無縁仏を五目飯で供養・・・「餓鬼めし」とも呼ばれます。
~香川県の小豆島町に江戸時代から伝わる、お盆の伝統行事~
小豆島町の河原で無縁仏を供養するお盆の伝統行事「川めし」が、8月14日付のまちレポ【四国版】に投稿されました。後日、筆者の陶山哲夫さん(B&G池田海洋クラブ代表)から詳しい内容の追加レポートをいただいたので、紹介いたします。

お盆になると、河原で五目飯を炊いて無縁仏にお供えする「川めし」。江戸時代から綿々と続いている、町の伝統行事です
かまどづくりは男の仕事!
「川めし」は、生前の悪行の報いとして亡者の世界に落ち、飢えと渇きに苦しむ餓鬼に飲食を施して供養する「施餓鬼」の行事(餓鬼の供養)のひとつで、「餓鬼めし」とも呼ばれます。毎年、お盆に行われており、1976年に小豆島町指定の無形民俗文化財に指定されました。
まだ薄暗い日の出の前後に地元の人々が家族ごとに河原に集まって行うこの行事、河原の石で囲んだかまどに釜を置き、油揚げやニンジン、ゴボウ、シイタケ等を入れた「五目飯」を炊き出します。どこの家族も、かまどをつくったり五目飯を炊いたりするは男の仕事と決めています。

炊き立ての五目飯を給仕するお母さん。かまどの設営や炊き出し作業は男性が行います
葉っぱに盛り付けた五目飯で供養
ご飯が炊きあがる頃になると、帰省中の家族や親せきなども河原に集まり、主婦が中心になって五目飯を葉っぱに盛り付けます。平年なら12枚、今年のようなうるう年には13枚の葉を用意しますが、これらは川原の近くで調達できる柿の葉などの幅の広い葉が用いられます。

うるう年の今年は13枚の葉に盛り付けました
五目飯が盛られた葉っぱは川原の石の上に並べられ、集まった人たちが合掌して無縁仏を供養。その後は、皆で川原に敷いたゴザやシートの上で炊き立ての五目飯を食べながらいろいろな会話を楽しみ、食べ終わると先祖の墓参りに向かいます。ちなみに、この五目飯を食べると夏バテしないと言われています。

無縁仏を供養した後は、皆で炊き立ての五目飯を楽しみます
伝統行事が数多く残る小豆島
今年の「川めし」は8月14日(日)の朝に行われ、7家族50人ほどが参加しました。10年ぐらい前には14家族が楽しんでいたので、今年になって半減した計算です。いつまでも続けてほしい伝統行事ですね。
小豆島には「川めし」のような昔からの行事が多く残っており、映画「八日目の蝉」で有名になった稲の害虫を追い払う「虫送り」や、新仏をともらうお盆行事「夜念仏」、秋の太鼓祭りの際に6丁櫓の小舟で太鼓台を神社前の浜まで運ぶ「押し込み」などが今でも行われており、約350年前から続く「肥土山農村歌舞伎」や「中山農村歌舞伎」といった民族文化財も大切に残されています。

7家族が参加した今年の「川めし」。お盆の風物詩として末永く続いてほしいものです