マンガふるさとの偉人

2024.02.15 UP 「北原白秋物語 二つの故郷」学習発表会でマンガを題材にした劇を披露(熊本県南関町)

日本財団助成事業

2月10日、南関町立南関第一小学校で学習発表会が開催された。子ども128人が歌や南関町のクイズを紹介する中、今年度から新しい取り組みとして、偉人マンガ「北原白秋物語 二つの故郷」を題材とした劇を、卒業直前の6年生が発表した。

  • 劇を発表してくれた6年生の役者たち

    劇を発表してくれた6年生の役者たち

  • 迫真の演技が会場を沸かせた

    迫真の演技が会場を沸かせた

南関町と北原白秋の関係

南関町には、北原白秋の生誕地である石井家(白秋の母・シケの実家)がある。幼少期は、休みのたびに19歳まで居住していた福岡県柳川市から、南関町に帰省し、祖父の書斎で読書をしたり、乗馬や水泳など山の自然を楽しんだと言われている。マンガは2022年度に完成し、白秋が育った二つの故郷(柳川・南関)での体験を中心に物語が描かれている。

  • 北原白秋の生誕地・旧石井家

    北原白秋の生誕地・旧石井家

  • 白秋43歳の時に家族と訪れた南関御茶屋跡

    白秋43歳の時に家族と訪れた南関御茶屋跡

劇シナリオは校長先生が作成

劇のシナリオはマンガをベースに、南関町立南関第一小学校の唐津校長が編集した。同小学校に赴任した際に、北原白秋が南関町にゆかりのある人物であること、同小学校の校歌の作詞をした人物であることを知り、この学校でしかできない特色のある取り組みをしたいと考え、学習発表会での劇発表を提案したという。

唐津校長は「初めての試みだったので、子どもたちや先生方が前向きに捉えてくれるか不安だったが、子どもたちも担任の先生も意欲的に取り組んでくれた。シナリオは5月の連休から編集に取り掛かり、マンガから文字おこしをしながら、まとめていった。」と話した。

  • 北原白秋作・南関第一小学校の校歌

    北原白秋作・南関第一小学校の校歌

  • 完成したシナリオを基に練習に励んだ

    完成したシナリオを基に練習に励んだ

いよいよ劇本番・・・!

劇本番では、様々な小道具や背景と共に、役になりきった子どもたちが劇を披露。緊張しながらも堂々とした演技は会場からの歓声を浴び、どの役も一生懸命、劇に向き合う姿が見られた。

劇は、子どもたちが演者・小道具・ナレーションに分かれ構成しており、昨年11月からの3か月間という短期間で完成させたという。練習から発表までの様子を見守っていた6年生の担任・立尾先生は「今回の劇は6年生全員が主体となり作り上げてきた。演技や道具作りの経験が浅い中、子どもたち同士手探りでやってきたので、今日の発表がどうなるか不安なところもあったが、保護者の方からの歓声があり、子どもたちのやり切った表情も見ることができ、劇の発表を通して子どもたち自身にも成長が見られたのではないかと思う。」と語った。

  • 白秋が川を泳ぐシーンは小道具(台車)で表現

    白秋が川を泳ぐシーンは小道具(台車)で表現

  • マンガ内の同シーン(左側)

    マンガ内の同シーン(左側)

閉会行事では、佐藤安彦町長が「今後は年に1回の学習発表会で、全6回に渡り毎年6年生が劇を発表すると聞いている。今の1年生も自分たちが6年生で劇を発表する日を楽しみにしてほしい。これからも楽しみながら自分たちの学習に励んでほしい。」と挨拶した。
また、偉人マンガ製作委員会のメンバーである元南関町教育長大里氏は「北原白秋のことを大切にしたいという気持ちがあり、また多くの町民の方に知ってもらいながら、南関町をみんなで盛り上げるためにもマンガ制作に協力した。来年の劇も楽しみにしている。」と話した。

6年生の劇発表の他にも、1,2年生が白秋の代表作童謡を合唱、3年生が北原白秋にまつわるクイズを出題するなど、北原白秋色に染まった学習発表会となった。

  • 1年生発表「雨ものがたり」

    1年生発表「雨ものがたり」

  • 2年生発表「あめんぼのうた」でも北原白秋が登場!

    2年生発表「あめんぼのうた」でも北原白秋が登場!

学習発表会終了後、6年生の劇で北原白秋を演じた子どもは、「みんなに伝わりやすいように大きい声で発表することを意識した。自分でもよくできたと思う。」と語った。他にも小道具、ナレーションを担当した子どもたちは「いい発表が出来て良かった!」「3か月の中で準備から発表までやり切れて良かった」と話した。

今後も偉人マンガを活用した学習を継続

今回の劇は、北原白秋が南関町で生まれてから文学に目覚めるまでのシーンを発表した。続編は来年度の6年生が学習発表会で披露するとのこと。今後は学習発表会の他にも、各学年の総合的な学習の時間で、町内にある白秋の歌碑を巡ったり、母の実家である旧石井家を見学するなどのフィールドワークを交えながら偉人マンガを学習の中で活用していく予定だ。
マンガを通して町の歴史、自然、人々が北原白秋という偉大な人物を生み出すのにいかに大きな影響を与えたかを学び、南関町から子どもたち自身の学び・興味を広げていくことを期待する。

教科書では学べない “郷土ゆかりの偉人” に関するマンガを制作し、地元の小中学校等での活用を通じて、ふるさとへの興味関心の向上(郷土教育)、将来の生き方や生活を考えるきっかけ(キャリア教育)につなげることを目的に「偉人マンガの製作と活用事業」を実施。2021年度から2023年度までに全国100自治体で実施している。

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