2023.01.11 UP 休眠預金等を活用した体験格差解消事業 「自転車乗り方教室」開催と活動を支える「みえアウトドア・ヤングサポーター」の若者たち NPO法人 海の達人(三重県津市)

休眠預金を活用した事業のシンボルマーク

休眠預金活用事業の実行団体「NPO法人海の達人」は、障がいを持つ子どもと家族、ひとり親家庭の子どもと保護者などを対象に、前回ご紹介した“障がい者と健常者が共に楽しむ「第15回海のバリアフリーまつり」”や「セイラビリティ活動」といった海の活動、今回実施した「自転車乗り方教室」といった陸の活動を、海と陸 両方の活動環境を備えたマリーナ河芸(三重県津市河芸町)を拠点に行っています。 そして、もう一つの特徴として「活動を支える若者の育成」に力を入れています。

以前、国立三重大学 生物資源学部と連携した「三重大学自然環境リテラシー学実習」についてご紹介しましたが、今回は三重県農林水産部農山漁村づくり課が主催した「みえアウトドア・ヤングサポーター アウトドア・サポート能力向上セミナー」の様子をご紹介します。

Verdeの機材倉庫に集まった参加者たち

「みえアウトドア・ヤングサポーター」とは、三重県が進める「アウトドア活動を通じて農山漁村地域を盛り上げてくれる若者を『みえアウトドア・ヤングサポーター』として育成し、関係人口の増加・地域の活性化につなげる」事業です。12月17日 ㈱Verde 大台ツーリズム(三重県大台町)とその周辺で開催された「アウトドア・サポート能力向上セミナー」には、9人の大学生が参加しました。講師を務めるのは、地元大台町で山岳ガイド・カヌーガイド・自然教育などを行う㈱Verde 大台ツーリズム代表取締役野田綾子氏、アウトドア経験のある5人の大学生がリーダーとしてサポートします。

野田氏による講義を聞く学生たち

㈱Verdeの機材倉庫に集まった参加者たちは健康チェックの後、野田氏による講義①として「Hikeツアー」を材料にアクティビティ活動の運営について説明を受けました。続いて実技①として、野田氏のガイドで「標高948mの総門山の林間コースを歩くHikeツアー」を体験しました。あいにくの雨の中 参加者は雨具を着込み冬の山を歩き、途中 平らな台地でツェルト(緊急用の簡易テント)を、ウォーキングポールを使う方法と、立ち木からロープを張る方法の2通りで設営を学びました。

  • ツェルト(緊急用の簡易テント)を立てる様子

  • 林間コースを歩いてきた学生たち

  • 総門山の美しい景色

機材倉庫に戻ると、野田氏による講義②として、かっこいいアウトドア愛好家をテーマに意見を出し合い「開催地の魅力、地域の取組み」について考えを深めました。続いて実技②として、野田氏によるファイヤスターターを使った火起こしと薪の燃やし方、大杉谷山岳救助隊長森正裕氏によるロープワークとロープレスキューを学びました。1日しっかりとアウトドアについて学んだ参加者は、冷たい冬の雨を避けるため㈱Verdeの機材倉庫内にテントを設営して宿泊しました。

  • 大杉谷山岳救助隊長森正裕氏によるロープワーク

  • テントで宿泊

翌12月18日 NPO法人海の達人の活動場所のマリーナ河芸の駐車場で、自転車に乗り始めの幼児と小学生20人を対象とした アクティブキッズクラブ「自転車乗り方教室」が開催され、2名の大学生がリーダーとして指導を補助してくれました。彼らも、「みえアウトドア・ヤングサポーター」を受講済みで、前回の「第15回海のバリアフリーまつり」でもリーダーとして大活躍してくれました。大学生リーダーは、マリーナ河芸のスタッフから自転車教室の準備から参加者への声掛け、補助の仕方などを丁寧に教わり、参加者の到着を待ち受けていました。

指導の講習を受ける学生たち

集まった子どもたちは最初、ペダルなしの状態で自転車のバランス感覚を学び、慣れてきたらペダルを装着し、助走台の斜路で勢いをつけてペダルを漕ぎます。動いている自転車はバランスを取り易くなるので、子どもたちは数回のチャレンジで、皆ペダルを漕いで自転車に乗れるようになりました。大学生リーダーは、子どもたちが目に見えて上達する様子に、子どもたちと接すること、指導することの喜びを感じているようでした。

  • 自転車を体験する子ども達

  • 青空の下での自転車体験

NPO法人海の達人は、「三重大学自然環境リテラシー学実習」や「みえアウトドア・ヤングサポーター」と連携し「活動を支える若者の育成」を図りながら、休眠預金を活用した事業を通じて、様々な団体と連携を深めていくことで、地域に根差した体験格差解消を目指していきます。

B&G財団は休眠預金活用法に基づく「資金分配団体」の認定を受け、障害の有無や家庭の事情等から生じる、子どもたちの体験格差の解消を図ることを目的に全国20団体の応募の中から「実行団体(10団体)」を選定。
2020年度から2022年度までの3年間、B&G財団がそれぞれの団体を支援し、各実行団体が障がい児や児童養護施設、ひとり親家庭等の子どもたちを対象に海洋性レクリエーションをはじめとした自然体験活動の機会を提供し、当該地域でのインクルーシブ社会の実現に向けた取り組みを進めています。

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