子どもと地域を支える指導者約650人が参加
「第6回 B&G全国指導者会 総会」を開催

日本財団助成事業

第6回B&G全国指導者会 総会を2月25日(水)・26日(木)の2日間、東京国際フォーラムで開催し、海洋性レクリエーションや水辺の安全教育を通じて地域づくりに貢献する指導者633人が参加した。

  総会では、基調講演や講義、事例発表を通じて指導員の資質向上を図るとともに、日本財団会長 指導員褒賞をはじめとする優良指導者の表彰、全国指導者会役員の選任、次期基本方針および活動目標などの審議が行われた。

全国指導者会総会の様子

B&G財団は1976年から、海洋性レクリエーションや水辺の安全教育を通じ、地域づくりに貢献する指導者の養成に取り組み、これまでに2万3,000人を超える指導者を育成。こうした指導者の力を結集し、青少年の健全育成や地域の活性化をさらに推進するため、2010年に「B&G全国指導者会」が結成され、3年に一度、総会を開催している。

1日目

オープニングアウト

開会前には、オープニングアクトとして東京大学運動会応援部が演舞を披露し、会場の雰囲気を一層高めた。

東京大学運動会応援部の演舞

主催者挨拶

B&G財団会長の前田は、参加への謝意を述べるとともに、子どもたちの健全育成や地域の活性化には指導者一人ひとりの協力が不可欠であると強調し、「今後も地域社会の健全な発展に向けてともに取り組んでいきたい」と語った。

B&G財団会長 前田会長

B&G全国指導者会 会長挨拶

続いて、B&G全国指導者会会長の工藤祐直氏(青森県南部町長)は、B&G指導員の役割はマリンスポーツや水辺の安全教育、海ごみ対策、食品ロス削減など、まさに社会貢献そのものであると述べ、「これからも一丸となって地域社会の発展に向け、ともに歩みを進めたい」と語った。

B&G財団会長 前田会長

来賓挨拶

日本財団会長の尾形武寿氏は、ここに集う指導者の活動こそが今の日本に必要な取組であると強調したうえで、「子どもたち、次の世代を元気で明るく育てることが重要だ。私たちが向き合うのは、10年後、20年後の社会をどう築くかという課題であり、その積み重ねが日本の未来を形づくる」と述べた。さらに、志ある指導者の活動を今後も支援していく考えを示した。

日本財団会長の尾形武寿

「日本財団会長 指導員褒章」表彰

「日本財団会長 指導員褒章」は、資格登録10年以内の若手指導員の中から顕著な功績を挙げた者を表彰し、若手の意欲向上とB&G指導員の価値向上を図るものである。
  今回は最終候補者10人の中から北海道砂川市の谷口皓一郎指導員が選ばれ、日本財団会長の尾形武寿氏から表彰状と賞金50万円が贈られた。

「日本財団会長 指導員褒章」を受賞した谷口皓一郎指導員

基調講演
「挑戦することで広がる世界」
リオパラリンピック陸上400m銅メダリスト 辻 沙絵 氏

私は生まれつき右腕の肘から下がない状態で生まれ、ボタンを留める、靴下を履く、靴紐を結ぶなど、多くの人にとって当たり前の動作も挑戦の連続であった。幼い頃から失敗と挑戦を繰り返しながら、「できない」を一つずつ「できる」に変えてきた。
  ハンドボールでは小・中・高・大学まで競技を継続。日本体育大学に進学後も特別扱いのない環境の中で基礎を徹底的に磨き、片手でも通用するプレーを確立した。
  その後パラ陸上へ転向し、データ分析を取り入れたトレーニングを重ね、リオデジャネイロパラリンピックで銅メダルを獲得。東京パラリンピックでは5位、パリパラリンピックでは7位に入賞し、自己記録も大きく更新した。

辻 紗絵氏

挑戦とは特別なものではなく、日常の小さな一歩の積み重ねである。失敗は大きな花を咲かせるための過程であり、恐れて踏み出さないことのほうが人生においてはもったいない。挑戦を口にすることで仲間が集まり、一人では成し得ない未来が拓けていく。
  小さな一歩が、自分を前向きにし、周囲に力を与え、次の世代へとつながっていく。挑戦の先に広がる可能性を、これからも伝え続けていく。

ブロック対抗 のせて!かついで!大運動会

ブロック対抗のアトラクションとして、制限時間内に用意されたパレットに何人の競技者が安全に乗れるかを競う「華のステージ」と、重さ30kgのおもりを頭上に掲げてどれだけ長く保持できるかを競う「怪力!全指会一(重量挙げ)」の2種目が行われた。
  優勝は北陸ブロック、準優勝は東北ブロック、3位は近畿ブロックとなった。賞品として、B&G財団会長の前田より北海道のビールが、全国指導者会の工藤会長より青森県産のリンゴが贈られた。

  • ブロック対抗「華のステージ」

    ブロック対抗「華のステージ」

  • ブロック対抗「怪力!全指会一(重量挙げ)」

    ブロック対抗「怪力!全指会一(重量挙げ)」

議題審議

第1号議案「役員の選任について」
議案審議では、はじめに「正副会長」の選任が行われ、出席者の拍手をもって以下の4人が承認された。

<正副会長>

役職 氏名 所属
会長 工藤 祐直 青森県南部町名川B&G海洋センター
副会長 曽根 由多 静岡県牧之原市相良B&G海洋センター
副会長 工藤 陽平 熊本県湯前町B&G海洋センター
副会長 中島 博臣 B&G財団

任期:2026年2月25日~2029年開催の次回全国指導者会総会まで

<ブロック責任者>

ブロック 氏名 所属
北海道 長尾 美和 北海道大空町女満別B&G海洋センター
東北 清野 昭雄 福島県小野町B&G海洋センター
関東 林 登紀枝 群馬県みなかみ町新治B&G海洋センター
北陸 大村 貴則 富山県南砺市福野B&G海洋センター
中部 小澤 誠一 長野県大町市B&G海洋センター
近畿 前谷 光宣 兵庫県南あわじ市南淡B&G海洋センター
中国 芦田 孝弘 岡山県奈義町B&G海洋センター
四国 佐倉 亮 香川県池田B&G海洋クラブ
北九州 織田 渉良 佐賀県太良町B&G海洋センター
南九州 片野 由美子 鹿児島県日置市東市来B&G海洋センター

任期:2025年4月1日~2028年3月31日まで

正副会長・ブロック責任者

続いて、アドバイザーを務めていた川島正光氏(久喜市栗橋B&G海洋センター)、金久博氏(阿南市B&G海洋センター)の両名が今期をもって退任し、今後は後進の育成に尽力されることとなった。

  • 川島氏

    川島氏

  • 金久氏

    金久氏

第2号議案「今後の活動方針、活動目標について」

続いて、曽根副会長が2023年度~2025年度の活動報告を行った後、工藤副会長が次期ビジョン・基本方針・活動目標の説明を行い、次の事項を実施することが承認された。

①郷土の魅力を活かした自然体験プログラムの実施と質の向上
②自然体験をはじめとした海洋性レクリエーション、海ごみ等の環境学習の実施
③保護者・地域住民も対象とした水辺の安全教育プログラムの実施
④ブロック別指導員研修会への参加
⑤食育の推進に向けた取り組み

指導員グランプリ表彰

「指導員グランプリ」は「B&G海洋性レクリエーション指導員」の指導員資格登録者を対象に、ブロック連絡協議会の推薦をもとに、B&G財団が審査し決定するものである。
  今回は最終候補者10人の中から広島県呉市の鬼塚一夢指導員が選ばれ、B&G財団会長の前田より表彰状と賞金30万円が贈られた。

「指導員グランプリ表彰」を受賞した広島県呉市の鬼塚一夢指導員

特別表彰

続いて、昨年3月、急性心筋梗塞で倒れた利用者をAEDで救助した功績を称え、広島県坂町B&G海洋センターの仲前拓哉指導員の特別表彰を行った。B&G財団会長の前田より表彰状と賞品として国産ブランド牛が贈られた。

「特別表彰」を受賞した仲前拓哉指導員

1日目 総評

指導者養成研修の講師を務める、B&G財団評議員で中央大学理工学部教授の小峯力氏は、今回の人命救助表彰は、指導者養成の成果が確かな形となって表れたものであると強調。
  「B&Gの本質は技術の習得ではなく、人づくりにある。AIやIoTが進む時代においても、人の心を育てる力は代替できない」と述べ、さらに「自然体験や地域活動を通じて人を育ててきたB&G財団の取り組みは、今後ますます重要になる」と総評した。

中央大学理工学部教授の小峯力氏

2日目

開会挨拶

B&G財団常務理事の岩井は、昨日の議案審議を通じて「これまでの成果と次期3ヵ年の方向性を共有し、指導者の役割の重さと可能性を改めて実感した」と述べ、「本日も今後の活動に力を与える機会になることを願っている」と語った。

B&G財団常務理事 岩井

講義①
「SNSを活用した広報活動について ーNPOの情報発信から学ぶー」
公益財団法人日本非営利組織評価センター
業務執行理事 山田 泰久 氏

SNSで情報発信を行う際は、まず目的を明確にすることが重要である。イベント申込の促進や利用者増加など達成目標を定め、1投稿1テーマで訴求する。また、参加によって得られる学びや成長、安全性といった価値を言語化して伝えることも大切だ。
  情報発信は、ホームページやブログなどの「ストック情報」と、InstagramなどSNSの「フロー情報」を両輪で運用し、検索流入と拡散力を高める。発見性向上には「分野×地域」を軸にSEOを設計し、地名と種目名を明記し、ハッシュタグ活用やいこーよなどへの登録で流入経路を広げる。

辻 紗絵氏

運用面では、現場が原稿を作成し、広報が編集・掲載する体制を構築する。あわせて年間・月間の投稿計画を策定し、継続的な情報発信を行う。さらに、写真掲載の同意取得や適切なパスワード管理など、セキュリティとプライバシーへの配慮を徹底し、信頼性を高める。
  重要なのは、目的を明確にし、ストックとフローを連動させながら継続することである。単なる告知ではなく、行動を生み出す広報への転換が求められる。

講義②
「思いはただ1つ…子どもたちの命を守ること! ー香川での取り組みから見えてきたことー」
子どもたちにライジャケを!
代表 森重 裕二 氏(ライジャケサンタ)

19年間にわたる啓発活動を基盤に、「溺水は静かに起こる」という事実の普及と、法的義務を踏まえたライフジャケットの準備・着用の徹底を進めてきた。装備の確保、学校教育への組み込み、政策との連動を柱に取り組んでいる。
  香川県では、17市町中16市町で貸出体制を整え、直島町では全児童分を配備。寄贈や広域貸出の拡充により、全国28町へ計603着を展開し、必要なときに使える環境を整えてきた。その結果、海開きでの児童「全員着用」を達成するなど、着用が当たり前という文化が広がりつつある。

辻 紗絵氏

あわせて、絵本「かっぱふうちゃん」や「良いこの水辺のお約束」リーフレットなどを活用し、理解と行動を結ぶ教育を推進。関連する判決や文部科学省の通知を踏まえ、事故の教訓を制度改善につなげることを重視している。
  今後は啓発にとどまらず、企業や団体の協力を得ながら、実際に使えるライフジャケットを増やし、全国への貸出拠点の拡充と指導体制の充実を進めていく。装備があるから着用でき、着用するから命が守られる。香川モデルを全国へ広げ、ライフジャケット着用を日本の水辺文化として定着させることを目指す。

事例発表①
「地域・保護者を巻き込んで水辺の安全教育を広げよう!」
兵庫県南あわじ市南淡B&G海洋センター 前谷 光宣 氏

海洋センターでは、「親子向け海洋スポーツ体験教室」を通じて水辺の安全教育を実施している。2008年度に実施した小野田寛郎氏の親子キャンプを契機に、保護者参加型の安全教育を本格化し、親子で実践的な知識と行動を身につけることで水難事故ゼロを目指している。
  教室は年間約30回、延べ約600人が参加。ライフジャケットの理解促進や入水しない救助体験、心肺蘇生・通報手順の確認などを通じ、判断力と行動力の向上を図っている。参加者からは安全意識の高まりや行動変容が見られる。障害のある子どもが安全に体験できたことへの評価も高い。

兵庫県南あわじ市南淡B&G海洋センター 前谷 光宣 氏

2024年度からは、市内すべての保護者が加入している「こどもあんしんネット」を活用したデジタル申込に移行し、業務効率化と経費削減を実現。今後はLINEやSNSによる広報強化、関係部署との連携を進め、2026年度は保護者・地域住民を対象とした水辺の安全教育を一層強化していく。

事例発表②
障がい児スポレク事業「みんなスマイル スポレク交流岱明BG」
熊本県玉名市岱明B&G海洋センター 東 美佳 氏

障害のある子どもたちに体を動かす楽しさと継続的なスポーツ活動のきっかけを提供し、心身の健全な発達とインクルーシブ社会の実現につなげることを目的に、市内5ヵ所の放課後等デイサービスの児童を対象に実施した。
  初開催にあたり、特別な演出よりも「シンプルで無理のない構成」を重視し、全体活動と個別選択活動を交互に実施。しっぽ取りやパラバルーン、ボッチャ等を通じて、特性や興味に応じて参加できる環境を整えた。また、当初計画になかった休憩スペースを設け、「休んでもよい」ことを明示することで多様なニーズに対応した。

熊本県玉名市岱明B&G海洋センター 東 美佳 氏

運営面では、県内海洋センターネットワークにより安全管理体制を強化。施設の先生方の意見を反映し、安全かつ円滑に実施できた。参加者や先生方からは「また実施してほしい」との声が寄せられ、十分な効果を確認できた。今後は視覚的な説明を充実させ、より理解しやすい運営を図るとともに、2026年度は県内各センターでの定期開催を目指す。

閉会挨拶

B&G財団常務理事の朝日田は、今回の総会を振り返り、「活動の価値化」が重要な視点であると述べ、私たちの活動を社会にわかりやすく発信していく必要性を強調した。そして、「この2日間の学びをそれぞれの現場での活動に生かしてほしい」と呼びかけた。

B&G財団常務理事 朝日田

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