2022.09.01 UP 休眠預金等を活用した体験格差解消事業 インクルーシブカヌー体験 in 貞山運河を開催 宮城県障がい者カヌー協会(宮城県仙台市)

休眠預金を活用した事業のシンボルマーク

休眠預金活用事業の実行団体「宮城県障がい者カヌー協会」は8月11日、仙台市若林区荒浜地区の貞山運河でインクルーシブカヌー体験 in 貞山運河を協力団体と協同で開催、参加者50人、スタッフ30人、合わせて80人が参加しました。

カヌーに乗る親子

本事業は、宮城県障がい者カヌー協会がカヌーの指導を行い、仙台市内で障がい児、障がい者向けの運動スクール運営や福祉サービスを行う(一社)MOTTOが主催団体として参加者募集や引率を行うなど、障がい者の福祉支援、自然体験プログラムの提供といった各方面に強みを持つ団体が連携して実現したもので、今年5月に行われた団体関係者によるテスト実施を経て初めての開催となりました。

貞山運河は仙台湾の海岸線のすぐ内側に沿って位置する水路。かつては集落に囲まれていましたが、東日本大震災の津波被災を経て住民が移転、現在は仙台市による集団移転跡地利活用方針に則り、様々な取り組みが進められています。
 今回の体験会では、荒浜地区に設けられた海岸公園センターハウスを会場に、隣接する階段護岸を利用してカヌーへの乗艇を行い水面にアクセスしました。

  • 河原で準備

  • 乗船前の安全確認

周辺地域の利活用はこれからのようですが、アクセス性の良い石階段があって助かりました。 ただ、車いすの方の移動は難しいためスタッフが協力して乗降艇を補助しました。

  • 前方に向かうカヌー

  • 滑るように進む

脳性まひや車いすといった障害のある方も健常者の方も、一旦カヌーに乗れば皆さん水面を滑るように進みます!この心地よさはカヌーならではの体験ですね。

  • カヌーに乗船

  • 子が一人で船を漕ぐのを見守る母

この日は、宮城県障がい者カヌー協会所属のジュニア選手2名も参加。パラカヌー競技大会に向けた練習を日々重ねている二人の漕ぎぶりを見て、参加者の皆さんからは感嘆の声があがっていました

参加者からは、「これまで自然体験を行うには遠方まで出かけていたが、市内にこのようなフィールドや機会があるとアクセスも良くとても助かる。今後も開催していただければ足を運びたい」(お子さんをお連れの保護者)、「カヌーがこんなに楽しいと初めて知った。本当にもっと早く始めれば良かった」(車いすの成人参加者)といった声が聞かれました。
 今後の体験機会の拡大、継続に向けて、関係者・協力者の皆さんのモチベーションアップにも繋がる大きな一歩となる体験会になったことと思います。

担当者の声
宮城県障がい者カヌー協会 副代表 我妻進之 氏(パラカヌー競技選手)

 昨年の東京パラリンピックを通じて障がい者スポーツに社会の注目が集まるようになってはきましたが、まだまだ競技志向の側面が強く、一般の障がい者が気軽にスポーツを楽しめるレベルでの環境整備が進んでいるとは言えません。それがアウトドアでの体験活動となればなおさらで、障がい者や障がい児の保護者のニーズが高いのに比して、水辺等での活動機会が極端に少ない状況を生んでいます。
 本会では、2年前から休眠預金活用事業の支援を受けて障がい者・障がい児への体験機会の提供を目指して活動してきましたが、障がい者の新型コロナ罹患時の重症化といった懸念もあり、なかなか規模の大きな体験会の開催に至りませんでした。その分目先を変えて、連携が可能な団体さんの発掘や調整に注力してきた結果“仲間づくり”が大きく進展し、今回のような体験会の実施にこぎ着けました。
 本会の目標は、障がい者・障がい児への幅広い体験機会の提供と、その後もさらにカヌーを続けたい人に対して、競技の道も含めて機会や仲間を継続的に維持提供し、カヌーを軸に誰でも参加できる地域スポーツクラブを形成していくことと考えています。仙台、宮城近郊にお住いの方、ぜひ一度カヌーに乗りましょう!

宮城県障がい者カヌー協会は、令和2年(2020年)1月に設立され、まだ設立間もない団体ながら、着実にその活動範囲を拡大しています。
 今後もぜひ、宮城県障がい者カヌー協会の活動に注目してください!

B&G財団は休眠預金活用法に基づく「資金分配団体」の認定を受け、障がいの有無や家庭の事情等から生じる、子どもたちの体験格差の解消を図ることを目的に全国20団体の応募の中から「実行団体(10団体)」を選定。
2020年度から2022年度までの3年間、B&G財団がそれぞれの団体を支援し、各実行団体が障がい児や児童養護施設、ひとり親家庭等の子どもたちを対象に海洋性レクリエーションをはじめとした自然体験活動の機会を提供し、当該地域でのインクルーシブ社会の実現に向けた取り組みを進めています。

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