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No.001:青森県南部町 工藤祐直 町長 自然環境の豊かさを、体験を通じて子供たちに伝えていきたい
2017.01.17 UP

豊かな自然あふれる青森県南部町。B&G全国指導者会の会議で財団にお越しになられた、工藤祐直町長にまちづくりについてお聞きしました。

プロフィール 工藤 祐直(くどう すけなお)町長
1955年(昭和30年)生まれ。青森県南部町出身。
大学卒業後、民間企業を経て青森県名川町役場に就職。同町のB&G海洋センター勤務となり、初代育成士として活躍。その後、農林課や企画課などを経て、平成11年に名川町町長に就任。平成18年、合併による新生南部町の初代町長に就任し、現在に至る(通算5期目)。
B&G財団評議員、B&G全国サミット 副会長、B&G全国町村長会議・B&G全国指導者会 会長。

第1話:子供には、より多くの経験を積ませたい

- 子供たちに伝えたい、残したい南部町の良さや特色について教えてください -

 南部町は青森県南部に位置する、自然が豊かな農業中心のまちです。なかでも果物を中心とした、果物を通じたまちづくりを進めています。

 そうした中で、私たちは平成3年からグリーンツーリズムを推進しており県内外の修学旅行や各種ツアー、個人まで実に様々な方に南部町で農家民泊などを体験していただいています。

  • 霊峰・名久井岳のふもとにひろがる南部町。豊かな自然を活かした、フルーツのまちづくりを進める

  • 平成3年から推進しているグリーンツーリズム。自然との触れ合いに、思わず笑みがこぼれる

 その内容は、それぞれの季節に応じていて、春には春の、秋には秋の農作業体験をしていただいています。春先の土づくりから始まり秋の収穫まで、季節ごとにいろいろなプログラムを提供しています。

 こうした、農業を活用したまちづくりを行っていく中で、町の子供たちにも、就学前の園児から作物の収穫など、さまざまな農業体験を取り入れており、町内にある中学校と県立高校では、生徒たちが農家の方を訪ねて農作業のお手伝いをしています。実際に農作業に携わることで、町の主要産業である農業への理解を深める機会としています。

  • ぶどうの収穫を行う園児。幼い頃からの体験の積み重ねが、地元産業への理解を深める

  • 農家で農作業の手伝いをする高校生。現場での実践や、肌で学ぶ経験が将来にも役立つ

 体験を通じて実際に見たり触れたり様々な感覚を使って身体で学んでいくことは、子供たちにとってもわかりやすく、理解しやすい長所があり、南部町の自然や文化、地域住民の方々とのつながりを知る欠かせない機会だと考えています。

 子供たちの教育を考えた場合、体系的に物事を学ぶことも必要な学習ですけれども、どうしても机上だけではわからない、理解できないという部分が出てくることがあります。様々な経験を積ませることは、子供の成長に欠かせない、とても大切な部分だと考えて進めています。

  • 実際に見たり触れたり、様々な感覚を使って学ぶ方が、わかりやすく理解しやすい場合がある

  • 「様々な経験を積ませることは、子供の成長に欠かせない、とても大切な部分です」と工藤町長

 また、こうした農業体験のほかにも、B&G財団が取り組んでいる「水に賢い子どもを育む年間型活動プログラム」(水プロ)を小学校に導入しています。地元の川を調査する環境学習として毎年、学校授業に取り入れて実施しています。実施の際には、B&G海洋センターの指導員も子供たちと一緒になって活動に参加し、地元の自然環境の理解を図っています。

 このほか、南部町は南部藩発祥の地としても知られていますが、それ以前からの歴史の積み重ねがある町ですので、小学生には史跡の発掘なども体験してもらい、歴史や文化に触れる機会にしています。

  • B&G財団の「水プロ」を小学校の授業に導入し、地元の川の環境教育を行っている

  • 郷里の歴史への関心を持ってもらうため。小学生は史跡の発掘体験も行う

※第2話に続きます

(文:進藤 博行

海洋センターは町の中央部に位置し、国道4号線、104号線、青い森鉄道が馬淵川を挟んで対岸にあります。周辺には役場名川分庁舎、病院、公民館、小中学校があります。
中央公民館前広場では、終日、ゲートボール、ペタンク等のニュースポーツを楽しむ町民の方々が多く見られます。