2024.11.01 UP 指導者養成研修 研修生と教官の立場で初めて2期連続参加した松岡が見る養成研修

日本財団助成事業

現在、自治体派遣研修制度(海洋センター所在の自治体職員をB&G財団へ派遣し、財団業務や各種研修等に参加する制度)を活用して鹿児島県天城町から赴任している企画部 企画広報課の松岡が6月の沖縄、9月の天城、それぞれ参加した養成研修について「自治体職員」×「B&G財団職員」×「指導者」の目線で見る。

  • 研修生」として参加した6月養成研修(沖縄県本部町)

    「研修生」として参加した6月養成研修(沖縄県本部町)

  • 「教官」として参加した9月養成研修(鹿児島県天城町)

    「教官」として参加した9月養成研修(鹿児島県天城町)

B&Gセンター・インストラクター養成研修

センター・インストラクター養成研修は、海洋センター・クラブ所在自治体の職員や担当者を対象に、海洋性レクリエーションをはじめとした自然体験活動などを通じて、青少年の健全育成と地域住民の健康づくりを推進し、地域コミュニティの活性化を担う指導員を養成することを目的として実施。1976年からこれまでに4,000人を超える指導者を養成している。
  2017年に、ヨットやカヌーなど海洋性レクリエーション専門の指導者と、水泳を専門とする指導者に分かれていた2つの資格を統合し、「センター・インストラクター」として、より幅広い指導ノウハウを習得できる資格へと移行した。

今年度から新たに加わった「指導法」試験

以前までは養成研修で実技を学び、実践は地域で先輩指導員から学ぶ形式であったが、地方自治体や指定管理者の人員不足、担当者の入れ替えなどが要因で、「現場で即戦力となる指導スキルを習得した人材育成」への要望が高まり、現場ニーズに応えるため新たに「指導法」のカリキュラムを設け、修了試験科目として追加した。実技や知識の習得だけでなく、技術面と指導面のスキルを磨き、第三者に対し正しい指導を行うことを目的としている。
  研修中は、ベテラン指導員がカヌーの各種ストロークや水泳のキック等を指導している動画を自由に視聴できるようになっており、動画の内容を覚えると最低限の指導法が身につく流れとなっている。

  • 沖縄研修での「カヌー実技指導法」

    沖縄研修での「カヌー実技指導法」

  • 天城研修での「水泳実技指導法」

    天城研修での「水泳実技指導法」

厳しい研修を乗り越えて参加者同士の絆を強固にし、全国に「仲間」ができる!

今年6月に行われた養成研修には、研修生として参加。⇒ 「第9回 センター・インストラクター養成研修」はじまる!
  本研修は、寝食を共にする合宿型研修になっており、礼節にはじまり、海洋性レクリエーション(主にヨット、カヌー)が水泳の実技および基礎指導、水辺での安全管理、心肺蘇生法のほか、子どもの自助意識向上のための安全教育、高齢者の健康づくりや障害者を含むインクルーシブな活動への対応など、多岐にわたった内容を習得する。毎朝6時30分の起床から7時の日朝点呼に始まり、午後7時30分からの夜間課業、自主学習を行い、午後11時就寝で終わる。各人の自由時間は1時間程度しかないハードなもの。
  全国から集まった、性別、年齢、経歴が異なる研修生と鼓舞しあいながら、技術を習得し、いかに向上できるかを考え、一人一人が常に課題と向き合っていく非日常体験の中で培ったものは今後の人生の糧になる。
  研修を修了すると、各地のB&G海洋センターに配属され、より適切な指導法を模索しながら海洋性スポーツ等の実践活動や自然体験・環境教育を通じた青少年の健全育成ほか、幼児から高齢者・障害者を含む地域住民の健康づくり及び防災力の強化にもつながる地域コミュニティの活性化に努める。

参加者へ指導を行いながら、自らも学びを得て向上し続ける!

養成研修では、B&G財団の職員をメイン教官として配置、専門的な実技指導やプログラムについては、海洋センターに勤務するセンター・インストラクターの有資格者に依頼し、一定期間の参加をしてもらう。
 教官の朝は早く、6時頃に集合し、当日の気象情報、課業内で誰がどう動くか、課業内容に対する計画は最善であるかなどの情報共有をしながら打ち合わせをする。
 その後の課業では、指導員としてだけでなく海洋センターの現場目線で研修生にアドバイスを与え、成長を促す。夜課業が終わった後は、その日の活動報告をSNSにて行い、課業中にヒヤリハットはなかったか、安全管理は最善であったかなど確認をして、資料作成などの多様な業務を行い、終了時刻は深夜12時頃になる。
運営側に携わることで、時間と労をかけ綿密に構成されたスケジュールをたて、いかに短期間で効率的に人材育成できるかを集約した研修であるかが再認識できた。
 教官・指導員の皆さんと過ごす中で印象的だったのは、モチベーションを維持し向上心を持って指導にあたっているということ。長年の経験や知識を持っている方でも、研修生の言動から取り入れられることを見聞きして、柔軟に物事を捉えていたことから、参加者と指導者の相互が成長を図れる研修であるといえる。
 海洋センターの人員配置が不足している自治体は、是非、研修参加の検討をしていただきたい。

「センター・インストラクター養成研修」は環境省から「環境保全活動・環境教育推進法」に基づく人材認定事業として登録されてる。

養成研修担当者に聞く
事業課 課長:鈴木 昭正

養成研修の主担当として 年2回、計70日以上に及び 養成研修の運営・実施を行う

◆やりがいを教えてください

指導者養成研修の担当になり、6年目になりました。
コロナ禍で研修実施が中止となった年もあったが、それを経て、感染防止対策として定員を半減し、現在は年間2回に分け研修を実施しています。
33日間の研修で、参加者の命を預かるため、十分な準備とイレギュラー対応があった際、臨機応変な対応が求められます。現場の指導スタッフと意見交換し、瞬時に最も有効な代替案を決定し、安全に実施できたときには達成感を感じます。
また、長期にわたる研修のため入念な事前準備が重要です。
事業は準備が8割と言われるように、各回の研修における重点内容をもとに、研修生の到達目標や前年度からの改善点などを指導スタッフと共有します。そのうえで、研修生の習得状況をスタッフとのコミュニケーションの中で把握し、場合によっては、実技の時間を増やすなど、臨機応変な対応を行うこともあります。
養成研修を修了した参加者が、地元に戻って現場指導で活躍している様子を新聞記事やニュース映像で見たときに、やりがいを感じ、来年度の実施への励みにもなります。

◆どんなことに気を付けていますか?

朝7時から夜23時の就寝時間まで、課業の実施や時間に追われ、年齢も経験も異なる方々が一堂に会する研修のため、相部屋の共同生活という点でもストレスを感じる参加者もいます。そのため、夕食をいつもと異なるバーベキューとし参加者とスタッフで懇親する機会を設けるなど、リフレッシュする機会を設けるように心掛けています。

◆参加者へのメッセージ

研修では、初めて体験することや経験したことのないことばかり直面すると思いますが、そんなときでも、何事にも前向きに取り組み、新しいことにも挑戦していく気持ちを持って、参加してほしいと願っています。無事に修了した暁には、研修同期とのかけがえのない絆を得て、成長した自分に自信が持てると確信しています。

企画部 企画広報課 松岡 秀子

今年度開催された養成研修に、「自治体職員」×「B&G財団職員」×「指導者」として、多角的思考で参加させていただくことができ、非常に実り多い経験となった。海や自然環境に興味を持ってくれる方がいなければ指導者として活動できないので、新たな時代に相応しい青少年の育成とともに、地域活性化に貢献できるよう“愛される指導者”を目指し、今後の活動に励みたい。

これまで開催された「B&G指導者養成研修」