コミュニティモデル事業の2年を振り返って ~北海道積丹町~


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積丹町 丹波さん

2015年度から「海洋センターを活用した地域コミュニティの再生に関するモデル事業」に取り組み始め、丸2年が経過しました。そこで担当の丹場さん(AQ5回)にこの事業を振り返ってもらいました。

 

この事業に取り組んでから、確実に海洋センターを取り巻く人の流れが変わっていると感じています。以前はスポーツをするだけの施設だったので、スポーツをしない人は全く来ない施設でした。でも、このモデル事業で「スポーツをしなくても行っていいところなんだ…」と思ってもらえるようになったことがとても大きいと感じています。

 

スポーツ以外の文化活動も開催されるようになり、最近では文化活動連盟の会長さんも駐車の数が多いと、何をやっているのかと興味を持って覗きにくるようにもなりました。

 

成人、高齢者もスポーツ以外での利用(図書、合唱等)をきっかけに、スポーツ経験者が懐かしくなり、運動を再開する人もいます。子どもに関しても、運動はしたいけど少年団に入るまではやりたくないという子どもたちが「放課後子ども教室」で海洋センターを利用したことがきっかけで、普段から海洋センターを利用するようになり、今、卓球がブームになっています。

 

結果として「スポーツとしての取組み」に映ってしまうかもしれませんが、子どもも大人もスポーツを切り口にしていたら来館してもらえない人たちでなんです。

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「大人の混声クラブ」の様子。合唱サークルが発足し、先生がいない日でも自分達で集り、海洋センターで“自主練習”をするようになりました

 

 

モデルの取組みは町内だけでなく、北海道教育庁 後志教育局の社会教育指導班からも先駆的な取組みに高い評価をいただいています。管内の社会教育主事等の研修会でも発表し、調査研究委員の皆様にも賛同いただき、今後、協働で事業展開しないかとの話も出ています。

 

また、このモデル事業の取組みを知った北海道体育協会の方から、『運動はしたいけど少年団に入るまではやりたくない児童』をターゲットにした「チャレンジクラブ」という組織を立ち上げないかと声をかけていただき、新たな動きも起きています。

 

このチャレンジクラブは、人数の減少等で体育協会に登録できなくなった愛好会やサークルが合同で多種目を体験できる組織です。積丹町では体育協会に1団体しか登録しておらず、子どもたちの選択肢がありませんでしたが、小さな団体が息を吹き返し、今後は子どもたちの選択肢が広がると共に、幅広い体験機会を提供できることが期待できます。

 

チャレンジクラブ

道内のこども達にスポーツを楽しむ機会を提供し、様々なスポーツを体験することでスポーツへの興味・関心を向上させることにより、子どもの体力・運動能力向上を図ることを目的とし、更には各競技の底辺の拡大を図り道内のスポーツ振興を目指す。

 

子育て世代への情報提供として開催している「学びカフェ」ロビーも立派な講習会場です

子育て世代への情報提供として開催している「学びカフェ」
ロビーも立派な講習会場です

 

 

このコミュニティモデル事業の『成果』は当然、数値で提示することも必要ですが、住民の意識、行動が変容したことを肌で感じています。

 

例えば、キッズスペースを設置した“だけ”かもしれませんが、それをきっかけとして子育て世代が集まるようになり、自然発生的に「子育てサークル アンドリークラブ」が発足。サークルのメンバー9名が北海道教育委員会主催の「家庭教育ナビゲーター養成課程」を修了・認定され、町内の子育て世代に情報を発信するまでになりました。情報発信といっても、今どきのSNS(Line、Facebook等)発信だけではないそうです。ママさんたち曰く「SNSではなくて、子育てで困っている人と直接会って話すことが大事」なんだそうです。出生数は少ない町だからこそ、子育て世代が団結して、自分たちで子育てをしやすい環境に変えようと動き出しているんです。SNSでは伝えきれない、地域レベルの情報共有が有効に働くようになりました。

 

以前は比較的、行政に頼る傾向にありましたが、今は自分たちでできることは自分たちでやろうという、これまでにはない動きが自然と出てきたことには私も驚いています。

 

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子育てサークル「アンドリークラブ」が発足。海洋センターで子供と一緒に過ごす時間が増えました

 

積丹町には幼稚園がありません。保育園に預けることができない世帯は2つ隣の町にある幼稚園まで通っています。子育てサークルの主なメンバーは幼稚園組です。走り出した「母」は強いですね。園長に直談判し、この4月から積丹町まで送迎バスの運行を伸ばしてもらうことに漕ぎつけました。積丹町では幼稚園に通えないことを理由に引っ越してしまう世帯もあった中、こうやって自分たちで環境を変えるパワーが生まれたことは、同じ子育て世代、海洋センター担当者として大変喜ばしいことです。ちなみに、バスの発着所を海洋センターにしようかとの話も出ており、まさに子育て世代の活動の拠点に変わり始めているのです。

 

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今では夕方の海洋センターは子育て世代・小学生の「たまり場」です。用事がなくてもイベントがなくてもとりあえず海洋センターへ…という流れができました

 

モデル事業として3年目を迎える2017年度。3年前と比較して、格段に利用状況が変化し、より幅の広い年齢層が利用するようになりました。次年度は中学生にスポットを当てます。高校のない積丹町は高校生になると下宿のため町を離れる子どもが多いのが実情です。高校に行っても町の良さを忘れないで欲しいという思いもあり、町の片隅で集まるしかない中学生に居場所や活動する機会を提供します。

 

実はこんなエピソードがありました。昨夏、小学生の頃、海洋センターで毎日泳いでいた中学生が夏休みに海洋センターに来ていたので、水泳教室のサポートを依頼したところ、とても熱心に小学生を指導していた姿がありました。自分にも役に立つことがある喜びが彼らの顔には浮かんでいたのです。

 

中学生と言う多感な時期に、これまで経験したことのない「教える」という体験は自分の将来を考える大きなきっかけにもなったようです。実際、「高校に行っても戻ってきて小学生に教えたい!」「インストラクターになるには何を勉強すればいいの?」と言った具体的な意見が次々と飛んできました。

 

2017年度はそんな中学生にスポット当て、新しい事業を展開し、積丹町B&G海洋センターは「おもしろい」と思ってもらえることを目指します。

 

たったの3年で「地域コミュニティ」に関して何が変わったのか客観的な数値で表せる事項は少ないですが、海洋センターを取り巻く町民の行動は確実に変化しています。コミュニティの基礎は「同じ目的をもった人が集まって、自分たちでやりたいことを実現する」ことだと思います。

 

今年度もまた、新しい“人の動き”を生み出せるように、海洋センター担当者として、住民と共に活動していきます。

 

 

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もちろん高齢者も元気に集まってますよ!安全に指導ができる「B&G指導員」が常にいるので“安心”です

 

 

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事業部 事業課

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