【B&G職員リレートーク】「集団行動」が得意な人、苦手な人
職員リレートーク11月、機会あって2年に1回横浜アリーナで開催される、日本体育大学の体育研究発表実演会を観覧することができました。
会場の横浜アリーナは、1万人を超える関係者、保護者、一般の観客で熱気に満ちていました。中でも私が注目した演技は、16プログラムの終盤に行われる「集団行動」でした。
テレビでご覧になった方も多いと思いますが、ピーンと張りつめた場内に、約100人の一糸乱れぬ行進の足音と、腕と体側がこすれる音が場内を包み、TVでは感じられない生の迫力に感動させられました。
驚いたことに今年の演技は指揮者(号令者)がいないのに、一人ひとりが思いのまま動き、それでいて規則性のある意思を持った集団の動きに進化を感じました。まさに自由に泳ぐイワシの大群を連想しました。
学生たちの汗と努力の賜物です。
集団行動の重要性
この9月にご縁あって、この実演会の「集団行動」を指導されている清原伸彦先生とお会いすることがありました。
その時、先生は集団行動についてこう述べています。
「一人ひとりの身勝手な行動は、仲間に迷惑をかけたり、事故を引き起こす原因である。『自分さえよければいい』では社会は成り立たないのではないか。人間が生きていく、生活していくうえで、触れ合う、助け合う環境をこの集団行動を通じて身近に感じてもらいたい」と。
一般的に「集団行動」と聞くと、得意な人もいれば苦手な人もいます。私は学生のころからチームスポーツに携わってきた関係で、「集団行動」とか「集団生活」は抵抗なくその環境に入り込むことができます。しかし、そうではない方は少なくありません。
私が勤めているB&G財団では、毎年6月初旬から1カ月間、沖縄県本部町を会場に、青少年の健全育成を目的とした「海洋性レクリエーション指導員」を養成する合宿型の研修を実施しています。
研修の参加者は、全国390の自治体に建設させていただいた「B&G海洋センター」に勤務する20歳から45歳までの男女約80人。海洋センター施設の管理運営のほか、ヨットやカヌーの海洋スポーツ・水泳の理論や指導法について学びます。
80人も集まれば十人十色で
全国から集まる参加者の中には、他人に合わせることが苦手、他人から干渉されたくない、強制されたくないなど集団になじめない方もいます。
一方、学生時代にスポーツクラブ活動やサークル活動の経験者で、集団に何も抵抗を感じない方など、80の個性が混在した中で研修が始まります。
研修には成果が求められる
当然なことながら研修には成果が求められます。研修は、一人ひとりの個性を尊重しつつ、限られた時間をいかに有効に、安全に、研修効果を高めるために、早い時期にこの「群れ」を意図的に「集団」に形成させます。その効果的な手法は「強制」です。
集団の秩序を形成するために集団の規則を強制します。これには集団になじめない方は当然、そうでない方でも慣れない環境も相まって相当のストレスになっています。
しかし、人間の順応力は大したものです。研修開始から1週間も経過するころ、観念したのか、改心したのか、仲間からの励ましがあったのか、彼らからは笑みさえ伺えます。
集団行動の先にあるもの
「集団行動」イコール「強制」と敬遠する方もいると思いますが、私は経験上そうは思いません。
使い方によって「強制」は大いにその効果を発揮します。大切なのは「集団行動」の先に「自主」「自律」があることを忘れてはいけません。