事業内容を知る B&G指導員研修会

B&G財団「2023年度B&G指導員研修会」を開催
2024.02.05 UP

全国241ヵ所の海洋センターから284人の指導者が参加、「多様化する時代に 求められる地域スポーツ」をテーマに最新の指導法を学び交流

B&G財団は2024年1月30日(火)、31日(水)の2日間、イイノホール&カンファレンスセンター(東京都千代田区)で4年ぶりに「2023年度B&G指導員研修会」を開催。全国241ヵ所の海洋センターから284人の指導者が参加し、「多様化するこれからの時代に 求められる地域スポーツとは」をテーマに最新の指導法を学ぶとともに、全国から集まった指導者が情報交換や交流を図った。

指導員研修会の様子

指導員研修会の様子

開会挨拶で、B&G財団理事長の菅原悟志は「2023年に設立50周年を迎え、ブルーシー・アンド・グリーンランド財団という組織名称から、B&G財団へと変わった。それに合わせ常識も地域も変えていく。これが5ヶ年間で取り組む命題だ。一緒になって地域の発展のために尽力していきたい」と話した。続いて今年1月1日に発生した能登半島地震で石川県に所在する3つの海洋センターでの被害発生事例を報告。被災地支援として「B&Gフレンドシッププロジェクト2024」を立ち上げ、配慮を必要とする人々や犠牲者、またその家族、災害対応にあたる自治体職員などへ支援することを示し、研修会参加者にも協力を求めた。

  • B&G財団理事長 菅原悟志 開会挨拶

    B&G財団理事長 菅原悟志 開会挨拶

  • 「令和6年能登半島地震」災害支援について

    「令和6年能登半島地震」災害支援について

「名将トム・ホーバスから学ぶ 人の心を動かすコーチングスキル」
バスケットボール男子日本代表ヘッドコーチ トム・ホーバス氏

トークショーの様子

トークショーの様子

バスケットボール男子日本代表のヘッドコーチを務めるトム・ホーバス氏を招き、「名将トム・ホーバスから学ぶ 人の心を動かすコーチングスキル」と題したトークショーを行った。

ホーバス氏は幼い時から負けず嫌いだった性格や、常にNBA選手を目指していたこと、その夢を追い続けた経験を語り、「最初に掲げた目標を変えずにやっていくことが大事」と強調した。また、トヨタ自動車所属時代に仕事とバスケの両立に努めた苦労話も披露した。
女子日本代表ヘッドコーチ就任時は金メダル獲得を明確な目標に掲げ、選手の信念を高めることを意識。厳しい練習も信頼関係があればこそ成立すると話す。実際にリオデジャネイロオリンピックでアシスタントコーチを務めた際には8位、東京オリンピックでは準優勝を果たしている。
一方でBリーグに所属する選手が多い男子日本代表は、合宿期間が短くチーム作りに時間が割けないという問題があったが、「厳しいことだけに捉われず、女子とは違う雰囲気で楽しく明るいチーム作りを心掛けた」と話した。
子供への指導では基本的なことをしっかり教えることが大切で、長い時間をかけるよりもメニューを考えて、無駄な時間を作らない。そして、楽しみながら取り組める雰囲気がパフォーマンスアップにつながるとした。

ホーバスHC「信じること大事」「厳しさだけではついてこない」講演会でスピーチ
日刊スポーツweb版に掲載
ホーバスHC「いい思い出」満員電車通勤やFBI採用寸前などのエピソード明かす
日刊スポーツweb版に掲載

軽快なトークで会場を惹き付けるトム・ホーバス氏

軽快なトークで会場を惹き付けるトム・ホーバス氏

「多様な人々を受け入れるために~求められるスポーツ指導のパラダイム変換~」
日本福祉大学スポーツ科学部教授 藤田紀昭氏

日本福祉大学教授の藤田紀昭氏は、多様な人々を受け入れるために必要な、スポーツ指導の転換について講義。藤田氏は「勝つ以外にも様々なスポーツの楽しさがある。また、教えてできないと叱ったり、体罰に走ってしまったり、お前は駄目だというラベリングになることもある」と話し、従来の「勝ち」にこだわる指導からの転換が必要と指摘。子供たちが上達し、よりスポーツを楽しめる指導が重要だと述べた。また、人種、肌色、性別、性的指向、政治や障がいの有無などスポーツの場では存在意義を押し測ることが理想で、そこには議論によりせめぎ合いが起きるが、多様な人々を受け入れる姿勢が大切だとした。

藤田紀昭氏による講義

藤田紀昭氏による講義

「コーチングの新しい潮流:NO!スポハラとプレーヤーズセンタード」
大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科教授 土屋裕睦氏

大阪体育大学大学院の土屋裕睦教授は、スポーツハラスメントの根絶に向けた取り組みについて講義を行った。土屋氏は2013年の「スポーツにおける暴力行為根絶宣言」から10年が経過した今、体罰は減少傾向にある一方で、ハラスメントに関する通報は増加傾向とのデータを紹介。「かつては一般的に『叩いたり蹴ったりしちゃ駄目ですよ』『体罰は暴力行為ですよ』で10年やり過ごしてきた」とし、今はスポーツ指導に関わる者なら、一般社会から高潔さや清廉さ、フェアプレイの精神等が求められる。そして差別的発言は、もう絶対あってはいけないことを強調した。その上で指導者の関与が大きいアスリートファーストという考え方から、競技者と愛好者の両方が主体となるプレーヤーズセンタードへの転換が求められているとした。

土屋裕睦氏による講義

土屋裕睦氏による講義

海洋センター事例発表

「自然体験活動を通じた浜田市の郷土教育について」
島根県浜田市三隅B&G海洋センター 山田憲司氏

山田憲司氏による事例発表

山田憲司氏による事例発表

山田憲司氏は島根県浜田市の自然体験館を通じた郷土教育の取り組みを発表。浜田市は自然豊かだが、人口減少や高齢化が進んでいる。これに対して、子どもたちにふるさとへの愛着や誇りを持ってほしいと考え、学校や地域と連携した郷土教育を実施。学校や民間団体と連携し、海や川、山を舞台に自然体験活動を実施し、子どもだけでなく、保護者からも高評価を得ていることを紹介した。

「障がい者スポーツに携わって、今思うこと」
静岡県御前崎市B&G海洋センター 土屋あづさ氏

土屋あづさ氏による事例発表

土屋あづさ氏による事例発表

土屋あづさ氏は静岡県御前崎市における障がい者スポーツの取り組み事例を発表。保護者からは評価が高く、「障がい児の生活の質の向上に繋がっている」との意見がある一方、障がいの種類に合わせたきめ細かい対応が今後の課題として挙がっていると説明。土屋氏は「障がいのない人はスポーツをした方がよいが、障がいのある人はスポーツをしなければならない」という言葉を痛感しており、次年度以降のマリンスポーツ体験や、ウォーキングサッカーなどの実施計画に言及した後、B&G海洋センターが障がい者スポーツ推進への役割を担うことに大きな期待を示した。

研修2日目:選択研修
RoomA 発達が気になる子どもとの上手な関わり方
一般社団法人日本運動療育協会 代表理事 岡田達雄氏

2日目の研修は会場を分け、参加者は事前に申し込んだ講義に参加する選択形式で行われた。

RoomAでは、一般社団法人日本運動療育協会 代表理事の岡田達雄氏が「発達が気になる子どもとの上手な関わり方」と題し講義を行った。
発達の遅れや、気になる行動が多い子どもは、言うことを聞けない「困った子」ではなく、感情を上手く伝えることができずに「困っている子」だとし、子どもの見方を変え、子どもと同じ目線に立ち共感することが重要と話した。感情は行動の原動力となり、ストレスが行動に反映される。だからこそ豊かな感情を育てる必要がある説明。最後に、発達が気になる子どもに対し、心や体、頭の発達を意識し、子どもに興味を持たれる存在でいることが重要であり、子どもとの関わり方を変えることで、子どもは学びが楽しくなり、大人も教えが楽しくなると説明した。

岡田達雄氏

岡田達雄氏

RoomA 子どものやる気と自主性を引き出す質問
一般社団法人スポーツリレーションシップ協会 代表理事 藤代圭一氏

続いて「子どものやる気と自主性を引き出す質問」と題し、スポーツリレーションシップ協会の藤代圭一氏が講義を行った。藤代氏自身が以前サッカーのコーチを行っていた時の失敗談等を交え「いい質問」、「悪い質問」の具体例を説明。途中、参加者同士で質問し合う等、実践形式で行われた。
人はできていないことに目が向きがちになってしまう。そこに目が向くとできていることが見えなくなってしまう。意識的にできていることに目を向けることでポジティブなところを探す質問ができるようなり、良好な関係性を築くことができると話した。
また質問とは、「光を当てる」ことと説き、全体を照らすことも、一部をクローズアップすることもできる。いい質問ができれば、自己発見が促進され、信頼関係の構築や、選手のパフォーマンス向上につながるとした。

藤代圭一氏

藤代圭一氏

RoomB 熱中症のメカニズムと対策
大塚製薬株式会社ニュートラシューティカルズ事業部 小森みゆ氏

RoomBで行われた選択研修では、大塚製薬株式会社ニュートラシューティカルズ事業部の小森みゆ氏が「熱中症のメカニズムと対策」と題し、熱中症の症状と対処法、予防法に関する講義を行った。夏場での屋外活動を行うことが多いB&G指導員にとって、熱中症は避けることができない安全対策の一つであるため、参加者は興味深く講義を受けていた。

森みゆ氏

森みゆ氏

小森氏は、温暖化の影響から熱中症は増加傾向にあり、子どもや高齢者は暑さに弱い。特に、中学1年や高校1年など運動部に入った1年生は、統計的に熱中症となる傾向が分かっている。これは、環境が変化し運動量に体が慣れていないためだと考えられると熱中症に関する現状について説明した。また、スポーツにおける熱中症予防には、WBGT(暑さ指数)計測器を使い、数値の高い場合は中止すること、本格的な暑さが到来前の5~6月から、運動負荷を高め暑熱純化をしていくことが有効であることを説明した。

RoomB ICTを活用したスポーツの地域格差解消
ソフトバンク株式会社コーポレート統括CSR本部 宮川拓也氏

続いて、講義に立ったソフトバンク株式会社コーポレート統括CSR本部の宮川拓也氏は「ICTを活用したスポーツの地域格差解消」と題し、ソフトバンク株式会社がCRR活動として自治体や部活動に提供しているAIスマートコーチなどの現状を説明した。スポーツ庁が推進している部活動の地域移行や学校の体育授業で、スポーツ指導ができる指導者がいない地域があり格差が生じていると指摘。その一つの解決法としてスマートフォン・タブレット用アプリを利用した事例を紹介した。

宮川拓也氏

宮川拓也氏

RoomB 業務効率化により可能になった令和の指導改革
株式会社千葉ジェッツふなばしアカデミー部 田代将也氏

最後の講義として「業務効率化により可能になった令和の指導改革」と題し、株式会社千葉ジェッツふなばしアカデミー部の田代将也氏が壇上に立った。「千葉ジェッツ」はバスケットボール界日本人初の1億円プレイヤーとなった富樫勇樹選手が所属しており、千葉県をバスケットボール王国にすることを目指し、ユースチームも運営している。しかしながら、他業務に忙殺され重要であるコーチスキルの向上が実行できなかったことがチーム課題であったと田代氏は語った。そこで、DXを導入することにより業務の効率化を図り、コーチングスキルを向上させる時間を確保。その結果、スクール運営を安定化させることができた経験から、DX等 活用出来るものを利用しながらコーチングスキルを高めることの大切さを説いた。

田代将也氏

田代将也氏

全国指導者会からのお願い
静岡県牧之原市相良B&G海洋センター
B&G全国指導者会副会長 曽根由多氏

講義の後、B&G全国指導者会副会長の曽根由多氏が全国指導者会のビジョン、基本方針、活動目標などを説明。参加者に対し今までの取り組みの促進に加え、2024年度から2025年度は、「自然体験活動を通じた郷土教育」の定着を図ることをお願いした。

曽根由多氏

曽根由多氏

閉会

B&G財団常務理事 朝日田智昭

B&G財団常務理事 朝日田智昭

閉会の挨拶でB&G財団常務理事の朝日田智昭は、研修会参加への感謝と、2日間の研修内容のポイントに触れ感想を述べた後、「日々学ぶことをやめない指導者の方々を尊敬するとともに、新たな情報提供をできるよう、指導員研修会を開催していくので次回も是非参加していただきたい」と結んだ。

その他、当日の様子

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