各種イベントを実施。
今年度は、生活能力・意欲や自己肯定感の向上、地域交流をねらいとして「こどもキッチン」と「おたのしみ旅行」を実施。おたのしみ旅行は、行程をすべて子どもたちが計画した旅行が実現したことで、子どもたちが自信と達成感を持てるようになったとのこと。
小畑さんは「子どもの育ちは一朝一夕にはいかず、振り出しに戻ってまた始めることの繰り返しです。笑顔で過ごせること、対等の関係で会話できることが子どもの自己肯定感につながり、必ずや将来の育ちに寄与するものと確信しています」と話しました。
②東神楽中央拠点
東神楽中央拠点では、日々の学習支援、活動支援のほか、子どもが自発的・意欲的に自立した生活を送ることができるよう、乗馬やラフティング、調理、木工など、地域性を活かした体験活動に力を入れています。
体験活動を継続的に行うことで、自己肯定感が高まり、「漢字テストで満点をとれた」「一人で料理ができるようになった」「電動工具が使えるようになった」「できたことを担任の先生に自慢気に報告した」など、子どもたちに良い変化が起こっていると説明。
今年度は、生活能力・意欲や自己肯定感の向上、地域交流をねらいとして「こどもキッチン」と「おたのしみ旅行」を実施。おたのしみ旅行は、行程をすべて子どもたちが計画し、旅行が実現したことで、子どもたちが自信と達成感を持てるようになったとのこと。
小林さんは「拠点での生活を通して、子どもたちが自信を身につけ、その自信が日々の生活に良い影響を及ぼすよう、今後もさまざまな体験活動を提供していきたい」と話しました。
大町拠点視察
2日目は大町拠点を視察。運営マネージャーから3年間の取り組みの成果や、不登校傾向の子どもの登校支援や医療機関と連携した医師の所見に基づく支援計画の策定など、活動事例を説明いただきました。参加者は家具や器材のレイアウトを写真に収め、活動の詳細を拠点スタッフに熱心に聞いていました。
分科会
分科会では、「運営3年目」と「運営1・2年目」の拠点に分かれてディスカッションを行いました。運営3年目のグループでは、国や県の補助金活用状況や4年目以降の運営計画、運営1・2年目のグループは、現在抱えている悩みや課題などについて話し合い、情報共有を図りました。
2日間の研修会を通して、「子どもたちの成長を見据えた活動計画やプログラム展開など、学ぶ点が多かった」「この研修で知り得た魅力的な活動を実施していきたい」「運営に関する様々な工夫を聞くことができ有意義な研修だった」といった感想が寄せられ、今後の活動に弾みのつく研修会になりました。
家庭環境や経済的理由などさまざまな事情により、家で過ごすことが困難な子どもたちが、放課後から夜間までの時間を過ごすことができる拠点として整備を進めている「子ども第三の居場所」。開設準備中も含め、全国98ヵ所に設置されています。