水辺を学ぶ カヌー講座

持田雅誠のカヌー講座 11年連続カヌー日本代表 アトランタンオリンピック日本代表

Lesson7 転覆しないテクニック

Chapter20 ロー バランス

 これまで練習するうちに、何度かバランスを崩したり沈したことと思います。Chapter10でも説明しましたが、カヌーは左右に不安定な乗り物です。しかし、その分乗る人が自分の力でコントロールできる範囲が広く、うまくなれば波を使って色々な遊びをする事もできます。バランスを崩して沈をしないように、リカバリー(艇の傾きの復元)のテクニックを練習しましょう!
 まずは比較的簡単なロー バランスを試してみましょう。

バランスの取り方

まずはChapter10の復習です。腰をやわらかく使いながら、ひざを上に持ち上げるようにしてバランスを取ります。左右にグラグラ揺らしてみたり、どちらかに傾けたまま止めたりしてみましょう。
この動きはとても大事です。カヌーが横にグラグラする(「ローリング」といいます)のをコントロールすることで、今回のバランス テクニックが身につくだけでなく、次回のエスキモー ロールも上手くできるようになります。自分の下半身がカヌーになったと感じるぐらい、自由自在にコントロールできれば最高です。

ロー バランスのフォーム(右側に傾く場合)

1:軽く前傾した姿勢をとる。
2:両手のヒジを肩の高さか、やや低い位置におく。
3:両手のゲンコツをへその高さに置く。
4:ヒジから先(上腕)が垂直になるようにする。
5:パドルは、右の外側のブレードが真下を向くように持つ。(ブレードが水面に対して平行になるように。)

ロー バランスの動き(右側に傾く場合)

1:わざと右側にカヌーを倒してみる(初めは一気に傾けないで、ちょっとずつ!)
2:右ヒジを伸ばしながら、右側のブレードを水底に向かって押し込む。
3:ブレードを押し込むことで抵抗が生まれるので、それをきっかけにして右ヒザを持ち上げ、カヌーを起こす。
4:水中に入ったブレードはそのまま真上には抜けないので、ブレードのバウ側を軽く持ち上げて、バウ側の水面に水を切りながら抜く。その時、同時に上半身を前に動かすとやりやすい。

ポイント
  • なるべくブレードに頼らないで、ヒザの動きでバランスを回復すること。
  • 頭を水から遠ざけようとして高い位置にもってくると、逆に安定が悪くなる。「頭は最後」と覚えておこう!
  • ブレードを横にしたまま真上に抜くことはできない。ここではブレードを横に動かして、水を切る動きを身につけよう!

Chapter21 ハイ バランス

 ロー バランスがブレードを下に押しこむような動きだったのに対して、ハイ バランスではブレードの逆側(カーブの内側)を使って水を上から押さえ、カヌーの方に寄せる動きになります。
 大きくバランスを崩しても、ブレードが遠くを取れるためバランスの回復がしやすいテクニックです。

ハイ バランスのフォーム(右側に傾く場合)

1:上半身は直立させる。
2:両手のヒジをみぞおちの高さに置く。
3:両手のゲンコツを肩の高さに置く。
4:手のひらがカヌーの真正面を向くようにパドルを持つ。
5:右ブレードのカーブの内側が水面を向き、水面と平行になるようにする。

ハイ バランスの動き(右側に傾く場合)

1:わざと右側にカヌーを倒してみる(初めは一気に傾けないで、ちょっとずつ!)。
2:右ヒジは伸ばさずに、右側のブレードが水面に当たると同時にカヌーの方に寄せる。(右ヒジをわき腹に近づけるように動かす。)
3:ブレードをカヌーに寄せることで抵抗が生まれるので、それをきっかけにして右ヒザを持ち上げ、カヌーを起こす。
4:水中に入ったブレードはそのまま真上には抜けないので、シャフトの方向、つまり左側のブレードの方向に引き抜く。

ポイント
  • なるべくブレードに頼らないで、ヒザの動きでバランスを回復すること。
  • 頭を水から遠ざけようとして高い位置にもってくると、逆に安定が悪くなる。「頭は最後」と覚えておこう!

※寄せるのと反対側のヒジ(右の場合だと左側)は、絶対に肩から上に上げてはいけません!ケガにつながります!

動画はこちらから (642KB)

Chapter22 スウィープ リカバリー

 スウィープ リカバリーは最も強力なリカバリー テクニックです。慣れればカヌーが真横になるほど傾いた状態からでも元に戻る事ができます。

スウィープ リカバリーのフォーム(右側に傾く場合)

のスウィープのフォームをとる。

スウィープ リカバリーの動き(右側に傾く場合)

1:わざと右側にカヌーを倒してみる(初めは一気に傾けないで、ちょっとずつ!)
2: 右側のブレードが水面に当たると同時に、スウィープの動きでブレードを動かす。
3:スウィープをすることで抵抗が生まれるので、それをきっかけにして右ヒザを持ち上げ、カヌーを起こす。

ポイント
  • なるべくブレードに頼らないで、ヒザの動きでバランスを回復すること。
  • 頭を水から遠ざけようとして高い位置にもってくると、逆に安定が悪くなる。「頭は最後」と覚えておこう!
  • スウィープと同じように、しっかり体をねじる。
  • 復元力が足りないときは、最後に体を後ろに傾けてスターンまでブレードを寄せる。

動画はこちらから (2.30MB)