真相BGメン
自然の中で育む好奇心と主体性「B&G大崎わんぱーく海洋クラブ」の挑戦(前編)
2025.08.27 UP
鹿児島県大崎町は、人口約1万2000人の町でありながら、全国に名を知られる「資源循環の先進地」である。ごみの分別回収率は80%を超え、2020年には「SDGs未来都市」にも選定された。
環境と教育、自然と地域をつなぐ役割を果たしてきたのが、「特定非営利活動法人わんぱーく」を母体に、2020年度に新たに登録された「B&G大崎わんぱーく海洋クラブ」だ。町を挙げての環境学習や自然体験活動、官民協働の成果が形となり、子どもたちの健全育成と環境教育の新たな拠点となっている。
日本の白砂青松100選に選ばれた大崎海岸。海洋クラブの活動の舞台でもあり、絶滅危惧種のウミガメやコアジサシが産卵に訪れる自然豊かな海が広がっている。 画像の使用許可を得て掲載(提供:大崎町役場 )
ー目次ー
■地域活性化に貢献!「B&G海洋クラブ」とは
■自然とふれあう夏休み!「遊びの学校」
■子どもの居場所を支える「BG塾」
■遊びと学びの力で、子どもと地域をつなぐ
地域活性化に貢献!「B&G海洋クラブ」とは
B&G海洋クラブは、マリンスポーツや海・川・湖・池などの水辺での環境学習や環境保全活動を通じて、子どもたちの健全育成や地域貢献を目的とした団体。1976年から海洋性レクリエーションの普及を目的に全国各地に設置されている。
海洋クラブの登録については、2017年度から、これまでのカヌーやヨットなどのマリンスポーツを中心に活動している団体に加えて、水辺の保全活動や環境学習などを中心に行う団体も登録できるように制度の見直しを行った。
運営主体は自治体やNPO法人、学校法人、任意団体など多様であり、運営は各クラブが主体的に行っている。登録にあたり、B&G財団は舟艇器材などの貸与や助成、水辺の安全プログラムの提供など、多方面から支援している。
活動内容は、カヌー・ヨット・SUPなどの体験会や、地域行事での体験プログラムの提供、地域の環境保全活動や自然・文化活動への取り組みなど多岐にわたり、現在全国に290の海洋クラブが設置されており、さまざまな体験活動を通して、地域交流や地域活性化に貢献している。
自然とふれあう夏休み!「遊びの学校」
大崎わんぱーく海洋クラブは、町と連携しながら自然体験や環境教育の企画・運営を担っている。設立以来、「子どもたちが身近な自然を通して暮らしと環境のつながりを学ぶ場づくり」に注力している。海洋クラブ責任者の中山美幸氏は「教科書の知識だけでなく、自分の町で何が起きているかを知ることが最初の一歩。日常の中で自然に触れることが、環境と向き合う入口になる」と語る。
この海洋クラブのプログラムは、「遊び」と「学び」が一体となっているのが特徴だ。川辺で魚やエビを採取しながら水質や生態系について学んだり、波止釣り体験を通じて食物の循環を考えたりと、自然の中で楽しみながら学ぶ。
波止釣り体験
中でも、夏休み期間中に大崎小学校などを拠点に約20日間行われる「遊びの学校」は代表的な取り組みだ。英語のリスニング学習や宿題など学習支援のほか、マリンスポーツや 水辺の安全教室、キャンプ、登山といったさまざまな体験を実施。さらに、シーグラスのランプシェードやゴム動力飛行機、鳥の巣箱づくりなどの工作や文化活動も行っており、さまざまな体験を通して、子どもたちの知的好奇心を大きく広げている。
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英語のリスニング学習
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マリンキャンプ
子どもの居場所を支える「BG塾」
この「遊びの学校」のプログラムは、B&G財団が展開する 「BG塾」の内容を取り入れて行われている。
BG塾は、夏休みなどの長期休暇中に、地域の人材と海洋センター等を活用し、宿題支援やマリンスポーツ、自然体験、運動など、多彩な活動を一日を通して提供する子育て支援事業である。
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海洋センターが学習の場に
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スポーツも
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自然体験も
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調理実習など多彩な体験を実施
特徴は、学習だけでも運動だけでもなく、多面的なアプローチを通して子どもたちの心身の成長を支える点にある。子どもたちがのびのびと学び遊べる場所を海洋センターに設け、共働き世帯やひとり親家庭など多様な子育てニーズに応えている。
近年、共働き世帯やひとり親家庭の増加に伴い、夏休み中に子どもだけで留守番をさせることに不安を感じる保護者は少なくない。安全面や学習環境、心のケアなど、地域が取り組むべき課題も大きくなっている。
こうした課題に応えるため、BG塾では地域人材や海洋センターを活用し、子どもたちが安心して過ごせる居場所を提供している。学習時間と遊びの時間をバランスよく組み合わせ、心身の成長を支えるとともに、異年齢や地域住民との交流を通じて社会性を育む。
遊びと学びの力で、子どもと地域をつなぐ
大崎わんぱーく海洋クラブは、自然豊かな環境を舞台に、子どもたちが遊びながら学ぶ体験型教育の拠点だ。地域の自然に親しみながら、子どもたちは好奇心や主体性を育み、健やかに成長しているだけでなく、地域住民との交流を通して協調性も身につける。
こうした取り組みは、単なる学びや遊びの場にとどまらず、町全体の環境意識を高め、持続可能なまちづくりを支える架け橋となっている。今後も、子どもたちが主体的に考え行動する力を育むとともに、地域の教育や環境活動と連携するモデルとして、その意義は今後さらに広がっていくことだろう。
子どもたちの好奇心と主体性を育む「B&G大崎わんぱーく海洋クラブ」。後編では、実際の活動の様子や環境保全の取り組み、子どもたちの成長の様子を追う。自然の中で生き生きと学ぶ子どもたちの姿を、ぜひご覧ください。