水辺を学ぶ カヌー講座
持田雅誠のカヌー講座 11年連続カヌー日本代表 アトランタンオリンピック日本代表
Lesson4 もしものときは?
Chapter10 正しいパドリングポジションをとろう!
やっとカヌーに乗って水面に出ましたね。さて、乗り心地はどうでしょう?
え?「横にぐらぐらする」って? そう、カヌーは前後には安定しているけど、左右にはとても不安定な乗り物なんです。
カヌーが自分の体と一体になるように、しっかりと下半身でカヌーをコントロールしましょう。これができるとバランスがとれるので、上達が早くなりますよ!
乗艇時の姿勢
<下半身>
ひざを外股(ガニ股)の形にして、ひざの内側をデッキの内側につけ、上に持ち上げるようにする。
ひざを胸に近づけるように意識すると、上半身の前傾姿勢が楽にとれます
<上半身>
肩の力を抜いて楽にします。
アゴを引いて進行方向を見ます。手元やカヌーを見ないように!
上半身は直立か、できたら軽く前傾姿勢をとります。後ろに倒れないように!
バランスの取り方
下半身のホールドがしっかりできていると、波でカヌーが揺れてもバランスがくずれません。まずは下半身を使ってカヌーを左右にゆらしてみましょう。
1:右のお尻に体重をかけながら、左のひざを持ち上げる→カヌーが右にかたむきます。
2:次に、左のお尻に体重をかけながら、右のひざを持ち上げる→カヌーが左にかたむきます。
3:右、左、右、左…と、カヌーをグラグラゆらしてみましょう。
4:慣れてきたら、かたむけた状態でピタっと一時停止してみよう。難しいぞ!
Chapter11 転覆(てんぷく)したらどうする?
早く沖に行こうって? ちょっと待って!その前に大事なことを忘れていませんか?
カヌーは小さい舟だから、はじめ慣れないうちはよくひっくり返ります。そのことを転覆(てんぷく)とか沈(ちん)と呼びます。沈したらどうやってカヌーから脱出するか、練習しておきましょう。沈はカヌーにつきものです。あわてないで、ちゃんとカヌーから抜ければ大丈夫ですよ!
沈と脱艇(だってい)
1:沈したとき、または沈してしまうと思ったとき、顔や胸がバウデッキにつくくらい思い切り前傾する。
※顔をデッキから離したり、水の底に向けてはいけません!顔や頭を怪我する可能性があります。
2:パドルを片手で持ち、コクピットの横か斜め後ろに手を置きます。
3:ひざを真っ直ぐに伸ばして、手でデッキを押しながら、まずは腰をコクピットから抜きます。それからふともも、ひざ、すね、足の順にコクピットから抜きます。
※マット運動の前転のような動きで脱艇します。絶対にひざを曲げたり、ひざから出ようとしないこと!すねをコーミングにぶつけますよ。
4:脱艇したらコクピットの横に移動し、コーミングを下から上に押し上げて、カヌーを起こします。
※カヌーに水が入らないように、思い切って1回でやりましょう!
5:パドルをコクピットに差し込みます。
6:バウかスターンのどちらかに移動して、カヌーを押すか引くかしながら岸まで泳ぎます。(グラブループをつかむと引きやすい)
※コクピットにつかまると、カヌーが横になって水が入ってしまいます。
このように、水上で脱艇してから自力でカヌーを引いて岸に上がったり、自力でカヌーに乗りなおすことを、「セルフレスキュー」と呼びます。
誰かが助けてくれるのを待つのではなく、自分の身の安全を自分で守れるように、セルフレスキューを積極的に練習しましょう。
水抜きの方法
沈して岸に戻ったら、カヌーに入った水を抜きましょう。
1人での水抜き
(ひざから腰の深さの水面で行う)
1:バウまたはスターンのどちらかの側に立って、そのデッキに両手を置き体重をかける。
2:デッキに置いた手がすべらないように注意する。
3:体重をかけた側に水がたまる。反対側は水面から出る。
艇の浮力を利用して一気にウラ返す。
ウラ返した艇をすばやく持ち上げて、水を抜く。
2人での水抜き
バウ・スターンにそれぞれわかれ、艇を傾け少し水を抜きながら艇をウラ返す。
ウラ返した艇の、バウ・スターンを交互に上下(シーソーの要領)させて残った水を抜く。
Chapter12 水面でカヌーに最乗艇してみよう!
海や湖の沖合いで、脱艇した場合は、その場でカヌーに乗り込む必要があります。
後方乗艇でカヌーに乗り込んでみる
1:脱艇のあと、パドルをバウ側からスターン側のコクピットに差し込む。
2:スターンに移動する。
3:コーミングの後ろに両手をかけ、両脚を開いてバランスをとりながら、スターンデッキにはい上がる。
4:コクピット後部に馬乗りになり、パドルをコクピットから抜く。
5:手をスターンデッキに置いて、バランスをとりながらコクピットに乗り込む。
バディーレスキューでカヌーに乗り込んでみる
1:脱艇したら、仲間のカヌーに横に来てもらい、カヌーを同じ方向に向ける。
2:2つのカヌーの間、スターン側にはさまり自分のカヌーのコーミングを片手でつかみ、別の手で仲間のカヌーのコーミング後部をつかむ。
3:両手に同じように体重をかけ、コクピットに水が入らないように、まず脚をデッキの上にもっていく。(上半身は低くする!)
4:脚から先にコクピットに乗り込む。
パドルを仲間に持ってもらうこと、仲間に自分のカヌーを押さえてもらうことが大事です。