インクルーシブなカヌー体験を広めたい!
~埼玉県松伏町の「障がい者カヌー&水辺の安全教室」~
埼玉県松伏町教育委員会は、障害者差別解消法の施行を機に「障がい者カヌー&水辺の安全教室」の開催を企画。7月9日、10日の実施に向け、6月18日にB&G関東指導者連合の有志が松伏町B&G海洋センターに集まって、車椅子からカヌーに乗り込む際の補助方法を事前に検証しました。
その後、教室の初日7月9日(土)は悪天候によってプログラムが中止となり、参加する予定だった車椅子の方々の体験教室ができなくなってしまいましたが、事前に検証した補助方法に関しては、翌10日に埼玉県障がい者スポーツ指導員の方々に提案することができました。
こうした取組みの様子は、すでに「まちレポ【関東版】」に投稿されていますが、さらに質問形式で具体的なコメントをB&G関東指導者連合の島田 聡さん(群馬県明和町B&G海洋センター)から「まちレポ【全国版】」用にいただいたので、ご紹介いたします。
ポイントは長イスと脚立の有効利用!
■車椅子からカヌーに乗る補助方法に関しては、どのような工夫を考えたのでしょうか。
車椅子の方々は下肢に力が入らないと思われるため、その点を考慮しながら皆で協議し、次のような方法がベストではないかという結論に至りました。
1) 対象者に車椅子で水辺に移動してもらい、補助者が対象者の脇に頭を入れて立たせた状態にしてから、長椅子を置いて座ってもらいます。
2) 脚立の上に乗せたカヌーを長椅子の下にくぐらせた後、補助者に両脇を支えてもらいながら足から乗艇していきます。
3) 長椅子を外し、カヌーの前後を補助者が支えるなかで、ゆっくり脚立を持ち上げ、カヌーを滑らせて入水します。
水から上がるときは逆の手順になりますが、艇を下架する際は脚立の足(広い方)から、上架するときは頭(狭い方)から持ち上げると安定することがわかりました。また、ビート板や緩衝剤をコクピットと体の隙間に入れて固定することで、体幹を固定することができるのではないかという結論になりました。
次回へ寄せる大きな期待!
悪天候によって車椅子の方々を対象にした初日のプログラムが中止を余儀なくされましたが、翌7月10日には天候が回復。この日に予定していた、知的な障害を持つ方々に向けた体験教室は実施することができました。
■7月10日の教室は、どのような様子でしたか。
カヌーが初めての方ばかりだったので最初は恐る恐るといった感じでしたが、慣れるに従って皆さんが果敢にカヌーにトライし、なかには”沈”を体験する方までいました。
■こうした取組みは、今後、どのように推移していくのでしょうか。
今回は下肢に障害を持つ方々の教室はできませんでしたが、すでに9月4日(日)に次回の開催を予定していますので、今度はしっかり実施して参加者の方々から補助方法についての感想や要望等をお聞きしたいと思っています。
一方、知的な障害を持つ方々の教室は行うことができましたが、水辺の遊びは誰がやっても楽しいものです。たくさんの補助者の協力が必要ではありますが、さまざまな障害を持つより多くの方々に体験してもらいたいので、これからも皆さんの笑顔ために協力していきたいと思っています。
■今回の取組みが発展していくことを期待しています。いろいろなお話、ありがとうございました。