2023.11.06 UP 防災拠点事業 子どもゆめ基金
11月3日、4日の2日間、岐阜県可児市内に住む日本人や外国人を対象に、防災に関する基礎知識を親子で楽しみながら学ぶことができる「多国籍防災キャンプin可児市」を可児市B&G海洋センターで開催した。この事業は、可児市に暮らす外国人や子どもが安心・安全に暮らせる豊かな地域社会を目指すことを目的に実施。この活動の一部は「子どもゆめ基金」事業の助成金で行われた。
当日は日本人やブラジル人、フィリピン人など、54人が参加。防災に関するゲームや、ランタンづくり、救助艇体験などを通し、いざという時の備えについて学ぶとともに、異なる国籍の住民同士が交流を深めた。
開会の挨拶で可児市の冨田成輝市長は、毎年のように同市では台風や大雨で水害の危機に瀕している現状に触れ、「災害はいつ起きてもおかしくないという気持ちは忘れず、今日は楽しみながら防災について学んでほしい」と述べた。
また、主催者挨拶でB&G財団理事長 菅原悟志は「災害時には国籍関係なく助け合うことが重要。今日は国際交流を図りながら防災の知識を深めてもらいたい」と述べ、参加した子どもたちに「この素晴らしい可児市の将来を支えてほしい」とエールを送った。
イエスノーゲーム&バケツリレー
まずは参加者の交流会を図るためイエスノーゲームとバケツリレーを実施した。イエスノーゲームは、正解の無いクイズに2択で答えるものだ。「川が増水し、自分たちが即避難しなければならない状況の時に、隣に住む高齢者の様子を見に行くか、行かないか」という問いに、皆戸惑いつつもどちらかを選択。他の参加者の選択した理由を聞き、答えを変える人の姿も。このゲームでは、災害時には、何を選んでも後悔が生まれるような選択に迫られることが多々あること、災害が起きたとき、家庭でどう行動するか、予め決めておくことが重要だと伝えられた。
バケツリレーゲームは、伝言ゲームとバケツリレーを組み合わせたゲームで、バケツにたくさん入ったボールをこぼさないようにリレーしながら正しく伝言していくものだ。チームワークが試されるゲームで参加者同士の交流が図られた。
身近なものでランタンづくり
可児市立西可児中学校教員の大前雅紀氏を講師として、ペットボトルやアルミホイルを使って2種類のランタンづくりを行った。懐中電灯の光を水の入ったペットボトルにあてることで乱反射させ、周りを照らすという仕組みだ。またアルミホイルとタコ糸を用いたランタンも作製した。
ランタンづくりの後、段ボールベッドの組立も行った。組み立て方がわからず戸惑う子どもには周りの大人が優しくフォロー。
炊き出し体験
夕食は防災倉庫に移動し、炊き出し体験を行った。湯せん可能なビニールに米と具材と調味料を入れて作ったタコ飯、フィリピンの家庭料理アドボなど、普段味わうことのできない料理が並んだ。また、食事をするときは、照明を落とし、先ほど自分たちが作ったランタンを活用し、暗闇を照らした。
暗闇での謎解き&段ボールベッドで就寝
暗闇に隠された問題文をみんなで協力しながら探し出し、クイズに挑戦。子どもたちは食後すぐとは思えないほど全力で駆け回っていた。協力のかいあって見事全員全問正解!そして一日目の最後は、体育館で自分たちが組み立てた段ボールベッドで就寝し明日に備えた。
二日目は救助艇体験
二日目の朝、体育館で泊まった感想を子どもたちに尋ねると「いつもと違って眠れなかった」「ちょっと寒かった」「すぐ眠れた」と様々。人によって感じ方が違うからこそ、避難所運営の難しさを垣間見た気がした。
朝食でアルファ米や長期保存可能なパンなどを食べた後、川辺町B&G海洋センターへ移動。到着すると2グループに分かれ、交代で防災ビンゴゲームと動力艇や手漕ぎボートの救助艇体験を実施。動力艇のスピード感を楽しみ、波を超えるときに大きく船が揺れるたびに歓声が上がった。
こうして可児市、可児市B&G海洋センター、川辺町B&G海洋センター、地域の防災士の方など、様々な方々の協力のもと行われた、二日間の防災キャンプは幕を閉じた。参加した子どもたちからは「いろいろな国籍の人と交流ができて楽しかったし、話したことない子と仲良くなれて嬉しかった」という感想や、また保護者からは「これを機に災害の時にどうすべきか、家族で話し合おうと思う」といった声が寄せられ、多国籍の文化に触れながら、災害について自分事として捉えるきっかけに繋がった。
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