北海道積丹町の今【9月レポート】~海洋センターを活用した地域コミュニティの再生に関するモデル事業~


「地域コミュニティの再生・活性化事業」について、秋真っ只中の北海道積丹町の様子についてお伝えします。

 

若い漁師さんたちの心意気!

これまで、子育てサークル「アンドリークラブ」による、お母さん同士、お父さん同士のコミュニティや避難所訓練での町全体でのコミュニティの活性化はご紹介してきましたが、今回はまた新たな交流が生まれましたのでご紹介させていただきます。

 

秋晴れの9月25日(日) 美国中学校グラウンドにて、“町民による町民を対象にしたソフトボール大会”が開催されました。

 

 迫力ある、プレーが続出しました!


迫力ある、プレーが続出しました!

 

「それだけ!?」と拍子抜けをされたかもしれませんが、このソフトボール大会が開催されるまでのストーリーが「肝」なんです。

 

実はこの大会の主催者は、東しゃこたん漁協共同組合美国青年部。そう、若手の漁師さんが企画立案、準備、実施まですべて行ってくれました。

 

近年、若手の漁師さんが増え始めた積丹町。漁業は町の主要産業でもあります。夏がシーズンの「ウニ」は最高に美味で、「美国」(びくに)ブランドとして有名です。夏場はウニを食べにとても多くの観光客が訪れます。

 

そんな漁師さんたち…、当然、荒天時や冬季は漁に出られません。そんな日は体を動かしに海洋センターに集まるようになりました。しかし、自分たちだけでスポーツをしていても飽きてきた様子…。

 

そこで、「海洋センターが実施する『コミュニティの再生に関するモデル事業』により、集いやすくなったスペースや機材を活用しながら、若い漁師(青年部)で何かできないか? と話していた」と語る青年部長の菊地省吾さん(26歳)。

 

菊地さんによると、「コミュニティとして自分たちにできることから活動しようという話になり、若い漁師はスポーツが得意なので、スポーツ活動を行えないかとの意見が多く出ました。コミュニティをキーワードとして考えた結果、団体・チーム競技であるほうが良いのではないかと考え、地域や職域でチームを作り参加しやすいチーム競技として、『ソフトボール』を交流機会として企画することに決定しました」とのこと。地域全体で盛り上がれる機会、楽しめる機会、異なる職種の人たちと交流する機会をつくりたかったそうです。

 

しかし、スポーツイベントの企画は全員が初めてで、パソコン作業も今ひとつ自信がありませんでした。早くもつまずきかけましたが、海洋センターに常勤している丹場指導員(AQ5回)に相談し、アドバイスをもらいながら、海洋センターで白熱した打ち合わせが連日行われました。

 

 初めての開会式で司会…緊張感が伝わってきます


初めての開会式で司会…緊張感が伝わってきます

 

自らグラウンドを整備し、司会も担当!

(菊地さんに質問!)

■企画運営で苦労した点はありますか?

パソコンが苦手なので、イベントチラシの作成は苦慮しました。丹場さんにとても助けてもらい、無事に完成しました。あとは細かい内容の調整ですね。

それから、経費の確保です。参加費だけでまかなおうと思ったのですが、あまり高額の参加費を取ると集まらないと思い、町内の商店などから協賛を募ることとしました。最初は協力依頼をするのに苦労しましが、結果として18の商店、企業から協賛金を集めることができ、おかげ様で充実した大会にすることができました。

 

 

当日は天気もよく、なんと7チームも参加。中高生や女性の参加もあり、盛大に開催されました。

 

ちなみに、大会の後援は「教育委員会」、「町体協」となっていますが、実質、青年部の方が全て行いました。荒れて使えないのではと心配されたグランドも自分たちで整備し、開会式も海洋センターからテント、放送設備を借りて司会進行も自分たちで担当。彼らにとっては、準備から含めて充実した大会になったようです。

 

 抜けるような青空の下、幅広い年代層から7チーム88名も参加いただきました


抜けるような青空の下、幅広い年代層から7チーム88名も参加いただきました

 

「7チームも集まるとは思ってもいなかった。協力いただいた皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです」と菊地さん。今後も、「住民が交流できるイベント」や「僕たち漁師の仕事への理解・関心が高まる取り組み」など、やりたいことがたくさんあるそうです。

 

今回のエピソードは、積丹町がモデルになり、海洋センターが「変わった」ことをきっかに生まれたもので、漁師さんたちにも良い刺激になったのではないかと思います。「地域コミュニティの再生」はそう簡単にはいかないことですが、コミュニティのスタートは「やりたいことをやりたい人がやる」ことだと思っています。青年部の皆さんが企画したソフトボール大会を通して、熱意をもって行動すると、その熱が周りに移り、大きな流れとなって新たなコミュニティが生まれることがわかりました。この流れを、次につなげていただきたいものです。

 

単純だけれど、海洋センターの取り組みをきっかけに、地域にとって重要な動きが実現できたことは、この事業の大きな成果だと、ちょっと胸が熱くなりました。

 

 白熱した試合展開。ご参加いただきました皆さん、お疲れ様でした!


白熱した試合展開。ご参加いただきました皆さん、お疲れ様でした!

 

 皆さんが集まるのは、次はいつでしょうか。楽しみですね


皆さんが集まるのは、次はいつでしょうか。楽しみですね

 

 

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事業部 大関 真理子

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