活動記録 第12回 B&G全国サミット 開催!

活動記録 地域力の向上に向けて ~環境・防災・コミュニティ~
第12回 B&G全国サミット開催!

日本財団助成事業

全国388自治体から首長248人、副首長42人・教育長203人など800人を超える出席者

2020年1月21日(火)、B&G財団(東京都港区・前田康吉会長)は、笹川記念会館(東京都港区)において、「第12回B&G全国サミット」を開催しました。今年のテーマは「地域力の向上に向けて~環境・防災・コミュニティ~」。B&G海洋センターが所在する全国373自治体から市町村長や教育長、来賓など計848人が出席。日本財団笹川陽平会長の特別基調講演や自治体代表によるパネルディスカッション、優良海洋センターの表彰式などが行われました。

会議終了後にはレセプションが開かれ、参加者間の親交を深めました。

ロビー・レセプション会場には、10年連続特A評価を受賞した24海洋センターの内19自治体がブースを出展し、名所や特産品をPRしました。

 

オープニングでは、昨年の台風19号で大きな被害を受けた栃木県那須烏山市の県立烏山高等学校吹奏楽部が、全国の被災地復興の願いを込めて演奏。大きな拍手を受けました。

続く第一部では、当財団会長・前田康吉による開会挨拶、来賓紹介のあと、日本財団笹川陽平会長による「世界から見た日本」と題した特別基調講演が行われました。笹川会長は、「我慢強く未来志向の日本人は世界から尊敬されている」と語り、日本の歴史や活躍してきた偉人の存在を子供たちに教えていくことの重要性や情熱を持って日本人としてのDNAを次の世代に伝えていくことの必要性などについて訴えかけました。

第二部では、全国サミット前会長 兵庫県芦屋市山中市長退任に伴う新会長の選任が行われ 岐阜県中津川市青山市長が新会長に選任されました。

新会長の進行の下、「全国教育長会議の報告」、「全国指導者会総会の報告」を受け、教育長会議の提言、指導者会の活動方針・活動目標などを自治体のトップにご理解いただきました。

パネルディスカッション「地域力を活かしたまちづくり」では、長野県白馬村下川村長、福井県大野市石山市長、鹿児島県天城町森田町長に登壇いただき、「環境・防災・コミュニティ」についての発表と意見交換が行われました。さらに、B&G財団の取り組み紹介後、第12回B&G全国サミット共同宣言「地域力を活かしたまちづくり」が採択されました。

第三部では、2019年の優良海洋センターやB&G PR大賞受賞センター、海ごみゼロフェスティバル各賞の表彰などが行われました。

 

全国の被災地に向け、復興の願いを込めたオープニング演奏

自然災害が続く近年、全国の被災地の状況と復興に向けたB&Gネットワークの支援活動の映像に続き、栃木県那須烏山市 川俣市長から「台風19号により家屋、商業、工業、農業などに甚大な被害を受けました。その中で全国のB&Gネットワークの支援はありがたかった。現在も復興作業は続くが、着実に前進している。」とお話しいただいた後、市内の県立烏山高等学校吹奏楽部による演奏が始まりました。

20名の吹奏楽部員は、顧問の勝城先生の指揮により、「ももいろクローバーZ」の曲をメドレー形式で演奏、被災地の高校生の元気な演奏に800名以上のサミット出席者が逆に元気づけられる形となりました。

 

特別基調講演「世界から見た日本」
日本財団 笹川陽平 会長(ミャンマー国民和解担当日本政府代表)

日本財団笹川会長による特別基調講演のテーマは「世界から見た日本」でした。

日本財団笹川会長は、2019年春の叙勲で旭日大綬章を受章されました。海事関係事業やハンセン病制圧活動、ミャンマー国民和解担当日本政府代表などとしての長年にわたる幅広い分野での活動が評価されたものです。

講演の冒頭、笹川会長は、「我慢強く未来志向の日本人は世界から尊敬されている」と示唆し、日本の偉人や学者などを例に挙げて、「これからの日本人に求められる事は、未来への情熱を持ち、日本人の誇れるDNAを次世代に繋げ、確実に伝えていくことだ」と、お話し頂きました。また昨今の地球温暖化など、環境問題による自然災害の発生等の事態にも触れ、「世界情勢のなかに、日本があると考えないといけない、日本が率先してリードしていくべき」と話されました。

また一方で、「日本の国民の中には様々な状況に置かれた方々がいる」と前置きした上で、「中にはそうした状況を改善するために支援しようと、日本財団に個人レベルでも寄付をしてくださる方もいらっしゃる」と最近、関西方面で多大な寄付をいただいた事例を紹介、これからも、国際支援や貧困家庭への支援などを続けるとし、体験格差解消への取り組みを進めるB&G財団の活動についても共感する」、とお話を頂きました。

さらに新たな元号「令和」について、「西暦がある中で、日本の新しい元号は、これまでのように中国の四書五経から引かず、日本語で作るべきだ、と考えていた」と前置きした上で、「新たな令和のグローバル時代には、世界があって日本があるという感覚がないといけない。世界の中で日本がどう生きていくのか、今年は大きな変革の予兆が感じられる」と時代認識を示した上で、日本の進むべき方向性を示唆しました。

最後に笹川会長は、「新しい時代を開拓していくのは次世代の子どもたちである」、と述べ、「日本は世界の中で最も平和で恵まれた国は。末来の子どもたちに素晴らしい日本のDNAを繋げるために、みなさんともに、我々の生きている間の役割を存分に果たしましょう」と力強く訴えて第一部を締めくくりました。

 

パネルディスカッション「地域力を活かしたまちづくり」

今回のサミットは「地域力の向上に向けて ~環境・防災・コミュニティ~」をテーマとしています。この課題に取組む、長野県白馬村下川村長、福井県大野市石山市長、鹿児島県天城町森田町長をパネラーにパネルディスカッションを行いました。

~環境~

長野県白馬村 下川 正剛 村長

まず白馬村の下川正剛村長は、豊かな自然環境を活かし登山やスキーなど山岳および冬山スポーツや観光で発展し、長野オリンピックの会場にも選ばれた村の歴史を紹介。しかし近年はスキーブームの陰りなどにより、かってのような賑わいは見られなくなりました。

しかし、インバウンド増加により、冬季の外国人観光客が増加。人口9千人に対して千人を超える外国人が、村内の飲食店や宿泊施設、スキーインストラクターなどで働くようになりました。多くの外国人はスキーシーズンの終わりとともに母国に帰りますが、自ら起業するなどして通年で働く方も2百名を超えるそうです。

このような事情を背景に、白馬高校では全国でも珍しい国際観光科を新設。後継者不足の解消など持続可能な観光業を目指し、村内でグローバル人材の育成に取り組んでいます。この取り組みは関心を呼び、全国から生徒が入学。村の将来を明るいものにしているそうです。

また中学校に併設された白馬村B&G海洋センターもスキー文化の継承やホスピタリティーの習得などに大きく貢献している、とのことで 今後も地域の特性を支える人材を増やしていきたいとの思いを語りました。

 

~防災~

福井県大野市 石山 志保 市長

大野市の石山志保市長は、「B&G海洋センターと防災」というテーマで報告。少子高齢化により消防団員の確保が難しくなる中、女性団員のみで編成された消防団「結(ゆい)の故郷(くに)女性分団」を結成しました。団員確保に悩む消防団の多い中、定員を超える147名の応募者から100名を選抜したそうです。女性団員は主に防火の啓蒙活動や各種イベントの運営などで活躍していますが、その活動場所として海洋センターを活用しているとのことです。

防災活動を世代間交流や男女の出会いの場としても捉えているのが、大野市。昨年6月には被災状況下での避難所を模したキャンプ生活イベント「結の防災キャンプ」が実施されました。グランドに設営したテントで宿泊や非常食の実食などを行ない、楽しみながら防災について学べると好評を博しました。

 

~コミュニティ~

鹿児島県天城町 森田 弘光 町長

天城町の森田弘光町長は、赤ちゃんから高齢者まで幅広い世代に利用される海洋センターを目指した様々な取り組みについて発表しました。

同町の海洋センター艇庫は2018年にリニューアルオープンしました。従来は平屋で無機質だった艇庫を大幅に増改築し、スロープ付きのウッドデッキやキッズルームの設置、売店スペースやカフェの確保など果たしました。キッズスペースの設置により家族連れが利用しやすくなったほか、海の絵画教室やパドルスポーツなどを学ぶ小学生対象の「海塾」、地元のママが切り盛りするママカフェなど、従来のマリンスポーツにとどまらない取り組みを展開しています。特筆すべきは高齢者ウォーキング大会で、おばちゃんたちが何十年ぶりかで裸足で海岸を歩き 海に入ったと言います。

文字通り「あらゆる世代が集える交流の場」となっており、その結果海洋センターの利用者数は人口5千人を大幅に超過する8531人(2018人)。全国5位の数字となって表れています。

 

第12回B&G全国サミット共同宣言を採択

つづいて当財団の取り組みについて説明後、第12回B&G全国サミット共同宣言を採択しました。

「一.地域力を活かしたまちづくり 海洋センターをはじめ、様々な地域資源を有効活用し、魅力あるまちづくりを推進するとともに、地域住民の知識・連携を深め、不測の自然災害等に備えよう」を新たな共同宣言に加え、第二部は閉会しました。

表彰

サミット第三部は、PR大賞、海ごみゼロフェスティバル、優良海洋センターの表彰を行いました。

●2019 B&G PR大賞

2019年 B&G PR大賞は、B&G海洋センター・海洋クラブ関係者および一般の方から、「おいでよ!海洋センターの部」、「おもてなしの部」、「やらかし川柳の部」の3部門、応募総数3,957点から選ばれた各部門最優秀賞の表彰が行われました。

PR大賞審査委員長を務める女優・画家の岸ユキさん(B&G財団の評議員)がプレゼンテーターとなり、「おいでよ!海洋センターの部」は静岡県のB&G御前崎海洋クラブ、「おもてなしの部」は埼玉県の白岡市B&G海洋センターが表彰され、「やらかし川柳の部」は群馬県のつーくんであると発表されました。

岸さんは「『サインはV』の放送時、テレビ局にスキルの高い広報マンがいたお陰で、バレーボールが大人気となりました。優れた広報によりドラマと現実の境がなくなるほど出演者もバレーボールも愛されたのです。PR大賞応募作品からもPRするものに対する愛が感じられました。」とコメントしました。

 

●2019 B&G海ごみ0フェスティバル

海ごみ0フェスティバル」は、水辺の環境保全、特に海洋ゴミに関する、知識や意識の向上を目的に、全国の海洋センタ―・海洋クラブで清掃活動を実施。環境省と日本財団が展開している5月30日「ごみゼロの日」と世界海洋デーを含む5月25日~6月9日を強化期間として、強化期間中の清掃活動参加人数全国1位の大分県B&G別府海洋クラブ、年間の清掃活動参加人数全国1位の宮城県加美町中新田B&G海洋センターを表彰。また、B&G賞として年間4回ユニークな清掃活動を実施した兵庫県南あわじ市南淡B&G海洋センターを表彰しました。

2018年度 優良海洋センター
10年連続「特A評価」の24海洋センターを表彰

海洋センター評価は、各施設の管理・運営面を把握し、今後の活動の活性化に役立てるとともに、B&G財団が行う支援活動の指標とすることを主な目的として、2003年度から導入しています。評価は最優良である「特A」から「E」までの6段階で評価が行われています。

今回は2019年4月度評価において「特A」と「A」評価を獲得したセンターを表彰。その中から、10年連続して「特A評価」を受けた24海洋センターの首長などにご登壇いただき、壇上で賞状と当財団キャラクター「アンドリーくん」の大型ぬいぐるみを贈呈しました。

レセプション

国際会議場ロビーやレセプション会場では、10年連続特A評価を獲得した24海洋センターの内19海洋センターの自治体が特産品をPRし、参加者間の親交を深めました。