【B&G職員リレートーク】死語


B&G財団 企画部 岡田です。

 

2019B&G PR大賞審査委員会で、やらかし川柳の最優秀作に「山頂にて ヤッホー叫ぶ 昭和人」つーくん(群馬県)が選ばれました。

 

やらかし川柳の部には、3,775作品のご応募をいただき、常連投稿者にはいくつもの川柳コンテストで入賞した猛者も数名いらっしゃいます。公募雑誌の編集者に話を伺うと「B&Gやらかし川柳は、数ある川柳コンテストの中でも人気がある。そのため、作品レベルも高い。」とありがたいお言葉をいただきました。

 

今回の最優秀作は、審査委員会で「字余りなど技術的な問題」を指摘されましたが、川柳が重視する「ストレートなおかしみ」、「令和を迎えた時宜にかなう」ことが評価され、何よりも審査員から「山でヤッホーと叫んだら、同行の若いスタッフに『何ですか?その言葉??』と言われた」、「私も同じ経験がある!」と審査員の強い共感を得たことが、最優秀賞選考の決め手になりました。

 

昭和人が山で条件反射的に叫ぶ「ヤッホー」も、ナウいヤングには馴染みがないようです。

 

※当選通知で作者に電話した際、作者は大変驚いていました。そして「昭和人はしょうわびと」と読むこと、「字余りは修正前の句」を送ってしまったこと、「作者は元海洋センター職員」であることを聞いて、私もじぇじぇじぇと驚きました。

【マロリー曰くBecause it's there.】

【マロリー曰くBecause it’s there.】

 

「アプレ(アプレゲール)」、「ゲバ(ゲバルト)」、「ロートル(老頭児)」など外国由来の言葉は「流行」として各時代で消費され、新たにこれらの言葉に触れたニューエイジは「外来語」としてネット検索するだけなので、無問題です。

 

すこし困るのは、現在も使われる単位の読み方が変わったことです。酸性・アルカリ性の程度を示す水素イオン濃度指数PHを私達は「ペーハー」とドイツ語読みしますが、トレンドは「ピーエッチ」と英語読みするようです。BMWを「ベムヴェー」と読むのは、サーキットの狼世代までなのと一緒ですね。

 

本当に困るのは、消えた日本語です。消えた日本語とは、「日本人からその言葉の概念・価値観が消えた」ことではないかと思われるのです。

 

子供の頃、「お天道様が見ているよ」、「お里が知れる」、「もったいない」などの言葉で躾けられました。マータイさんが復活させた「MOTTAINAI」以外は最近聞くことがありません。現代の教育理論では、「何が悪いのか?なぜ悪いのか?どう改めるべきなのか」論理的に子供に説明して納得させるのが良いようですが、昔は短い言葉だけで済んでいました。

 

親と子が、その言葉に「日本人共通の概念・価値観」を持っていたので、短い言葉でも真意を伝えることができたように思います。

 

【旧 大泊小学校の水プロ授業風景 写真はG教諭】

【旧 大泊小学校の水プロ授業風景 写真はG教諭】

 

川柳の源となった俳句では、「季語」が必須の要件です。

 

永年「季語の存在が、俳句を自由に詠む際の障害になるのではないか?」と考えていた私の蒙を啓いてくれたのは、13年前「水に賢い子供を育む年間型活動プログラム(水プロ)」で訪れた鹿児島県旧南大隅町立大泊小学校Y教諭の授業でした。

 

Y教諭は小学生に「字数が限られる俳句に季語を使うことで、そこに日本人共通のイメージが広がる」と説明されました。

 

私達が大切にしたい「概念・価値観」を「言葉」や「仕草」で共感できるようにすることが、日本の文化を伝えること、日本人が日本人であることだと感じています。

 


地方創生部 子ども支援課 岡田 聖一
「鳥、釣り、乗り物全般(いつかはスーパーロボットも・・・)」が好きです。 齢を重ねるに従って、お釈迦様の「ご覧、世界は美しい」という言葉が実感できるようになりました。 今日も美しいモノに会えることを楽しみにしています。

2 コメント

  1. 西日本アドバイザー 金久 博 より:

    人はそれぞれふるさとがあると思います。そのふるさとで見聞きしたことや出会った人、育ててくださった人、周りの環境・風景や自然、すべてがその人を育んでいるのではないでしょうか。俳句の中にも自分の存在している環境や関わりのある人たち、生活や産業・文化などに影響を受けて言葉に表現されていることがあるのではと思います。全国で共通した言葉はあるかもしれませんが、地方や地域生活での言葉は大事に使われていますし、人の年齢によっても生きてきた時代が映し出す言葉があると思います。日本の大衆文化はその伝統や生き抜いてきた、支えあいの中で培われたものですから、どれも素晴らしいと考えます。それぞれ感じ思い描いたことを俳句にすることこそが日本人らしい日本文化かも知れませんね。また、人に伝え、伝えられた人が自分なりに継承し、さらに伝えていくことは、形は少し変化してもこれからも続くのでは。そのようなことを大切にして年をとっても、人と笑顔で歓談ができる、地域の人たちと生きていける人は、最高ではないでしょうか。  ヤッホーは、人に呼び掛ける言葉なのではと思いますし、これもまた、この人の人生からくる言葉でしょう。 また、お会いできることを楽しみにしています。 追伸:春に向かって釣りも楽しんでください。

    • B&G財団 岡田 より:

       金久さん、コメントありがとうございます。  先週末、下関市、北九州市を旅してきましたが、街の歴史と文化・自然がそれぞれの土地に息づいているのがわかりますね。  ※その前の休みは、イシモチ釣りに行ってきましたよ。

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