地域の課題解決 先進事例の収集と発信

地域課題への取組み事例
「地下水を守るんだプロジェクト」(熊本県南阿蘇村)

2024.10.04 UP

熊本県南阿蘇村が冬期間に水田に水をはる「冬期湛水」を行い、水田の生態系を守るとともに、地下水の涵養を図る「地下水を守るんだプロジェクト」を紹介する。

背景・ねらい

南阿蘇村の水道水の水源はすべて地下水となっており、また阿蘇地域は熊本市のほか大分県や宮崎県の水源にもなっていることから、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する取り組みとしてプロジェクトを実施。

事業内容

地下水を守るんだプロジェクトとして、地下水保全のため冬期湛水管理を推進。生産された米は「地下水保全米」として企業と連携して販売するなど、環境保全型農業を促進している。

2010年 生産者と商工業者で農業と観光の持続的な発展及び豊かな村民生活の実現を図ることを目的に協議会を設立し、7社の協賛を得てプロジェクトがスタート。
富士フイルム九州杯フォトコンテスト開始。
2019年 「環境保全型農業直接支払交付金」冬期湛水(+2ヵ月)に対する村単独加算2,000円/10a開始。原資は内村酸素㈱、ハイコムウォーター㈱からの寄付金
2020年9月 南阿蘇村「地下水保全基金設置条例」
2021年7月 阿蘇の景観と地下水を守る事業が国の地方創生プロジェクトに認定され、企業版ふるさと納税の対象となる。
2022年11月 冬期湛水(+2カ月)に対する村単独加算を3,000円/10aに増額。環境直接支払「有機農業の取組」のほ場も対象に追加。 南阿蘇村の冬期湛水面積が105ha、105haの効果は1万3千人が年間に使う地下水に匹敵。
  ※1日2cm浸透すると=20ℓ/㎡=200t/ha
  200t×105ha×60日=126万t
2022年 令和4年度冬期湛水面積 128ha
2023年 令和5年度冬期湛水面積 126ha

富士フイルム九州杯“地下水を守るんだ”フォトコンテスト
  ※2023年度より「富士フイルムマテリアルマニュファクチャリング杯“未来へつなぐ南阿蘇”フォトコンテスト」に名称変更。

南阿蘇村 農政課 係長 中川洋平さん
 南阿蘇村は「水の生まれる郷」と呼ばれるほど湧水が豊富で、九州の6つの一級河川の源となっている。冬場でも水路に水があり取り組みやすい環境にある。今後、冬期湛水の目標を150haとし、環境保全型農業の推進、村の農産物のイメージアップにつなげていきたい。

「地域課題への取組み事例」では、さまざまな社会課題の解決に向けた自治体の取組を随時発信する。

事例