スペシャル 夢をつなげ!B&Gアスリート

No.001:江原 騎士選手(リオデジャネイロオリンピック競泳男子4×200mフリーリレー銅メダリスト) 努力すれば、どんな壁でも乗り越えられる!
2016.12.01 UP

江原選手が合宿などでお世話になった、南アルプス市白根B&G海洋センターで取材させていただきました

プロフィール 江原 騎士(えはら ないと)
1993年7月生まれ、山梨県甲府市出身。幼い頃からスイミングクラブや地元の海洋センターで水泳に親しみ、高校2年生のときにインターハイ100m自由形で優勝。山梨学院大学進学後、2015年夏季ユニバーシアード4×200mフリーリレー3位。2016年、大卒後に自衛隊体育学校へ入隊し、同年夏に開催されたリオデジャネイロオリンピック競泳男子4×200mフリーリレーで3位入賞を果たした。

第3話:努力することの大切さを子供たちに伝えたい

魔物の正体は何?

急きょ出場した世界水泳で、リオオリンピック4×200mフリーリレー国枠出場権の獲得に貢献した江原選手。その後、国内選考会を経て同フリーリレーの日本代表に選出され、萩野、小堀、松田選手とともにリオオリンピックに臨みました。

ところが、ここで1つの課題が生じました。オリンピックでは萩野選手に続いて2番手で泳ぐことになりましたが、これまで江原選手が県や大学の代表としてフリーリレーに出るときは、いつもエースとして一番手を泳いでいたので、あまり引き継ぎの練習をしていなかったのです。

「選考会で出した4人のタイムを合計するとメダル圏内にいることが分かったので、いかに上手く引き継ぎを行うかがポイントになりましたが、僕はあまり引き継ぎを行ったことがありませんでした。そこで、オリンピックに向けて他のメンバーとの練習が始まると、いつも僕だけ残って引き継ぎの練習をひたすら行いました」

足の裏に擦り傷ができるほど、引き継ぎの飛び込み練習を重ねて万全を期した江原選手。それでも、いざオリンピックの晴れ舞台に立つと、平常心ではいられませんでした。

「萩野選手や松田選手から、『緊張するだろうけど、いつもどおりに泳げば良い』とアドバイスされましたが、スタート台に立つといろいろなことを考えてしまいました。オリンピックには魔物がいると言われますが、その魔物は自分で作ってしまうものなんだなと、後になって思いました」

リオオリンピックの表彰台に立つ日本代表チーム。魔物に打ち勝った江原選手は、3人の仲間とともにメダル獲得の喜びを分かち合いました


さらなる飛躍をめざして!

とはいえ、憧れの舞台に立っている自分に感動も覚えたという江原選手。どの国の選手もこの日のために努力してきたのだから自分も負けないで結果を出したいという気持ちに押され、上手く引き継ぎを行った後は、精一杯、力を発揮することができました。

「3位まではアンカーがゴールするとランプが点灯します。接戦のなかで日本のアンカーを務める松田選手がゴールしてランプが光った瞬間、4人の仲間と一緒にメダリストになれたことのうれしさがこみ上げました」

メダルを手に郷里へ戻ると、大勢の人々の祝福が待っていた江原選手。中学校に上がる際にサッカーをしようか迷ったことや、大学進学の際に県外に出るべきか悩んだことなどを振り返りつつ、地元からオリンピックに出ることができて本当に良かったと思ったそうです。

「次の東京オリンピックも27歳というベストな年齢で迎えますから、しっかり準備して挑んでいきたいですし、今後は競泳を続けながら子供たちの教室にも力を入れていきたいと思っています。僕のような小柄な選手でもメダルを取ることができたのですから、一生懸命に努力することの大切さを教えてあげたいのです。誰でも何か苦手な事があると思いますが、それを引きずっていたら前に進むことはできません。苦手な事を克服するために努力することはとても大切なことです。また、そんな努力を陰で支えてくれている親御さんやコーチの方々への感謝の気持ちを忘れないでほしいということも伝えていきたいです」

オリンピックを終えて地元に戻ると、大勢の人から祝福を受けた江原選手。取材当日は南アルプス市役所を表敬訪問し、金丸一元市長に入賞の喜びを伝えていました


現在は、さまざまな競技種目のアスリートが在籍している自衛隊体育学校で競泳の練習に励んでいる江原選手。機会があるごとに子供たちに水泳を教えながら、ご自身もさらなる飛躍をめざすそうなので、ぜひ次の東京オリンピックにも期待を寄せたいと思います。
※完

次回《夢をつなげ! B&Gアスリート》No.002:小堀勇氣選手

江原選手は、中1の頃に山梨県内5カ所にある海洋センターを運営し、強豪選手を育成するフィッツスポーツクラブに入りました。南アルプス市白根B&G海洋センターは水泳の検定、甲州市塩山B&G海洋センターと山梨市牧丘B&G海洋センターは、合宿で使用していたそうです。