瀬戸内海に浮かぶ自然豊かな離島・小豆島(香川県)。島内にある小豆島町では毎年、日本財団と環境省が共同で推進する「海ごみゼロウィーク」の期間中、町内の全6校(小学校4校、中学校1校、高校1校)の児童・生徒が町内の清掃活動「クリーン作戦」に取り組んでいる。
ごみゼロの日にあわせて実施!“クリーン作戦”
「海ごみゼロウィーク」(2025年5月30日〜6月8日)にあわせ、小豆島郡小豆島町では、町内の全6校(小学校4校、中学校、高校)が一斉に清掃活動を実施。なかでも5月30日、「ごみゼロ(530・ごみ0)の日」の昼休みを活用して、小豆島町立安田小学校と星城小学校が清掃活動「クリーン作戦」に取り組んだ。
活動には地域の少年育成センターや警察の方々も協力。見守るだけでなく、子どもたちと一緒にごみを拾い、笑顔で話す姿からは、小豆島町全体に取り組みが浸透していることが伝わってくる。
開始前の打ち合わせの様子
縦割り班で協力、1年生から6年生が一丸に
当日は、安田小も星城小も、1年生から6年生までが一緒になって活動できるよう、学年を混合した「縦割り班」(安田小=ふれあい班、星城小=すまいる班)を編成。それぞれ10人程度のチームで、学校周辺を中心に協力して清掃活動を行った。単なる町内の清掃にとどめることなく、6年生がリーダーとなって下級生をまとめるなど、集団行動を通じて社会性や協調性を育むことも狙いだ(表1参照)。
また、海ごみゼロウィークは例年5月に実施されるため、1年生は入学してすぐの取り組みとなる。入学して間もない内から同じ小学校のお兄さんお姉さんたちと関わることは、今後の学校生活において安心にもつながっているのではないだろうか。
表1.それぞれの学校が掲げる“クリーン作戦”の狙い
安田小の狙い | 1. 環境教育の一環として、町を美しく保つために何ができるのかを考え、実行できる児童の育成を図る。 2. 縦割り集団(ふれあい班)による清掃を行うことにより、より良い人間関係の育成を図る。 |
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星城小の狙い | 1. ゴミ0を目指し、小豆島の各学校が一斉に身近な地域のクリーン作戦を行い、よりよい環境づくりや環境の保全に関する意識を高める。 2. 勤労活動、美化活動を通して勤労、社会奉仕の心をはぐくむ。 3. すまいる班で活動することによって、お互いに思い合い、高め合う態度を育てる。 (特に6年生がリーダーとなり班をまとめていく体験の場となるようにする。) |
縦割り班で異なる学年の児童と協力して清掃
「きれいな島を受け継ぎたい」思いを育む
冒頭にもあるように、小豆島町では清掃活動を毎年行っている。清掃活動の狙いについて安田小学校の江口教頭は、「もちろん地域の美化という目的もあるが、実際は定期的に町内清掃をしているため、目立ったごみは多くない。それでも活動を続けることで、子どもたちが“ごみが少ない”という気づきを得て、きれいな小豆島を守っていきたいという気持ちを育んでくれれば」と語った。
また、町から「必ずやってください」と言われているわけではない。それぞれ6校が考えをもって毎年自主的に取り組んでいる。と江口教頭は続けた。
実際にゴミ拾いにも同行したが、「えーごみ拾いー?」といいつつも、楽しそうに拾ったごみを友達と見せ合うなど、協力して楽しみながらごみを拾っていた。普段関わらない人と関わることで、おのずと自主性や協調性を育んでいるように思え、狙いに沿って取り組み方をデザインしてあげることこそが継続した取り組みにつながっている理由だと感じた。
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用水路や堤防の裏のごみも隅までチェック
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地域とともに歩む環境活動
今回のクリーン作戦は、日本財団と環境省が共同で推進する「海ごみゼロウィーク」の一環として、全国のB&G海洋センターやクラブと連携して行われたものの内の一例だ。海洋ごみ問題の周知啓発とごみの流出防止を目的とするこの取り組みは、街中や海岸だけでなく、水上清掃やワークショップなど、全国でさまざまな形で展開されている。
小豆島は海に囲まれており、暮らしと海は切っても切り離せない関係にある。だからこそ、身近な町なかで出たごみが、雨や風に流されて海へと辿り着くことも少なくない。今回の取り組みも、陸のごみを拾うことで海の豊かさを守ることにつなげる、足元から環境を見直す活動といえる。
また、小豆島町での取り組みは、地域の学校だけでなく、警察や少年育成センターなどの大人たちも加わり、“町ぐるみの清掃活動”として実施されている。これは全国的に見ても決して当たり前のことではない。町内の全6校がそれぞれに考え、自主的に継続して取り組んでいる点も含め、小豆島町ならではの特色といえるだろう。
小豆島の活動は、ただのごみ拾いにとどまらず、全国の「ごみゼロ」への思いをつなぐバトンのひとつだ。地域に根ざしたこのような実践が、社会全体を動かす一歩となる。この活動に込められた学びと意識が、やがて持続可能な未来をつくっていくことを期待したい。
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各学校の開催前の様子
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