2025.10.10 UP 防災拠点事業 災害現場で活かす重機操作「広域実技研修」を開催
「防災拠点の設置および災害時相互支援体制構築」事業(以下、「防災拠点事業」)の一環として、2024年度に防災拠点を整備した第三期拠点15市町の自治体職員および消防関係職員を対象に、油圧ショベル操作の技術向上などを目的とした「広域実技研修」を開催した。
昨年は5ブロックに分けて開催したが、今年は9月30日・10月1日の2日間、15自治体の担当者を招集し、茨城県つくば市の日本財団災害ボランティアトレーニングセンターで研修を行った。
実施日 | 1日目:2025年9月30日(火) 9:00~17:00 2日目:2025年10月1日(水) 9:00~17:00 |
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場所 | 日本財団災害ボランティアトレーニングセンター(VTC) |
参加者 | <第三期防災拠点> 北海道 長万部町 大樹町 福島県 柳津町 新潟県 燕市 山梨県 中央市 埼玉県 嵐山町 滋賀県 高島市 三重県 亀山市 三重県 熊野市 兵庫県 養父市 岡山県 鏡野町 香川県 三木町 大分県 中津市 鹿児島県 南さつま市 長島町 全15自治体 <B&G財団> ・常務理事 朝日田 智昭 |
参加人数 | 小型車両系建設機械の業務に係る特別教育(以下、特別教育という)修了者(整地・解体)30人 *各自治体から防災部局職員と消防関係職員各1人ずつ |
実施内容 | 災害時を想定した、整地用バケット及び解体用フォークなどを活用する重機操作の実技研修 |
本研修は、災害現場で活かせる重機操作の知識・技術の習得に加え、自治体に戻って研修を運営できる人材の育成も目的としている。
こうした取り組みを通じて、防災拠点設置自治体間の連携を強化し、地域特性を活かした実践的な研修の提供を通じて、地域防災力の向上を図る。
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バケットを使用した重機操作
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解体用フォークを使用した重機操作
自然災害におけるパワーショベルの活用(講義)
まず、重機操作を実施する前に、油圧ショベルの基礎的な使い方や、実際の被災地での復旧作業、その際の注意点など、災害時の使用を想定した講義を実施した。
参加者からは、「基本的な使用方法や特性まで細かく教えてもらい参考になった」「特別教育では学べなかったことも多く、実際の現場を想定した内容で勉強になった」といった声が寄せられ、積極的に取り組んでいた。
日本財団 黒澤司氏による講義
油圧ショベルの実技訓練
続いて、参加者は油圧ショベルを使った基本操作の訓練に臨んだ。はじめに操作方法や機体の仕組み、操作時の注意点について説明を受けた後、掘削の復習から始めた。
特別教育では学べない「機体上げ」や「細道走行」「坂道走行」など、災害を想定した操作練習に取り組み、参加者同士で注意点を確認し合いながら協力して操作する様子が見られた。
参加者からは、「初めて聞く内容も多く参考になった」「これまでより高度な操作を学べた」といった声が寄せられた。
特別教育では基礎的な動作のみが扱われるため、今回のように実際の被災地を想定した訓練は、被災地で活躍する講師陣だからこそ指導できる内容であった。
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ショベルの機体説明
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掘削練習
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走行練習
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機体上げ練習
スライドダンプの実技訓練
次に、油圧ショベルを搬送するスライドダンプの操作実習を行った。荷台への積載時の注意事項や、スライド時に気を付けるべき点などについて、細部まで指導を受けた。
参加者からは、「順序立てて丁寧に説明をしてもらい勉強になった」「これまでとは違う新たな方法を学べた」などの感想が寄せられた。
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油圧ショベル積み降ろし
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アタッチメント交換
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スライドダンプ機構説明
自治体対抗タイムレースで研修を総仕上げ
研修の最後には、自治体対抗のタイムレースを実施。研修で習得した技術を生かし、ターゲットの缶に棒を差し込む内容で実施。
油圧ショベルのバケット先端に直径約1センチの棒を取り付け、1人が操作、もう1人が指示を出してターゲットの缶に棒を差し込み、より早いタイムを競った。1位の自治体には豪華景品が用意され、会場は大いに盛り上がった。
結果は、三重県熊野市、山梨県中央市、北海道大樹町の3自治体が同タイムで並ぶ形で優勝となり、研修は白熱のレースで締めくくられた。
最後に講師から研修全体の総評と振り返りを受け、広域実技研修は無事に終了した。
参加者からは、「災害ボランティアの熱意を肌で感じ、考え方や意識が変わった」「今回学んだことを地元自治体で水平展開し、災害時にしっかり活かしていきたい」といった多くの感想が寄せられた。
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油圧ショベルを操作し、缶に棒を差し込むタイムレース
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真剣な表情で操作に集中する参加者
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優勝した3チーム
今回の広域実技研修を通じて、参加者は災害現場で活用できる重機操作の技術を身につけ、実践力を高めることができた。今後も様々な研修を実施し、防災拠点間の連携強化を図るとともに、各自治体の防災力を高め、地域の災害対応力の向上につなげていく。
「防災拠点の設置および災害時相互支援体制構築」事業は、災害発生時の緊急対応・避難所運営に必要な防災倉庫の整備、油圧ショベルやスライドダンプ、救助艇などの機材配備に加え、重機オペレーターなどの人材育成にかかる費用について支援を行うとともに、周辺自治体との災害時相互応援協定の締結など支援体制づくりを推進。本事業は2021年度から事業を開始し、これまでに39道府県84市町村への設置を決定している。
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