地域の課題解決 先進事例の収集と発信
地域課題への取組み事例
2021.12.10 UP
2021.12.10 UP
鳥取県伯耆町(ほうきちょう)が可燃ごみの減量化と資源循環を図ることを目的に取り組む「使用済み紙おむつ燃料化事業」を紹介します。
使用済み紙おむつ燃料化フロー(出典:株式会社スーパー・フェイズ)
少子高齢化社会において、子育てと介護に欠かすことができない紙おむつですが、使用後は大量のごみとして焼却されています。
使用済み紙おむつは、ポリマーにより多量の水分を含んでいるため、重く、燃えにくいうえに、一旦燃え始めると急激な温度上昇を招くため、焼却炉を傷める要因にもなっていました。
そこで、伯耆町では、可燃ごみとして焼却されていた、町内の事業所で排出される使用済み紙おむつをペレット(燃料)化する取り組みを2011年度から本格的にスタートさせました。
2014年度には、町営温泉施設に「紙おむつペレット専用ボイラー」を設置。ペレットを熱源とした温泉施設での使用が可能となったことで、エネルギーの地産地消によるごみの減量化に成功。
現在では1日1,200㎏の燃料化が可能になり、近隣の病院や保育所、高齢者施設など9施設から年間約221トンの使用済み紙おむつを処理しています。
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燃料化装置
収集した使用済み紙おむつを燃料化装置に投入すると、約16時間で、綿状の燃料ができます。重さは、約3分の1になります。1日600kg処理できる機械を2台設置。 -
ペレット成形機
燃料化装置で処理した綿状の燃料を大きさを均一にする二次破砕機に通し、ペレット成形機でペレット燃料にします。
1時間当たり70kgのペレットをつくれます。 -
生成物(綿状燃料)
燃料化装置で処理したものです。 -
ペレット
成形機でつくったペレットです。 -
ボイラー
町営の温泉施設に専用ボイラーを設置し、既存のガスボイラーと併用して使っています。
約3割のガスを削減しています。 -
収集された紙おむつ
町内の高齢者施設や保育所から収集した紙おむつ。月曜から金曜まで毎日収集します。
伯耆町地域整備課
環境整備室 井本 達彦さん
日本国内の大人用紙おむつの生産量は2020年度で約86億枚。伯耆町においても高齢化率の上昇とともに使用者の増加が見込まれる状況であり、今後も回収方法や専用ボイラーの改良など課題に取り組みながら、ごみの減量化と資源循環をさらに進めていく。
「地域課題への取組み事例」では、さまざまな社会課題の解決に向けた自治体の取組みを随時発信していきます。