地域の課題解決 先進事例の収集と発信
地域課題への取組み事例
JR只見線「会津柳津駅利活用事業」(福島県柳津町)
2024.11.21 UP
JR只見線「会津柳津駅利活用事業」(福島県柳津町)
2024.11.21 UP
無人駅となったJR只見線会津柳津駅の駅舎を利活用することにより、1927年に建築された趣ある駅舎の保存と町のシンボル的存在である赤べこ張子の工房等の運営を行い、地域振興と交流人口拡大を図ることを目的に実施した「会津柳津駅利活用事業」を紹介する。
背景
■1993年に無人駅となったことにより、防犯面での心配や観光客への案内対応、駅舎での物産販売などについて、地域から様々な意見が寄せられるようになり、駅舎の利活用についてJR東日本と協議を開始。
■JR只見線は、美しいローカル鉄道として全国・世界から注目されていたが、2011年に新潟福島豪雨により甚大な被害を受け一部区間が不通となった。2022年に全線運転再開を果たし「世界一ロマンチックな鉄道」として更に人気を高めることとなった。
■2023年にJR東日本東北本部と柳津町が「只見線会津柳津駅駅舎等の無償譲渡契約」を締結し、町が駅舎を譲受し改修工事に着手。赤べこ発祥の地として有名な柳津町であるが町内に赤べこの工房が無かったため、地域おこし協力隊制度を活用した職人養成プロジェクトを同時に進め、駅舎内に工房を構えることを決定。
■駅舎の利活用については、地域の若い人を中心とした「会津柳津駅駅舎利活用検討会議」を立上げ、実証事業や視察研修、ワークショップなどを開催。結果として検討会議の中心メンバーが新たな駅舎の運営に関わることとなった。
事業内容
「柳津町会津柳津駅舎情報発信交流施設」改修工事
建築面積: 199.1㎡(木造平屋)
施設機能:待合スペース・赤べこ工房・ワークショップスペース・カフェ・観光案内窓口・物販スペース・ジオラマ展示
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オープニングセレモニー
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改修後の会津柳津駅(外観)
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オープニングセレモニー
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改修後の会津柳津駅(外観)
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カフェ運営の様子
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赤べこ張子工房の製作の様子
利用者の反響等
まちづくりのための駅舎の譲渡については、JR東日本東北本部管内では初めての事例であり、赤べこ発祥の地に初めて赤べこ張子の工房がオープンしたということで注目を集めた。今まで無人駅であったが、案内人や店員等がいることで地域住民が利用しやすくなり、観光客からも好評を得ている。
柳津町 地域振興課観光商工係長 土橋諭さん
長期にわたるプロジェクトで、JR東日本との協議・調整や改修に係る設計・工事と多岐にわたる内容で業務執行には苦労した。しかし、JR東日本や検討会議のメンバーが一緒になって真剣に考えていただき、地域住民の意見を反映させながら、駅舎の運営に結びつけることができた。駅舎のリニューアルオープンはゴールではなく、スタート地点として、今後の有効的な活用によりいかに地域振興につなげていくかが大事であると考えている。
「地域課題への取組み事例」では、さまざまな社会課題の解決に向けた自治体の取組を随時発信する。