【B&G職員リレートーク】小さな配慮が大きな“変化”をもたらす
職員リレートークこんにちは、事業課の斎藤です。
桜も散り始め、春の盛りを迎えました。
新年度は、あらゆる環境の変化に戸惑う時期でもあります。進学や就職、職場の異動や転勤など、年度の切れ目は自分を取り巻く環境が大きく変わることがよくあります。B&G財団でも部署の再編成が行われ、職員の多くが新しい環境にリズムを合わせながら日々、悪戦苦闘しています。
そんななか、今年4月から障害者の方々に関する新しい法律が施行されて、世の中に“無視できない変化”が起きたことを皆さんはご存知でしょうか?
新たに施行された「障害者差別禁止法」
新たにできた法律は「障害者差別禁止法」と言い、障害のある人が被る“不当な差別的取り扱いの禁止”や、社会の中にあるバリアを取り払うために必要な“合理的配慮の提供”を、国、自治体、民間事業者などに求めています。
これまで、飲食店に入る際に断られるなどの苦い経験をした障害者の皆さんも少なくなかったと思いますが、これからは正当な理由なくサービスの提供を拒否するといった不当な差別、取扱いが法によって禁止され、(負担が重すぎない範囲で)バリアを取り除くための対応が合理的配慮の提供義務によって求められます。
この法律、民間事業者に対しては努力義務となっており、明確な罰則規定もありませんが、対象は商店、交通機関、不動産取引、病院、学校など多岐にわたっているので無視はできません。そのため、私が担当しているB&G「アドバンスト/アクア・インストラクター養成研修」でも、今年度から障害者への理解や受入れ体制等について学ぶ新たなプログラムの導入を検討しています。
ある先輩から教えられた大切なこと
私が学生時代に所属していた運動部に、両足がない義足の先輩がいました。その先輩は交通事故で両下脚の切断を余儀なくされましたが、義足をつけて健常者に交じって大会に出場するようになり、現在は大手企業で研究開発に携わりながら、パラリンピックに出場してメダルを獲得するほど社会復帰を果しています。
私は、そんな先輩にどうしてそこまでがんばれるのか質問したことがあります。彼は元々メンタルが強かったのだと思いますが、「せっかくここまで生きてきたのだから、足がなくなったことくらいで“普通の人間らしく生きること”を諦めたくない」と言っていたことが非常に印象的でした。
それまでの私は、障害者を見かけると「安易な気持ちで接して、傷つけてしまってはいけない」などと考えて特別な目で見てしまいがちでした。しかし、この先輩と出会うことによって、障害があるというだけで必要以上に配慮し、特別視するのは、むしろ差別につながるのではないかと気づくことがきました。
大切なのは、ハードよりハート
障害を持つ人に対しては相応の配慮が必要ですが、それ以外には私の先輩のように何も健常者と変わりません。ところが私たちは、「障害者なのだから」というフィルターを自ら掛けてしまい、腫れ物に触るような接し方をしてしまいがちです。新しい法律が施行されたとはいえ、障害者を受入れる予備知識が乏しいまま漠然と不安を抱えてしまう健常者の皆さんもいることと思いますが、こうした不安は私たち健常者が自らつくってしまったバリアであることも多いのではないのかと思います。
しかし、そんなバリアもちょっとした気遣いで簡単に越えられる場合もあるかもしれません。バリアフリー化に多額の資金が必要なお店もあるでしょうが、安全性が確保されていれば店員が車イスを押してあげて段差などを越えることができる場合もあると思うからです。
大切なのは、「ハードよりハート」です。健常者と障害者の双方が対話を重ねて折り合っていくことが、いま私たちに一番求められている“変化”なのだと思います。
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