お別れの時は突然。感謝とともに、2人へ最後の「祖父母孝行」


企画広報課の藤田です。
今年も残すところあと一ヵ月。さて、今回のリレートーク、私事で大変恐縮ですが、身内の出来事をお話ししたいと思います。
 

題名の通り、実は今年10月、母方の祖父母2人が、相次いで亡くなりました。
もう突然のことで、ただただびっくり。誰もが経験することですが、なんかこう、どうにもやりようがない悲しさと辛さってありますよね。
 
10月14日―――……
ずっと元気だった祖母が、突然亡くなりました。
最初は嘘なんじゃないかと信じられませんでしたが、亡骸を見た途端に涙が溢れ、結局、堰を切ったようにお通夜もお葬式も泣きっぱなし(今も書きながら泣きそう)
 

実は私たち孫は全員女の子。私、妹、従妹2人の孫娘4人だったのですが、4人とも祖父母のことが大好きでした。案の定、葬儀ではみんなで大号泣。終始、親戚の目も気にせず嗚咽を響き渡らせておりました(従妹なんて嗚咽で吐きそうになっていた)
 
そして、10月31日
今度は祖父が亡くなったとの一報を受けました。
 
祖父の場合、ここ2、3年は介護施設に入っていたので、もうずいぶん前からあまり長くないと宣告を受けていたので、ある程度の覚悟は正直出来ていたと思います。
 
ただそれでもずっと元気に過ごしてくれていて、まだまだ大丈夫だろうなんて思っていたのですが、連続で、そして立て続けとなると、そんな覚悟もすっ飛んでしまい、祖父の時も相当堪えました。
 
実際のところ、祖父は祖母の死を最後まで知りませんでした。家族で「しばらくは祖父に祖母のことは話さないでおこう」と決めていたので。
 
でもきっと祖母が寂しかったのでしょうね。祖父と一緒に天国へ旅立ちたかったのだと思います。最後まで「仲良し」出さなくてもいいのに、と思った孫でありました。
 
葬儀から1ヵ月以上が経ちましたが、虚無感が身体を包んでいる、そんな感覚が今でも私の中を巡っている気がします。祖父母との思い出をふと懐古する、その一瞬に刹那と心淋しさが突き刺さりますが、きっと時間が解決してくれると信じて、日々前を向いて生きていこうと思います。
 
今まで生きてきた中で、一番悲しい1ヵ月でした。
 

祖父母と一緒に。8年ぐらい前の写真。わ、わかい・・・

祖父母と一緒に。8年ぐらい前の写真。わ、わかい・・・

ほぼ徹夜で作ったフォトブース

葬儀のために帰省していた地元。母たちが世話しなく葬儀の準備に追われていましたが、孫の私はお留守番するぐらい。何か手伝うことあるかと尋ねると、「参列者が見るフォトブースを用意してほしい」とミッションを受けました。
 
準備期間は約2日と時間もなかったのですが、なんせ凝り性な私、手抜きなしで作り込んでしまいました。
 
ただこれが予想以上に参列者から好評。実際の写真がこんな感じ。
 

祖母の時のフォトブース。葬儀場の入り口に飾りました

祖母の時のフォトブース。葬儀場の入り口に飾りました

なぜ好評だったかと言うと、参列者のニーズに合わせて製作したから。自分の作品が素晴らしいと自慢したいのではなく、母と私の作戦が功を奏しました。
 
来てくれた人に喜んでもらいたいと考えた私たちは、とりあえず作戦会議を開始。
 
(1)まず、年寄りの葬式には、年寄りが多い(要は、高齢者目線で作らないとダメ)

(2)そうすると、年寄りは写真が小さいとよく見えない(だから写真は引き伸ばすべき)

(3)そして、参列者の多くは兄弟つながりの親戚(結局、孫や家族の写真にはさほど興味がない)

(4)だから、親戚や友達の写真を多めに入れるべし(自分が映っていたら多分喜ぶ)
 
が、母と私のいきついた結論でした。
 
ただここからが大変。「デジタルデータがないのでどうやって引き伸ばすか」「A2サイズをどうやって印刷するか」そして、「時間がない」この3つが難点でした。
 

白黒写真はもろいので扱いにも一苦労

白黒写真はもろいので扱いにも一苦労

まずは素材集め。100円ショップで額縁を買い占め、膨大なアルバムから写真を選び、そして、PowerPointを駆使してアレンジしていきました。
データがない写真は、反射しないようライトの当て方を調整し、iPhoneで「写真」を「写真」に撮ってデータ化。引き伸ばしにも耐えられるiPhoneの画質に感謝です。
結局、印刷するには、コンビニプリントしか策がありませんでした。
それも最大A3までしか出力できないので、最後はA3とA3を貼り合わせてA2サイズに工作。仕上げは縁をボールペンでなぞって枠取り、というなんともアナログで手作り感満載な感じとなりましたが、案外、知恵を絞ればなんとかなるもんですね。
 
そんなこんなでほぼ徹夜で作っていたのですが、作戦が見事に的中し、自分が写っている!古い写真も良く見える(笑)と多くの人が喜んでくれました。写真を交えて昔話に花が咲いたって言ってもらえたのが印象的でしたね。

そうしたら案の定、嬉しくて調子に乗ってしまった私。祖父の葬式の時にはもっと気合を入れて作ってしまい、もう葬儀の時にはヘトヘトでした。
 

祖父の時のフォトブース。祖母の時よりも豪華(おばあちゃんごめん)

 
でも、祖父の時もみんなが喜んでくれました。写真を見ながら故人を懐かしむ、そんな手助けができたこと、そして、出迎える母たち側も参列者との会話のきっかけができて助かったらしく、やっぱり頑張って作って良かったなと心から思いました。
 

一番好評だった白黒写真。若い頃の二人。左が祖母の葬式用、右が祖父の葬式用

一番好評だった白黒写真。若い頃の二人。左が祖母の葬式用、右が祖父の葬式用

「自分が作りたくて作っただけだけど、結果として皆に喜んでもらえた。」

努力が報われるとかのレベルではなく、自身の欲やエゴがない純粋な想いにこそ、本当の喜びがあるのだと思います。

結果として、家族も親戚も、同じ時間を共有した全ての人たちにとって、心穏やかなひと時になったと思います。微力ではありますが、そんな空間を作れたことが、ただただ嬉しかったです。
 

最後のお別れに、一ミリの悔いもありません

だから、祖父母との最後のお別れに、一ミリの後悔もありません。それは、自分が出来る最大限の感謝の気持ちを形に出来たから。
 
確かに、コロナ禍でここ数年は会える回数も少なかったし、もう2人に会えないのかと思うと途方もなく悲しい。でも、生前にもらった2人の愛と御恩に対して、そして、生前に祖父母を支えて下さった周りの方々に対して、私なりの恩返しが出来たから、精一杯、見送ることが出来たと思っています。
 
今でも祖父母のことをよく思い出します。
祖父の納棺の際には、祖父が毎日つけていた日誌を入れました。88歳まで自営業の農機具屋をやっていたので、毎日記された日報は結構な冊数になっていました。
 

毎日欠かさず真面目に記していた祖父。ただ読むと結構面白い(笑)

毎日欠かさず真面目に記していた祖父。ただ読むと結構面白い(笑)

中身を覗くとお客さんや同業者とのやりとり、お店に来てくれた方、頂いたもの、御礼の言葉まで詳細に書いてありました。
 
不誠実で曲がったことが大嫌いの頑固者の祖父でしたが、お客さんはもちろん、仕事を通して関わる全ての人に対して、礼儀と気遣いが何より大切だと思っていたのだと思います。ずっと書き綴り続けてきた言の葉の数々から、そんなポリシーが伝わってきました。
 
今でも覚えているのですが、私が全国に出張に行くことを知っていた祖父は、毎回空を飛ぶ飛行機を見るたびに、
「もしかしたら有里さんが乗っているかもしれないから、毎回手を合わせて飛行機が落ちないようにお祈りしている。無事に着きますようにと。」
と言われたことがありました。
 
祖父は本気で飛行機が落ちたら大変だと思っていたらしく、でも、会えなくてもそうやってずっと想い続けてくれたことが本当にありがたかったし、そんな祖父がやっぱり大好きでした。
今は飛行機に乗るたびに、私は祖父のことを思い出します。
 
一方祖母は、私が何の仕事をしているのか最後までよく分からなかったみたいで、
「嫁にもいかないで、なんだかあちこち飛び回っている」と親戚に話していたらしく、葬儀の際に親戚のおばさんからそう聞いて、私は大爆笑。
 
でも、よく出張先から送っていたフルーツやお菓子は、毎回美味しく食べてくれていたみたいで、毎回お礼の連絡をくれたことも大切な思い出です。
 
このリレートークも出張先の飛行機の中で書いています。2人への感謝の気持ちと思い出を、より天国に近い場所で綴ることができ、改めて2人の孫で良かったなと心から思います。
窓の外の景色をぼんやり眺めながら、「おじいちゃん、おばあちゃん、今までありがとう」そう天国まで届けばいいなと想いを馳せつつ、今回の結びの言葉といたします。
 

今も仲良く同じ祭壇にいます。母はそれぞれにお線香をあげるのが毎日の日課だそうです

今も仲良く同じ祭壇にいます。母はそれぞれにお線香をあげるのが毎日の日課だそうです

最後に全くの余談ですが、祖父が丁寧に写真を残しておいてくれたので、今回いろいろと作ることができました。家族の写真もたくさん。特に私は初孫だったので、幼い頃の写真もたくさん出てきました。
 
だがしかし!!どの写真も超絶ブサイクでビミョーな顔ばかりなんです(怒)もうちょっと、可愛らしく撮ってほしかったな(泣)と言いたかったです。
 

この写真も相当ブサイク。しかもよく見ると鼻クソついている

この写真も相当ブサイク。しかもよく見ると鼻クソついている


企画部 企画広報課 藤田 有里

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