活動記録 第15回「B&G全国サミット」を開催

全国386自治体から首長254人、副首長27人、教育長182人が出席

1月24日、「第15回B&G全国サミット」を東京ビッグサイト国際会議場(東京・江東区)で開催。今年3月、当財団が設立50周年を迎えること から、「地域共創~B&G 50th~」をテーマに、「地域資源を生かしたまちづくり」に関する基調講演や首長による地域活性化の事例発表、優良海洋センター表彰などを実施しました。当日は全国45道府県から首長254人、副首長27人、教育長182人、来賓、自治体関係者など約750人が出席しました。

当日会場の様子

会議冒頭、B&G財団会長の前田康吉は会議出席のお礼を述べた後、「今年3月、B&G財団が50周年を迎えるにあたり、今回のテーマを『地域共創~B&G50 th~』とし、持続可能な地域社会を実現するため、B&Gネットワークの更なる連携を図り、地域の発展のために様々な社会課題に全力で取り組んでいく」と挨拶しました。

会長挨拶 B&G財団 前田会長

会長挨拶 B&G財団 前田会長

日本財団 尾形武寿 理事長は来賓挨拶で、B&G財団の成り立ちや事業の変遷などについて話したうえで、「日本財団は『子ども第三の居場所』などの事業を通じて、様々な問題を抱える子どもたちの支援に取り組んでいます。これからもっといい世の中を次の世代に残していくために、日本財団は先を見据えて、これからも様々な事業に取り組み、対応できるものはすべてやっていきたいと考えています。首長の皆さまにご理解いただき、一緒に取り組みを進めていきたい」と話されました。

来賓挨拶 日本財団 尾形理事長

来賓挨拶 日本財団 尾形理事長

全国サミット正副会長の選任

コロナの影響により昨年、一昨年は中止となったため、次回の第16回全国サミット開催までの間、引き続き、会長に岐阜県中津川市 青山節児 市長、副会長に大分県佐伯市 田中利明 市長(航空便の欠航により欠席)、千葉県鋸南町 白石治和 町長、徳島県美波町 影治信良 町長、北海道新篠津村 石塚 隆 村長が満場一致で選任されました。

  • B&G全国サミット会長 岐阜県中津川市 青山節児 市長

    B&G全国サミット会長
    岐阜県中津川市 青山節児 市長

  • B&G全国サミット副会長 千葉県鋸南町 白石治一 町長

    B&G全国サミット副会長
    千葉県鋸南町 白石治一 町長

  • B&G全国サミット副会長 徳島県美波町 影治信良 町長

    B&G全国サミット副会長
    徳島県美波町 影治信良 町長

  • B&G全国サミット副会長 北海道新篠津村 石塚 隆 村長

    B&G全国サミット副会長
    北海道新篠津村 石塚 隆 村長

基調講演

多様性に溢れた寛容な地域づくり~福津市津屋崎での空き家活用と人口増加の取り組み~
津屋崎ブランチLLP 山口 覚 氏

福津市津屋崎は、かつて盛んであった塩田が廃止になって以来衰退し、昭和30~50年代の海水浴ブームで復活しましたが、その後、国民宿舎やレジャー施設、西鉄電車が撤退するなどして再び衰退。地域の人は“もうだめかもしれん”と思っているような状況でしたが、今はみんな幸せに暮らしています。2005年の市町村合併以降、人口減少が進行する中、2009年に津屋崎ブランチが設立してからは、人口が増加に転じ、今では合併前を大きく上回りました。

津屋崎ブランチLLP 山口 覚 氏

津屋崎ブランチLLP 山口 覚 氏

津屋崎ブランチでは、まちの永続を目指し、新しいカタチの地域おこしプロジェクトとして、学習交流、古民家再生、起業支援、移住支援の4つの事業に取り組んできました。
 学習交流では、対話の場をまち中につくることを念頭に置き、地域交流会やトークフォークダンスといった交流会を開催し、地域の人が話し合う場、子どもが大人の前で伸び伸びと意見を言える場づくりを進めました。

古民家再生では、「寄付方式」と「家賃前払い方式」の2つの方法で取り組みました。寄付方式の事例として、30年間空き家だった家に7年間の定期借家権を設定。寄付による資金調達を行い、簡易宿泊所として再生しました。家主は金銭的負担がなく、7年後には改築された家が戻ることになります。家賃前払い方式では、12年間の定期借家権を設定。入居者が12年分の家賃相当額を改築費として支払います。火災による消失等、様々な権利的ハードルがあり弁護士に相談しながら実施しました。期間満了後は家主が利用するか、通常の賃貸物件にするかは家主が選択できる仕組みです。

起業支援では、福津市から「福津プチ起業塾」を受託し、月に3~5万円稼げる仕事を伝授する塾を開催。150人を超える卒業生のうち、20人超が実際に起業しています。その一つ、「カフェ&ギャラリー古小路」は、毎日、店主も屋号も変わる店としてオープン。週に一度だけ働けばいいので、店主をしたい人が主婦を中心に集まりました。来店者は一度訪れると必ず、すべての店(曜日)をはしごするようになり、世界に輸出できるモデルだと評判を呼んでいます。

移住者支援では、移住者が廃屋などを改修して工房や食堂をオープンする際の開設支援や、地元神社での結婚式のプロデュースなども行い、地域に喜びや活気を取り戻す活動に力を入れ、年々、移住者が増加しています。これからも地元の方々と移住してきた方が手を取り合いながら、地域活性化に向けた取り組みを進めていきます。

B&G財団の取り組み

第二部では、B&G財団理事長菅原悟志から設立50周年を迎えるB&G財団のこれまでの歩みと今後の新しいミッション「1.子ども・子育て支援」「2.防災と災害復興」「3.海と環境」「4.健康と生きがいづくり」「5.コミュニティ再生とまちづくり」について説明するとともに、2023年4月1日より、公益財団法人ブルーシー・アンド・グリーンランド財団から「公益財団法人B&G財団」への法人名変更を発表。「自治体の皆さんと共に『青少年の健全育成』と『地域活性化と地方創生』を目指し、One Familyで取り組みを進めていく」と話しました。

  • 新たなミッションを説明

    新たなミッションを説明

  • 「公益財団法人B&G財団」へ法人名変更

    「公益財団法人B&G財団」へ法人名変更

全国指導者会からの連絡

B&G全国指導者会会長の青森県南部町 工藤祐直 町長は、海洋センター指導者として勤務した経験を踏まえ、「頑張る指導者を励まし、事業がうまくいかない場合はなぜできないのかを訊くことが大事。そして指導者を増やすことが大切。南部町では新人研修の一環として職員を養成研修に派遣しています。ぜひ若い人材を養成研修に派遣してほしい」と話されました。

B&G全国指導者会会長 青森県南部町 工藤祐直 町長

B&G全国指導者会会長
青森県南部町 工藤祐直 町長

パネルディスカッション「地域活性化に向けた取り組み事例」

北海道下川町 谷 一之 町長

下川町の谷町長は、「森林資源を活用した、SGDSを取り入れた地域づくり」について発表しました。
下川町は、東京23区とほぼ同じ644㎢の面積に3,030人が暮らす街です。葛西紀明選手などスキージャンプでオリンピック選手7名を輩出しました。1960年頃まで農林業に加え金・銅の鉱業で発展し人口15,000人を超えていましたが、木材自由化による林業の衰退、環境規制強化による鉱業衰退・休山により、’60年代から’80年代にかけて人口が急減しました。

北海道下川町 谷 一之 町長

北海道下川町 谷 一之 町長

当時から地域活性化に取り組んできましたが、’89年の名寄本線廃線など更なる困難も重なり、’01年から「経済・社会・環境の調和による持続可能な地域づくり」(現代のSDGS)がスタートしました。町内面積の9割に及ぶ「森林」に着目し60年を周期とした「循環型森林経営」、1本の木を余さず利用する「カスケード利用」、バイオマス熱供給を核とした集落再生「一の橋バイオビレッジ」を行い、2017年「第1回ジャパンSDGSアワード」の最高位SDGS推進本部長賞を受賞しました。今後もSDGSをまちづくり・地域活性化のツールとして活用し、持続可能な“しもかわ”を実現していく計画です。
 コロナ前の2020年には32人が下川町に移住しました。「少ない人数」と感じるかもしれませんが、「1年で1%の人口増加」とありがたく感じています。これに対し、雲南市石飛市長は「地域の森林資源を活用した“下川町のSDGS”として、永い実績が素晴らしい」と感想を話されました。

岐阜県可児市 冨田成輝 市長

可児市の冨田市長は、「可能性あふれる児の育つ町をキャッチフレーズとした子育て支援」について発表しました。
 可児市は、名古屋のベッドタウンとして発展した人口10万人の市です。リーマンショックにより一時人口が減少しましたが、子どもや子育て世代への支援と優良企業の誘致により再び人口が増加しています。児童生徒数県内1位の小学校・中学校があり、工場に勤務する外国籍市民が多く、小学生は県内の26.5%、中学生は県内の24%を占めています。

岐阜県可児市 冨田成輝 市長

岐阜県可児市 冨田成輝 市長

安心の子育て環境づくりとして「マイナス10ヵ月からの子育て」として、保育士による継続的支援やいじめ防止、コカコーラの自販機と連携した通学見守りシステムを導入しています。さらに地域の歴史を活かし、戦国時代の城跡を活かしたまちづくりとして「山城サミット」、子どもも楽しめる「チャンバラ合戦IKUSA」を開催し好評です。城跡の整備やお土産販売など市民や地元企業の協力を得て、新しい魅力づくりを進めています。

島根県雲南市 石飛厚志 市長

雲南市の石飛市長は、「ソーシャルバレーチャレンジへの挑戦」について発表しました。
 雲南市は6町村の合併で生まれた島根県で1番新しい市です。東京23区と同程度550㎢に3万6千人が暮らす市です。高い人口減少率・高齢化率により、「日本平均の25年先を行く高齢化社会」となっています。しかし、「課題の先進地」を「解決の先進地」と捉え、様々な取り組みを行っています。

島根県雲南市 石飛厚志 市長

島根県雲南市 石飛厚志 市長

雲南市は、子ども・若者・大人・企業の「チャレンジ」を推進しています。
 「子どもチャレンジ」では高校の魅力化・地域教育を進めた結果、「地域に飛び込んで活動する」子どもが7割から9割に増えました。「若者チャレンジ」では、起業事例として「コミュニティナース」が身近な存在として市民の心と身体の健康・安心に役立っています。同じく「ショッピングリハビリ」は、歩くのはイヤだが買物はたのしいと介護予防と買物支援を組合わせた事業です。ふるさと納税や寄付金を活用し資金的な援助制度も設けました。
 「大人チャレンジ」としては、地区ごとの小規模多機能自治を目指した取り組みを行っています。山間地域で買い物が困難な波多地区では交流センターで「はたマーケット販売業務」を行っています。
 「企業チャレンジ」では、空き家をシェアオフィスに改装したり、働きたいママが子連れで働ける「子連れオフィス」を開設し、子育てと仕事の両立を支援しています。

最後に進行役のB&G財団常務理事の古山透は「皆さんと同じ志を持つ仲間として、B&G財団も地域活性化に取り組む」とディスカッションをまとめました。

優良海洋センター表彰

20年連続「特A」評価獲得センター

北海道 北海道 滝川市B&G海洋センター

20年連続「特A評価」表彰

20年連続「特A評価」表彰

第15回「B&G全国サミット」共同宣言

最後に、青山会長が共同宣言について説明を行い、新たに「一.地域共創 B&Gネットワークをはじめ産学官民の更なる連携協力のもと、地域の課題に共に取り組み、持続可能な地域社会の実現を目指そう!」が採択され、会議が終了しました。

一、地域共創

B&Gネットワークをはじめ、産学官民の更なる連携協力の基、地域の課題に共に取り組み、持続可能な地域社会の実現を目指そう!

共同宣言発表

会場の様子

休憩時間は、コーヒーブレイクとしてロビーに飲物とお菓子が用意され、出席者は顔馴染みの市町村長・教育長などと和やかに談話されていました。また、10年連続特A評価を受賞した7自治体がブースを出展し、名所や特産品をPRしており、賑わいを見せました。

B&G全国サミットは、青少年の健全育成と地域の活性化を推進するため、全国のB&G海洋センター所在自治体の首長・教育長の連携強化と情報共有を図る最重要会議として毎年開催しています。

これまで開催された「B&G全国サミット」