活動記録 第17回「B&G全国サミット」を開催

全国360自治体から首長273人、副首長24人、教育長196人が出席

  1月22日、「第17回B&G全国サミット」をベルサール東京日本橋(東京・中央区)で開催。「ミクロとマクロでみる公共施設の在り方」のテーマに、日本財団笹川陽平会長による特別基調講演や首長による事例発表、優良センターアワードなどを行った。
 当日は全国45道府県から首長273人、副首長24人、教育長196人をはじめ、来賓、自治体関係者など約800人が出席した。

主催者挨拶

 会議冒頭、B&G財団会長の前田康吉は会議出席のお礼を述べた後、「多様化する社会課題の解決に向け自治体の皆さんと共に考え、地域の発展のために全力で事業を推進していく」と挨拶した。

B&G財団 会長 前田 康吉 挨拶

令和6年能登半島地震災害支援について(報告)
青森県平川市教育長 須々田 孝聖  氏

 須々田教育長は、年末から年始にかけて記録的積雪による豪雪災害が発生し、B&G財団を通じて「防災拠点の設置および災害時相互支援体制構築」 事業で重機を配備している、秋田県男鹿市と岩手県久慈市に協力を要請。両市から重機とオペレーターの職員7名が派遣され、1月9日から3日間、学校や集会所など公共施設の排除雪作業が実施されたことを報告し、今回の一連の災害支援についてお礼を述べた。

  • 平川市 須々田教育長

    平川市 須々田教育長

  • 作業の様子

    作業の様子

特別基調講演
「日本の将来は危ないか?」
日本財団 会長 笹川 陽平 氏

 1973年の設立以来、長きにわたり地域の子どもや大人の健康維持のためのコミュニティ施設として、しっかり活動いただいていることは有難いことだと思っている。
 いま学校における体育の在り方、学校を中心としたスポーツの在り方は変わってきており、それぞれの地域でクラブ活動としてやるのが良いのではないかと変わりつつある。B&G財団は50年先取りして、皆さんの永続的な協力のもと今日まで活動を続けてきた。これはすごいことだと思う。
 少子化、高齢化、人口減少、鉄道がなくなる心配など様々な問題が日常のように出てきている。人口も減り年寄りが増え子どもが少なくなるという現実が迫っているにもかかわらず、日本は平和であるかのように皆過ごしている。世界から見ると不思議で、世界の中においては、ガザ、ウクライナの次に最も危険なのは日本ではないかと言われている。中国、ロシア、北朝鮮など周辺国の情勢をみて、なぜ日本人はここまでのんきなのか外国人からみると不思議なようだ。
 皆さんのお手元に正月に掲載された私の「正論」を配りましたが、本当に日本は独立国家なのでしょうか。独立国家の要件として、自主憲法、国軍、スパイ防止法、サイバー対策、武器の製造能力があるがどうでしょうか。これで日本は独立国として2000年の歴史があると言っていていいのでしょうか。
 なぜこのようなことになっているのか。昔は「輿論」という言葉があったが、戦後「輿」が当用漢字から外れたため、単に「世論」となってしまった。世論は国民の感情や雰囲気で良い、悪いを言う。しかし、「輿論」というのは、ここにお集まりの指導者のような人が「このままではだめだから、こうすべき」と国民が分からない将来の展望を見抜き、「地域を活性化させるために自分のことを聞いてほしい」と発言することであり、それを「輿論」と言う。
 皆さんにお願いしたいことは「輿論」。皆さんの声をどう住民に理解させるか、皆さんの情熱あふれる説得は必ず理解されると思う。地方で将来を背負う子どもたちに自信をもって成長してもらえるB&Gの施設になってほしい。
 52年にわたり1つの事業が発展し、今や災害対策まで取り組んでいる。国際社会の現在の流行り言葉は継続性。B&G財団は52年前からやっており、素晴らしい伝統であると確信している。皆さんの日常の努力に感謝と敬意を表すると同時に、こういう仕事がしたいとあれば、申し出は受け付けているので日本財団を活用してほしい。

※基調講演の全文はこちら

事例発表①
ミクロ視点(障がい者)からみる公共施設の在り方
宮城県加美町長 石山 敬貴  氏

 加美町中新田海洋センターは、障がい者への自然体験活動の提供とパラスポーツの拠点化を目的に、「次世代型海洋センター艇庫を活用した地域の魅力創生」事業を活用。多目的室の拡張及び事務所・キッズルームを増築し、施設の全面バリアフリー化を図った。
 施設改修後、障がい者と健常者のインクルーシブカヌー体験会をはじめ、車いす・白杖体験等を通じて障がい者への理解を促進するインクルーシブスクール、指導者を対象としたパラカヌーサポート研修会を実施。このほか防災キャンプや俳句の会、空手道教室、ダンス・ヨガスクールなどを実施し、障がい者を含む幅広い世代や団体を巻き込んだ活動が展開できるようになり、利用者も改修前と比べて倍増した。
 また、日本パラカヌー連盟や社会福祉協議会、宮城県カヌー協会、大崎地区広域行政事務組合消防本部、観光まちづくり協会等との連携体制を強化することで、アウトドアや観光面での活性化、交流人口の増加にもつながっている。
 今後、艇庫を障がい者スポーツの拠点として県内外に周知し、インクルーシブな施設運営に努め、自然体験を通した共生社会の実現を目指していく。

事例発表②
マクロ視点(町総合計画)からみる公共施設の在り方
北海道大樹町長 黒川 豊  氏

 大樹町海洋センターは、第5期総合計画に基づき、町民の日常的なスポーツ活動の推進のため、それぞれの年齢や体力に応じたスポーツに親しめる場の拡充を図ることを目的に「修繕助成(プール特別措置)」を活用し、上屋付プールから屋内温水プールへの建替えを行った。
 整備にあたり、利用者の8割が小学生であることから、スマート街区区域内の小学校の隣接地に移設し、木質バイオマスボイラーの熱源をプールだけでなく、小学校、生涯学習センターで利用することとした。
 プールの概要は、25mプール(4レーン)、低学年用プール、幼児プールのほか、採暖室、バリアフリートイレ、見学ゾーン、監視カメラ、地震時逆流防止装置などの設備を整えている。移設後、利用者は改修前と比べ7割増加。放課後にプールを利用してバスで下校する児童や水中ウォーキングなどに通う大人の利用者が増えている。
 今後、このプールを拠点の一つとして、第6期総合計画に掲げる「誰もが学び続けられるまち」を目指し、子どもから高齢者まで、誰もが気軽に参加できるスポーツ・レクリエーション活動の機会拡充に努め、健康増進を図っていく。

全国指導者会からの連絡
B&G全国指導者会会長
青森県南部町長 工藤 祐直  氏

 工藤会長は、B&G指導者がいることで、修繕助成などハード面、水辺の安全教室や自然体験活動などソフト事業が実施可能となる。現在、指導者養成研修は沖縄県本部町と鹿児島県天城町で年2回実施しており、指導者研修への定期的な派遣をぜひともお願いしたい。
 また、全国指導者会では「自然体験を通じた郷土教育」「食品ロス削減活動」を推進し、社会課題の解決に向け取り組んでいる。今後も首長として、またB&G指導者の一人として、皆さんと協力して取り組みを進めていきたいと述べた。

全国教育長会議からの報告
B&G全国教育長会議会長
兵庫県養父市教育長 米田 規子  氏

 昨年11月開催の第21回全国教育長会議では、「部活動の地域“移行”から“展開”へ!」をテーマに基調講演や事例発表を行い協議した結果、全国教育長会議の提言として、

一.多様な活動ができる環境の整備
子どもたちが将来にわたり多様なスポーツや文化活動に親しめる環境を創り、地域活性化につなげよう

を全会一致で採択したことを報告。この実現に向け、本日出席の首長、教育長にも賛同いただき、一丸となって推進していきたいと述べた。

令和6年能登半島地震被災地支援事業
B&GフレンドシップPROJECT(中間報告)

 B&G財団常務理事の朝日田智昭は能登半島地震被災地支援について説明。遊び場を失った子どもや障がい児をはじめ、震災で家族を亡くしたご遺族、高齢者施設で働く女性従業員、仮設住宅団地で生活する高齢者を対象とした支援など、これまでに実施した被災地支援活動について報告した。

 続いて、穴水町教育長の大間順子氏は、震災から一年が経過した状況について、町政始まって以来の大災害となったが、町民は前を向いて頑張っていると報告。遊び場を無くした子どもや障がい児のための「プレイパーク」「スポレクチャレンジフェスタ」など、これまで実施した被災地支援活動に対するお礼を述べた。

優良海洋センター表彰

 今年度、20年連続「特A評価」を獲得した、広島県府中市、愛媛県愛南町御荘の両海洋センターならびに10年連続「特A評価」を獲得した以下の21海洋センターの表彰が行われ、会場から大きな拍手が送られた。

・20年連続特A評価獲得センター

広島県 府中市B&G海洋センター
愛媛県 愛南町御荘B&G海洋センター

  • 前田会長(左)、広島県府中市 小野申人市長(右)

    前田会長(左)、広島県府中市 小野申人市長(右)

  • 愛媛県愛南町 中村維伯町長(右)

    愛媛県愛南町 中村維伯町長(右)

B&G全国サミット 共同宣言

 最後に、B&G全国サミット会長を務める福井県大野市 石山 志保 市長、副会長の熊本県南関町 佐藤 安彦 町長、長野県白馬村 丸山 俊郎 村長が登壇。石山会長が第17回全国サミットの共同宣言について説明を行い、新たに「誰もが『利用できる』から『利用したくなる』施設づくり」が全会一致で採択され、会議が終了した。

誰もが「利用できる」から
「利用したくなる」施設づくり

海洋センターを取り巻く地域社会のニーズを汲み取り、付加価値をつけることで、より魅力的な施設にアップデートしよう。

その他 会議場の様子

 会議では、海洋センター所在自治体から出向している、3人の自治体派遣研修生が壇上で挨拶を行ったほか、会場では「能登半島地震」災害支援募金の募金活動を実施した。

  • 自治体派遣研修生の紹介

    自治体派遣研修生の紹介
    写真左から、廣冨光晟(北海道愛別町より出向)、香山和寛(岡山県奈義町より出向)、松岡秀子(鹿児島県天城町より出向)

  • 受付の様子

    受付の様子

  • ふるさとの「偉人マンガ」コーナーでは多くの人が手に取って読んでいた

    ふるさとの「偉人マンガ」コーナーでは多くの人が手に取って読んでいた

  • 募金活動の様子

    募金活動の様子

 B&G全国サミットは「青少年の健全育成」と「地域活性化と地方創生」を推進すべく、全国の海洋センター所在自治体の首長はじめ執行部との連携強化・情報共有を図る最重要会議として毎年開催している。

これまで開催された「B&G全国サミット」