【B&G職員リレートーク】海を好きになってくれた「彼女」(一人の参加者)


B&G財団が毎年沖縄県本部町で開催している「B&G海洋性レクリエーション指導員養成研修」が、この7月4日、33日間の全日程を終了した。

 

この養成研修は、全国390カ所の自治体に、青少年の健全育成と住民の健康づくりを目的に財団が建設した「B&G海洋センター」の施設管理・運営、主に海洋性レクリエーションや水泳の実践指導に努め、地域のリーダーとなるべく人材育成を目的とした合宿研修で、名称、研修期間は変われども1975年度に始まって以来、今年度までに約20,000人の「B&G指導員」を養成している。

 

今回は、北は北海道から南は沖縄県まで、同じ目的を持った20~40歳までの成人男女79名が不安な面持ちで6月2日本部町に集結した。

 

不安な面持ちでユニフォームや資料を手に取る参加者

不安な面持ちでユニフォームや資料を手に取る参加者

 

今年の沖縄は例年に比べ梅雨明けが遅く、時折日差しがあったものの海洋実技が中心となる研修の中盤は雨の日が続き、あのエメラルドグリーンの海での実技ができず残念であった。

海洋実技は、主にディンギーヨットとカヤックの取り扱いから、基本的な操作と指導法のほか安全管理を学ぶ。

 

その日の天気も雨。ヨット実技2回目。風速6~8mの南西の風にヨットが初心者の参加者は何度も何度も沈(転覆)を繰り返していた。

その中の一人に彼女も混じっていた。その日の練習を終え桟橋に上がった彼女は、雨の中、桟橋の上で震えていた。

 

何度も沈(転覆)して体で感覚をつかんでいく

何度も沈(転覆)して体で感覚をつかんでいく

 

ヨットの塩抜きなど片付けが終わった後、彼女に話を聞いてみた。

 

実は・・・「子どものころ海で溺れた経験があり、海に入るのが怖くて怖くて・・・」と話す。

しかし、この後もまだまだ海洋実技は続く。

海上でのパニックは大きな事故に繋がる可能性があることも知っている。彼女にこの後の海洋実技を続行させるか否かを決断しなければ・・・・。

 

翌日も彼女には何度も声をかけた。顔色も何度も見ていた。本人の意思を第一に尊重して、気象海象の状況を確認しながら、彼女がやれる範囲で様子を見ることにした。

この時、「彼女に海を好きにさせたい」と、私の本研修の課題に追加した。

 

幸いにもこの日以降4、5日は気象が安定してきて、風速3~5m前後の順風。全員のセーリングが日に日に上達してきた中、舵を握っている彼女の顔から笑顔が見られるようになった。

 

日に日に上達してセーリングが楽しくなったころ

日に日に上達してセーリングが楽しくなったころ

 

私が何をしたわけではない。

彼女自身が町を代表して研修に参加してきた責任感と、支え励まし合ってくれた79名の仲間、それと、時には厳しく、時には優しかった沖縄の自然が彼女の苦手を克服させ、心と身体を成長させてくれたのだと思う。

 

研修の終盤、修了にあたってのレポートを書いてもらっている。彼女のレポートの文末にこう書いてあった。

 

「苦手だった海を乗り越え、好きになりました。人は変わることが出来る・・・」と。

 

この夏、子供たちにヨットやカヌーを指導している彼女の笑顔が目に浮かぶ。

 

本部町の子どもたちにカヌーの指導した指導実習

本部町の子どもたちにカヌーの指導した指導実習

 

 


事業部 事業課 坂倉 一寿

3 コメント

  1. 栗橋のチュウ太郎 より:

    いい話ですなぁ部長の指導力はリスペクトしておりましたが、これほどのエッセイストだったとは、恐れ入りました。研修お疲れ様でした。

  2. 光海洋センター 平野 より:

    坂倉教官、懐かしいですね。
    本部町の三か月が、懐かしいですね。
    強風の中の伊江島クルーズを、思い出しました。
    これからも若い指導者の育成を、よろしくお願いします。

  3. popyes より:

    さすが坂倉教官!彼女は、素晴らしい指導者になると思います。good job!

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