地域の課題解決 先進事例の収集と発信
地域課題への取組み事例
2022.02.24 UP
2022.02.24 UP
兵庫県上郡町が老朽化・低炭素化・防災機能強化の3つの課題を同時に解決するために取り組んだ、本庁舎のZEB化(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)改修事業を紹介します。
上郡町役場の本庁舎は築30年以上が経過し、空調設備の故障や外壁の剥離など、不具合が随所に発生していました。町の公共施設等総合管理計画において、本庁舎の長寿命化の方針が決定しており、耐用年数を過ぎた設備等を更新する必要がありました。
また、国が掲げる目標において、自治体を含む「業務その他部門」では、2030年までに2013年度比40%のCO2削減が示されており、改修にあたっては目標達成のため、低炭素化に取り組む必要がありました。
さらに、本庁舎は災害時に「防災対策本部」を設置します。災害に関する情報収集や対処指示を迅速に行うため、非常電源の拡充も課題となっていました。
1.ZEB認証の取得(※注)
老朽化と低炭素化の課題を同時に解決するため、本庁舎のZEB化改修を実施しました。改修では、建物の断熱性能を向上させるため、外壁タイルを補修した上で外断熱を行い、窓ガラスを複層ガラスに取り替えました。
さらに、エネルギー消費量の大きい設備(空調・換気・照明・給湯等)を省エネ性能の高い機器に更新。一次エネルギー消費量を62%削減することができたことで、ZEB Readyを取得することができました。
(※注)
ZEB認証は、建物の省エネルギーに関する指標の一つで、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現した上で、再生可能エネルギーの導入により年間の一次エネルギー消費量収支ゼロを目指した建築物。削減率によってZEB・Nearly ZEB・ZEB Readyの3段階に分類されており、ZEB Ready は50%以上~75%未満の削減。
2.防災機能の強化
ZEB化改修に併せて、太陽光発電と蓄電池を設置。これにより発電した電気は、平時は自家消費することで購入電力量を削減し、災害時は蓄電池より対策本部が設置される本庁舎4階に供給されます。
加えて、非常用発電機を72時間以上稼働できるものに更新し、災害時においても庁舎全体の設備面の諸機能が停止することなく、維持できるようになりました。
上郡町 財政管理課
小田 賢 さん
町の財政負担を極力減らすため、環境省の補助事業などを活用しましたが、事業の実施決定から補助申請、完了までのタイムスケジュールが非常にタイトで大変でした。
現在、運用面での工夫も相まって、予定した以上の低炭素化、コスト削減を達成しており、今後も続けていきたいと思います。
「地域課題への取組み事例」では、さまざまな社会課題の解決に向けた自治体の取組を随時発信していきます。