地域の課題解決 先進事例の収集と発信

地域課題への取組み事例
2022.02.17 UP

サステナブルな観光地づくりの実現へ ゼロカーボンパークの推進(三重県志摩市)

三重県志摩市は、市全域が伊勢志摩国立公園に含まれる自然豊かな地域です。

2050年カーボンニュートラルに向けて、二次交通の脱炭素化や脱プラスチック、再生可能エネルギーの活用、CO2 の吸収源の拡大など、サステナブルな観光地づくりにつなげる取り組みを紹介します。

横山展望台

横山展望台
英虞湾に浮かぶ60の小島と幾重にも折り重なるように突き出た半島を一望できる展望台。 横山天空カフェテラスでは、のんびりとくつろぎながら、里海の美しい風景を楽しめます。

この取り組みは、国立公園内で起きている外来生物などの環境問題や、藻場・干潟を再生する脱炭素化に向けた活動を周知し、自然環境について深く考える機会を創出するとともに、脱炭素化に向けて、市民、民間企業、関係行政機関との連携を更に深め、サステナブルな観光地づくりを実現することがねらいです。

ゼロカーボンパークを実現するため、市ではさまざまな事業に取り組んでいます。

1.環境負荷の少ないモビリティの導入

国立公園内の二次交通の脱炭素化を図る取り組みとして、2016年度から電動アシスト自転車等の有料貸出サービス「Bicycle Journey」を開始。専用サイトを運営し、サイクリングコースやツアーを提案しています。来年度から「Eバイク」など新型モビリティを導入し、サービスの拡充を図ります。

Eバイク

Eバイク

Eバイク

絶景スポット巡りや海女小屋を体験できるサイクリングツアーもあります。

2.市内一般開放施設へのウォーターサーバー導入

ごみの減量化、プラスチックごみ削減の取り組みとして、マイボトルで利用できるウォーターサーバーを公共施設や民間施設に設置。

この取り組みに賛同する市内企業が増えてきており、市内における脱炭素・脱プラスチックに関心が高まっています。

ウォーターサーバー

3.横山展望台「RE100」の実施

伊勢志摩国立公園を代表する英虞湾を一望できる「横山天空カフェテラス」は、使用電力を100%再生可能エネルギーで賄っています。

「RE100」の実施

4.アマモ場・干潟の再生(ブルーカーボン)

CO2の吸収源として大きな役割を果たす、アマモ場を地域住民と協働で再生させるとともに、英虞湾の4ヵ所で干潟の再生に取り組み、魚介類・甲殻類等の生物を増やすことで、ブルーカーボンを活用したCO2の吸収源の拡大を進めています。

また、市民参加型の干潟モニタリング調査や自然観察会を通して環境教育を推進しています。

アマモ場・干潟の再生

5.海洋ごみのアップサイクル事業

アパレルメーカーと連携し、クリーンアップ活動で回収した海洋ごみをTシャツなど、環境価値の高い製品に変換するアップサイクル事業にも取り組んでいます。

海洋ごみのアップサイクル事業

志摩市 市民生活部環境課
西井 將人 さん
脱炭素化の取り組みは、本市の地域課題を解決するだけでなく、地方創生の大きなチャンスであると捉えています。これらの取り組みを通して、関連企業の誘致や新たな産業・イノベーションを創出することによって、市の理念である「市民が誇りをもち、次世代につながるようなまちづくり」を実現したい。
また、本市の取り組みが「国立公園の脱炭素化ドミノ」という形で全国に波及するきっかけとなれるよう尽力したいと考えています。

「地域課題への取組み事例」では、さまざまな社会課題の解決に向けた自治体の取組を随時発信していきます。

事例