地域の課題解決 先進事例の収集と発信

地域課題への取組み事例
「長島ぐるっと一周フラワーロード」事業(鹿児島県長島町)

2022.07.12 UP

鹿児島県長島町が「町民が誇りの持てる、潤いと安らぎのあるまちづくり」の一環として取り組む、四季を通じて沿道を花で繋ぐ「ぐるっと一周フラワーロードづくり」事業を紹介します。

総延長14kmにも及ぶ「フラワーロード」

総延長14kmにも及ぶ「フラワーロード」

長島町は、2006年に旧「東町」と旧「長島町」が合併して誕生しました。もともと離島であったこともあり、両町の融和、一体となったまちづくりが課題でした。

そこで、長島町では心を癒してくれる「花」に着目。2007年に「長島町ふるさと景観条例」を制定し、国道・県道沿いを花壇でつなぐ「フラワーロード」を提唱して、地域住民や団体・グループ等が自主的に花壇管理を行う取り組みがスタートしました。

私も参加、自慢できるまちづくり

継続的な活動を実現するため、町の広報誌を活用し、花壇を管理する「ふるさと景観サポーター」の募集や新規登録者の紹介、ボランティア活動の紹介など、花に関連する記事を毎月掲載。町内の保育園では園児たちが植栽や水やり、草むしりなどを行い、小学校では長島の花を題材とした教育を取り入れるほか、小学生による独居高齢者宅への花の苗の配布なども行っています。

育苗については町営の老人ホームも協力して行い、入所者の生きがいつくりにもつながっています。

  • ふるさと景観サポーターの登録

    ふるさと景観サポーターの登録

  • 植栽ボランティア

    植栽ボランティア

また、長島町では、丸石や平石など島内で豊富に産出される安山岩を積み上げ、古くから石積み塀として活用してきました。町ではこの「石積み」に着目し、花壇や道路の法面の資材として天然石の利用を検討。普及のため施工の積算基準の策定、石積みに関する研修会や品評会などを実施し、長島町の新しい道路構造物として活用しています。

これにより、コンクリート構造物より工事費が3割程度安くなり、雑草の繁殖も抑えられ、維持管理費の削減にもつながっています。

このほか、フラワーロード沿いには天然石で花を形作った「石の花」や、町民が身近な素材(杉・竹・流木・空き缶・ペットボトル・貝殻など)を使って制作した造形物を設置・展示するなど、住民参加の景観づくりを進めています。観光客から「ゴミ一つ落ちてなくて本当にきれいな花の町」と感動の手紙が届いたり、結婚式の前撮りスポットとして使われたりすることなども、町民のモチベーション向上につながっています。

  • 町木である椿の「石の花」

    町木である椿の「石の花」

  • 結婚式の前撮り

    結婚式の前撮り

長島町 水産景観課 小城忠弘 さん
この事業活動を通じて、町内のさまざまな団体間の交流が深まるとともに、町民の「生きがい」「やりがい」「ふるさとへの愛着」となり、今では子どもから高齢者の世代間交流だけでなく、障がいのある方も参加するなど、活動自体がみんなの居場所となっており、町全体の元気につながっています。

「地域課題への取組み事例」では、さまざまな社会課題の解決に向けた自治体の取組を随時発信していきます。

事例