【B&G職員リレートーク】東日本大震災から10年


みなさん、こんにちは。B&G財団企画課の朝日田です。

 

東日本大震災から10年ですね。当時を振り返りながら思うところを書かせていただきます。

ビルの9階にある当財団事務所から、エレベーターで1階に降りようとしたとき、ちょうど先輩職員がエレベーターから降りてきたところで「地震じゃない?ちょっと待った方がいいよ」その一言で、そのエレベーターを乗り過ごした瞬間、大きな揺れを感じました。

“立っていられない”という言葉どおり、何もできず思わずしゃがみ込んでしまいました。案の定、エレベーターは止まり、先輩の言うことは聞くもんだ、と思ったことを記憶しています。

 

テレビを見ると「宮城県沖が震源。大津波警報」。私の実家は宮城県の沿岸部にあり、すぐに実家や親の携帯に電話してみたものの、何度かけてもつながりません。そんな中、家内から「母親に一瞬つながり、津波が来るから逃げてる」と電話をもらいました。

テレビでは、仙台空港に津波が押し寄せる映像が流れ「仙台空港って、海に近いけど海沿いじゃないよな。実家はまずいかも」いよいよ本当に心配になってきました。

 

津波で壊滅した岩手県山田町海洋センター

津波で壊滅した岩手県山田町海洋センター

 

ようやく3日後くらいに、仙台に住む友人につながり、実家の様子を見てきてほしいと依頼。その日のうちに友人が連絡してくれ「家には津波がきてなく、普通に生活してたよ」と。ほっとすると同時に、思わず笑ってしまったことを覚えています。

 

その後、年に一度は帰省していますが、道路わきに積みあがった瓦礫、窓ガラスがなく誰もいない家屋、泥だらけの田んぼ、徐々に時間を経るごとに、広大な空き地が広がる沿岸部、目新しい住宅や公共建物、防潮堤など、当然のことながら、子どもの頃の風景はなく、一方で少しずつ復興している、と感じていました。

 

この3月にNHKが発表した被災者1800人へのアンケート調査では、復興が「思ったよりも遅れている/まったく進んでいない」と回答した方は、全体の50.7%。

被災地に住んでいない私には、ハード面ばかりに目を取られ、復興を感じてしまっていることに申し訳ないという気持ちと、そう感じることへの怖さを覚えます。

 

この10年間、仕事の関係もあり「熊本地震」や「令和元年房総半島台風」などの被災地を訪問する機会がありました。被災者の苦労を感じると同時に、自然災害に対し人間は何ができるのだろうと考えてしまいます。批判はあるかと思いますが、完璧な100%の対策はなくとも、そこに生きるため、可能な限り対策し対応することしかないのでは、と感じています。

 

「熊本地震」で倒壊した家屋

「熊本地震」で倒壊した家屋

 

B&G財団では、子どもたちに海を中心とした自然体験活動を約50年間推進しています。子どもたちは自然の中で遊び・学ぶ、その表情・眼差しは、かけがえのないものです。一方で、自然は時に猛威を振るいます。その関係性・双方に折り合いをつけることは、私たちの永遠の課題かもしれません。

 

2021年、B&G財団は、子どもたちの自然体験を推進すると同時に、防災関連事業に着手します。これまでの経験や知見を活かし、重機による緊急対応や重機を活用できる人材の育成、そして災害発生時に、人材や機材を広域に活用できる仕組みを構築していきます。

自然に対し、様々な視点から向き合っていきたいと思っています。

 

重機を使った緊急対応

重機を使った緊急対応

 

 


企画部 企画課 朝日田 智昭

4 コメント

  1. 西日本アドバイザー 金久 博 より:

    東日本大震災から10年を迎えた2021.3.11 14時46分 全国の多くの自治体や企業・関係住民等では、黙祷が捧げられたのではと思います。ほんとうに驚くべき情景を思い起こしながら、二度とこのような惨事があってはいけないと考えた感じた方も改めて大変多くおられるのではと思います。 大震災から10年、東北地方の皆さまの生活は、地域の復興状況は、学校や教育活動は、経済や仕事状況は、さまざまなことが浮かんでくる3月11日です。東北ブロックや関東ブロックなど被災したB&g海洋センターの復興とその後の活動状況も気になるところです。 最近の報道などでは、まだまだ復興途上で、その上にコロナ禍で、なかなか震災前の状況に至らず、10年という歳月には、例えば、小学生が大学を卒業するような年代となっていて、世の中の環境も大きく変化している今ではありますが、あの3月11日を風化させることなく、国、県、市町村をはじめとする行政や、学校教育や経済活動加えて、社会体験活動やスポーツ・健康づくり活動も懸命に新しい時代に向けて取り組みを進めているのだと思います。朝日田さんの話にあるように、そのような中、B&G財団は、子どもたちに笑顔と元気を持っていただく活動を通じ、地域の活性化や将来を担う豊かな心を持ったたくましい子どもたちの成長をサポートする取り組み活動を進めてこられています。まさに、人づくり・健康づくりです。 そして、体験型の活動には、防災教育などの要素も取り入れるなど、学校教育と社会活動での共有する内容も多くあって、親が家庭が多忙な時代にあって子どもたちの心や感性の醸成にも大いに貢献しているのだと感じています。そのような子どもたちが将来地域社会を担う人として成長するよう期待を込めた活動が今後も継続されることを願います。全国のB&G指導員や関係者の皆さんが、財団活動の目的を理解しながら、地域実践できていけるよう更なる牽引役として、朝日田さんの今後の活躍に大いに期待いたします。 このような言葉があります。「備えていたことしか、役には立たなかった。備えていただけでは、十分でなかった。」防災教育とか災害に対する考え方では、災害の経験、災害時の対策対応の研究、日ごろからの訓練や見識など、迅速な対応が求められるのが、現場だと思います。これからの将来、有事に備えた対応の在り方も学習していくような防災教育、何ができるか何をしなければならないだろうか、一人一人が考える教育も大事かもしれません。 想像力を巡らせて、最大限の状況を想定して、対処することを学んでいけるようなB&G活動の中での取組も進めていただければと思いました。 季節は、3月中旬。関東では桜の便りも聞かれる日が近くなってきていると思いますし、春の陽気といいますか日中の気温も上昇し、冬衣装から春・初夏の衣装に衣替えする日も近いと思います。野辺の陽気な情景も観られる日に、コロナウイルス感染症を気にせずに散策できる日が来ることを改めて願うものです。 B&G財団の自然体験活動や防災を視点とした活動の中での子どもたちへの教え、新たな生活様式の中での体験型活動の大切さなど、これからもどんどん普及していってください。 また、いつかお会いできました際には、いろいろとお話をお伺いできればと、楽しみにしています。

    • 匿名 より:

      金久さま コメントをいただきありがとうございます。 自然災害後やコロナ禍において、子どもたちに、どのような新しい様式で、自然体験を提供できるか、私たちの役割と責任ですね。 最近感じることは、大人より子どもの方が、災害への備えやコロナ禍の生活について、考え、実践している気がします。謙虚に見習おうと思います。 またいつかお会いできることを楽しみにしております。

  2. 浜田市三隅B&G海洋センター 阿瀬川 より:

    朝日田さん、お世話になっております。知人が仙台在住で当時、地震があった時23階のマンションにおられ、ゆれが尋常ではなかったため一瞬諦めたそうです。浜田市三隅町も56.58年に豪雨水害がありました。三隅川が決壊し次々と家が流れて行きました。 津波、地震、台風と近年ありますが、何もできない年が続き、この度、職員が防災士の資格を取得しました。皆で話し合い、何事も起きてからではなく、普段からの備え学習をB&G施設を活用し、来年度から防災教育、合宿、近くのキャンプ場で食事づくりなどを計画しています。小規模な企画ですが、出来る事からコツコツと行い広げて行きたいと考えています。

    • 匿名 より:

      阿瀬川さま コメントをいただきありがとうございます。 知人が仙台におられたのこと、ご心配だったでしょうね。 つい先日も、宮城県で5強の地震があり、本当に心配になりますね。 ただ、私もよく行った日和山でのインタビューをテレビで拝見しました。「東日本大震災」を思い出し、真っ先に逃げてきた、と。 教訓として行動に移す人も間違いなくいるし、それを伝えることが大切だと感じました。 阿瀬川さまの試みは、教訓を伝え行動につなげるという点でも、非常に重要だと思います。 私たちも一緒になり、災害対応の試みを推進していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

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