スペシャル 夢をつなげ!B&Gアスリート

No.027:八角 周平千葉県香取市 B&G小見川海洋クラブのカヌースプリント選手が2020年東京オリンピック出場を目指す!
2019.03.27 UP

八角 周平 千葉県香取市のB&G小見川海洋クラブのカヌースプリント選手が2020年東京オリンピック出場を目指す!

プロフィール

八角 周平(ほすみ しゅうへい)

1998年12月生まれ、千葉県香取市出身の筑波大学体育専門学群2年生。
カヌースプリント競技 カナディアンシングルで東京オリンピックの出場を目指すアスリート。
小学5年生の頃、学校の体験学習でカヌーに出会う。日常から解放された感覚を味わえるカヌーの魅力にとりつかれ、地元香取市の「B&G香取市小見川海洋クラブ」に入った。高校生で世界大会出場を果たし、ポーランドで開催された世界大会「カヌースプリント オリンピックホープス」では、銀メダルを獲得。国体2連覇や「2018世界学生カヌー選手権」で入賞も果たしている。
現在は筑波大学に通いながら、週末は海洋クラブでカヌーの練習に励んでいる。

後編:海外の合宿に行きたい!両親の理解を得るため懸命に努力した中学生時代

- ご両親は八角選手のカヌー競技の活動についてご理解はありますか。 -

今は「自分のやりたいようにやればいいんじゃない」と言ってくれています。

私が小学生の頃は、海洋クラブと施設があるから、遊びでカヌーをやっていることに対して、両親も「楽しいんだったらやればいいんじゃない」という意見でした。

しかし、中学に入学すると、小学生の遊び要素の多いカヌーから一転。全国大会に出場するほど、私のカヌーに対する意識と競技力が変化していました。

県大会で優勝し、全国大会に出場する権利を手にしたことを両親に伝えると「えっ!行くの?」と驚かれたのを覚えています。小学校と中学校のギャップが大きかったのだと思います。

中学2年生になると、海外合宿の話もありました。でも、将来を見据えた父親の了解が得られず、合宿には参加させてもらえませんでした。

それが悔しくて「1年間、勉強もカヌーも頑張るから、次回合宿に呼ばれたときは行かせてくれ!」ってお願いしたんです。そこから勉強も必死に頑張って、学校の成績表もオール5、学年テストも1位を取るようになりました。すると、中学3年生の頃には、志望校どころか、更さらに上の高校にも入れる成績になったんです。

その結果を父親に伝えて、もう一度、海外合宿のお願いをしたんですけど、それでも理解は得られませんでした

筑波大学でインタビューの写真

父親から競技に対する理解を得るために苦労した過去を打ち明ける八角選手

- 中学時代にそこまで努力して結果を出していたら、その後、ご両親の見方も変わってきたのでは? -

確かに少しずつ変化はありましたが、「競技で一生暮らすわけではないし、お金を生み出すことも難しい。将来のことをよく考えろ」など、非常に現実的な話を多くされました。

もちろん、この言葉は、将来息子に嫌な思いをしてほしくないという親心なのだと重々承知しています。

しかし、世界を目指せる立場になったにも関わらず、競技をやめた後や競技を続けたまま社会人になることのデメリットの話をされるのが自分にとっては非常に苦しいものでした。

競技に対する理解や、集中できるサポートをしている家族を大会で目の当たりにしたときは、正直羨ましかったです。

しかし、最終的には海外遠征も含め、遠征の許可を出してくれたり、陰ながら大会の成績を気にしてくれたりしている父親には感謝しなければならないと思っています。

そのおかげで多くの国際大会の出場し、高校2年生で出場した「カヌースプリント オリンピックホープス」という学年別の世界大会(ポーランド)では、準優勝することができました。現在でも非常に思い出深い大会となっています。

ポーランドでの写真

「カヌースプリント オリンピックホープス」で準優勝という快挙を成し遂げました

- 大学生になった今は、ご両親の理解も得て、2020年の東京オリンピック出場を目指しているのですね。 -

はい。今年の国内外の大会の結果が、オリンピック代表選手の選考に大きく関わってきます。一つ一つの大会で着実に上位の順位を獲れるように頑張ります。

ちなみに、あまり知られていないかもしれませんが、オリンピック種目となっている、カヌースプリントは、漕ぐ距離やカヌーの種類によって12種別に分かれています。私は、カヌーの片側だけを漕ぐ “カナディアンシングル”の競技に属するのですが、オリンピックでは1000mの距離を漕ぐレースのみ、出場できる選手は国内で1人だけです。

- 八角選手が、ここだけは他の選手に負けない!という部分を教えてください。 -

大学で、体の動かし方やスポーツ生理学を学んでいるので、それをカヌーに活かすにはどうすれば良いのか、自分で調べたり考えたりして練習に繋げられるところが強みですね。

あと、水の抵抗を人一倍強く感じる感覚を持っていることが他の選手に負けないところだと思います。

カヌーは、水の中にパドルを突っ込んで漕ぐ競技ですから、水の抵抗を敏感に感じ取る必要があります。それが敏感ということは、速く漕ぐことにもつながるし、逆に、どこでスピードが殺されちゃうのか分かるということです。

また、波が高い、風が強い環境でも、水の抵抗さえつかめていれば、その環境に適した漕ぎ方ができます。

天候や環境が変わっても同じような進み方ができることが私の強みだと思います。

- 休日の過ごし方を教えてください。 -

休日は、基本寝ていますね(笑)

友達の予定が合えば登山に行きますけど、他にもショッピング行ったりもします。

北関東最大と謳っているショッピングモールが筑波大学近くにあって、そこでウインドーショッピングしたり、コストコに行って、好きなものを試食しながら食材を買って、その日の夜には友達に手料理を振舞ったりします。

友人との食事の写真

友人との食事を楽しむ八角選手(前列左から2人目)

- 料理を友達に振舞うとは、家庭的ですね!得意料理は何ですか。 -

得意料理ですか。何だろうな。

この前、友達に作って好評だったのは「鶏の手羽元の煮付け」ですかね。

自宅に圧力鍋がないので、3時間くらい弱火で煮込んだら結構おいしく作れました。

軟骨もコラーゲン質でプルプルに仕上がりました!

- 大会前に聴く音楽は何ですか。 -

椎名林檎の『NIPPON』という曲を良く聞きます。歌詞と自分の経験が合致して、凄くやる気が出ます。

「最果て目指して持ってきたものはただ一つ」「この地球上で一番」という歌詞があるんですが、それを聞いたのが、高校2年生のときのポルトガルの世界大会だったんです。

ポルトガルって、ちょうどヨーロッパ大陸の最果てじゃないですか。そういった歌詞や自身の経験が合致して、勝負曲として聴くようになりました。

ポルトガルの世界大会に出場したときの写真

椎名林檎さんの曲は、ヨーロッパ大陸の最果て、ポルトガルの世界大会に出場したときの励みになりました

- 好きな有名人はいますか。 -

武井壮さんが好きですね。選手としての記録はもちろん、SNSでスポーツの文化や価値について、よく考えて情報発信しているところが凄いと思います。

武井さんは、陸上十種競技という競技のアスリートでしたので、同じマイナー競技をしている選手の目線にも立って、今のスポーツ業界の現状や課題について自分の意見を発信したり、問題提起をしてくれる人です。

スポーツ全般を考えて活動しているところが素敵だと思います。

- 大会前に食べる勝負メシを教えてください。 -

私の母親の実家で飲食店を営んでいまして、そこの味噌ラーメンが勝負メシです。

「クイーン」というお店で、千葉県香取市の隣にある東庄町という町にあります。

食べログでも紹介されているので、ぜひ食べに来てください!

▪珈琲・中国茶 クイーン(食べログ):https://tabelog.com/chiba/A1205/A120501/12039937/

- ずばり、付き合っている女性はいますか。 -

残念ながら、今お付き合いしている女性はいません。

- どんな女性がタイプですか。 -

そうですね。

自分の意見を持っている自立した献身的な女性が好きですね。

外見はあまり気にしません。

- 最後に、将来の夢を教えてください。 -

将来の夢は、今方向性が定まってなくて、やりたいことがたくさんあるんですが、その中の三つをご紹介しますね。

まず競技者として、東京もそうですけど、パリのオリンピックまで続けるというのが一つです。

二つ目は教員です。自分が今まで培ってきた人間力を教育業界に還元しながら、教え子と一緒に成長できたら良いな、という夢もあります。今、大学で中学高校の体育教諭の教員免許を取得している最中で、来年は教育実習に行く予定です。

そして最後は、海外に住んでみたいです。趣味でカヌーができる国だったら理想的ですね。そこで、自分の経験を活かしたり、新しい考え方や技術を身に付けられたりしたらいいなと思います。

- どれも素敵な夢ですね。これから色んな進路が拓けて、楽しみが増えてくるかもしれませんね。勉強も競技も両立できている八角選手の今後の成長が楽しみです。
どうもありがとうございました!-

(文:鈴木 慶

前編:日常から解放される感覚を味わえるカヌー競技に魅了された若者

B&G別府海洋クラブ

「B&G香取市小見川海洋クラブ」は、水上スポーツ、特にカヌーを中心に年間を通じ活動しています。活動のベースとなる「香取市小見川B&G海洋センター」は目の前が川という恵まれた環境にあり、小・中・高校生が、日々練習に励んでおります。その結果、それぞれの年代が全国規模の大会で数多く入賞を果たしています。
た、近年のアウトドアブームも相まって大人の入会者も多くなっています。