2023.09.12 UP 漂着ごみ専用ごみ箱「B&G拾い箱」 美しい海を未来の子供たちへ残したい~漂着ごみの回収「拾い箱」

長崎県時津町・熊本県長洲町の「拾い箱」が完成

CHANGE FOR THE BLUE 海の未来を変える挑戦

B&G財団では、長年に渡って環境保全に対する意識付けを図ることを目的に全国で「B&Gクリーンフェスティバル」を推進してきた。2019年度からは、より海洋ごみの対策を強化するため、「海ごみゼロフェスティバル」に取り組んでおり、ゴミ拾いをより身近に感じ、地域の海や山、そして、身近な自然を大切にする意識を育むことを目的の一つとしている。

しかし、ゴミ拾いがイベントとして実施される一方、一時的な海岸清掃にとどまらず、海を訪れた誰もがいつでも漂着ごみを回収できる環境を整えることが必要と考え、漂着ごみ専用ごみ箱「B&G拾い箱(以下、拾い箱)」の設置事業にも取り組んでいる。設置される拾い箱は、各自治体によって統一した規格ではなく、その場所に合った仕様のものが置かれている。そして、外観には素敵な絵がそれぞれ描かれており、この外観にも各自治体のセンスが光る。

2023年度は全国5ヵ所に設置される予定だが、今回は、長崎県時津町と熊本県長洲町に完成した拾い箱と、そのお披露目会の様子を紹介したい。

  • 長崎県時津町のお披露目会にて

    長崎県時津町のお披露目会にて

  • 熊本県長洲町のお披露目会にて

    熊本県長洲町のお披露目会にて

可愛い海の生き物がペイントされた長崎県時津町の「拾い箱」

美しい大村湾に面する町、長崎県時津町。風光明媚な景色が広がる大村湾の海は、穏やかな波が海岸に打ち寄せる様から「琴の湖」(ことのうみ)の別名があるほど。その大村湾のすぐそばにある時津町B&G海洋センターに、拾い箱は設置されている。コンクリートブロックで出来たその箱は、黒色のシックな下地に、色鮮やかな海の生き物たちの絵が輝く。同じく黒いフェンスで出来たドアが取り付けられており、子どもたちでも簡単にゴミを捨てることが可能だ。時津町では、扉の施錠は特にしない予定だ。だれでも好きな時に海のゴミ拾いができる。

  • 海洋センターの敷地内に完成した拾い箱

    海洋センターの敷地内に完成した拾い箱

  • 分別してゴミが出せるよう、かごも設置している

    分別してゴミが出せるよう、かごも設置している

時津町の拾い箱は、チョークアーティスト・グラフィックデザイナーである山藤布美子氏によって、拾い箱の側面に2種類の絵が描かれている。山藤氏は時津町に在住しており、テレビで偶然目にしたチョークアートに感銘を受けプロ資格を取得。今回の作画にあたって山藤氏は「この絵のコンセプトは、海の生き物たちが喜んでいる絵。みんなが海をきれいにしてくれてハッピー!という姿をイメージして描いた」とのこと。チョークのタッチが温かみを醸し出し、美しい色使いが、今にも動き出しそうな躍動感を与えている。

  • 拾い箱左側

    拾い箱左側

  • 拾い箱右側

    拾い箱右側

お披露目会には、時津町長である吉田氏のほか、地元の子どもたちとその家族など100名以上が参加した。式典は、毎年時津町で開催されている「マリンデーフェスタ in 時津」に合わせて実施。式典後には、チョークアート体験が行われ、子どもたちは事前に海壁に描かれた絵へ、好きな色のチョークを使って色をつけていった。今回の拾い箱のペイントがチョークアートで描かれていることにちなんで実施。子どもたちがペイントを終えると、今にも大村湾へ泳ぎだしていきそうな、カラフルで可愛らしい生き物たちが完成していた。

  • 好きな色のチョークをもって、思い思いの絵を描いている子どもたち

    好きな色のチョークをもって、思い思いの絵を描いている子どもたち

  • 完成した絵。クジラや亀などたくさんの生き物が描かれている

    完成した絵。クジラや亀などたくさんの生き物が描かれている

次の世代にきれいな海を!
Next Generationがテーマの熊本県長洲町の「拾い箱」

  • 式典にてあいさつされる長洲町長の中逸氏

    式典にてあいさつされる長洲町長の中逸氏

  • 筆入れの様子

    筆入れの様子

設置された拾い箱のうち、一つは海洋センター艇庫前へ、もう一つは海洋センター体育館の裏に設置し、周辺一帯のゴミ拾いが可能な形となった。式典後に実施されたクリーン活動では、地域住民が力を合わせてたくさんのゴミを回収した。

今回、拾い箱の外観をデザインしたのは、長洲町でデザイン制作等を行っている野田裕誠氏。野田氏は「次の世代にきれいな海を維持していくため、いつも海をきれいにすることが大切だと考えた。その活動を、ここ長洲町から世界へ広められたらいいなと思い、今回の絵をスケッチしてみた。将来、拾い箱の中が空っぽになったら(拾うゴミがなくなったら)、きっときれいな海があるだろう、子どもたちがその未来に向かって、クジラという乗り物にのってはばたいていく、そんなストーリーをイメージした。」とのこと。

長洲町の子どもたち、そして、その子どもたちが担う未来を思い浮かべ、今回のデザイン制作が行われた。野田氏の想いがつまった拾い箱が、いつも長洲町の海を見守ってくれる。

  • 絵を描く子どもたち

    絵を描く子どもたち

  • ペイントする色も子どもたち自ら選択

    ペイントする色も子どもたち自ら選択

  • 拾い箱内部

    拾い箱内部

  • クリーン活動の様子

    クリーン活動の様子

今回紹介した長崎県時津町、そして熊本県長洲町の拾い箱。それぞれにストーリーがあり、オリジナリティあふれる拾い箱となった。海洋ごみは年間世界中で800万トン発生しているとも言われている。漂着ごみを拾うことは、その海洋ごみを減らすための一助になると考えている。今回新たに設置されたこの2自治体の拾い箱が、地域住民の環境保全に対する意識向上と海洋ごみ削減に向けた環境作りに寄与することを願うばかりだ。

B&G財団は2021年度から一時的な海岸清掃にとどまらず、地域住民をはじめ海を訪れた誰もがいつでも漂着ごみを回収できるよう、漂着ごみ専用ごみ箱「B&G拾い箱」の設置を開始しました。それぞれの地域での海洋ごみ削減を推進するため、設置自治体に対し製作費等の支援を行っています。