スペシャル 夢をつなげ!B&Gアスリート

No.001:江原 騎士選手(リオデジャネイロオリンピック競泳男子4×200mフリーリレー銅メダリスト) 努力すれば、どんな壁でも乗り越えられる!
2016.11.17 UP

江原選手が合宿などでお世話になった、南アルプス市白根B&G海洋センターで取材させていただきました

プロフィール 江原 騎士(えはら ないと)
1993年7月生まれ、山梨県甲府市出身。幼い頃からスイミングクラブや地元の海洋センターで水泳に親しみ、高校2年生のときにインターハイ100m自由形で優勝。山梨学院大学進学後、2015年夏季ユニバーシアード4×200mフリーリレー3位。2016年、大卒後に自衛隊体育学校へ入隊し、同年夏に開催されたリオデジャネイロオリンピック競泳男子4×200mフリーリレーで3位入賞を果たした。

第1話:大きな夢の第一歩

自ら打ち消した迷い

喘息を持っていた江原選手をお母さんが気遣い、体力づくりのために生後10カ月から始めた水泳。そこには、「周囲の人を守る心強い存在になってほしい」と願って騎士(ないと)と命名したお父さんの思いも込められていました。

そんなご両親の気持ちが通じたのか、江原選手はまたたくまに上達。小学校に入るとスイミングスクールの先生から「本格的に水泳をやってみないか」と声を掛けられ、選手コースで練習に励んでいきました。

幼稚園時代の江原選手(左端)
小学校に上がる際、選手コースに入ることを推薦されました


「小学生時代はサッカーも好きでした」と語る江原選手。スイミングスクールを離れれば、ごく普通の小学生といった感じでしたが、選手コースで力をつけながら全国大会などで活躍したため、中学に入ってからは多くの強豪選手を育てている地元のフィッツスポーツクラブ(以下、フィッツ)に入会しました。

「小学生の頃にいろいろな大会に出て徐々に水泳が楽しくなっていましたが、中学に入った際には部活でサッカーをやりたい気持ちもありました。そこでだいぶ迷ったのですが、小学生時代から選手コースで指導してくださっていたコーチの方から、『ぜったいに水泳を続けてほしい』と強く背中を押されたため、自分のなかで踏ん切りをつけることができました」

中学校に入る際、自ら迷いを打ち消して水泳を選んだ江原選手。選手の育成で知られるフィッツに入って、これからの可能性に懸けました。同クラブは自前の施設に加え、指定管理者として県内5ヵ所の海洋センターを運営しており、江原選手も合宿練習や検定会などで複数の海洋センターを利用しながら力をつけていきました。

南アルプス市白根B&G海洋センターを訪れると、江原選手の銅メダル獲得を祝う手作りのポスターが飾られていました

目標は決勝進出、結果は優勝!

「水泳を続けてほしい」と小学生時代のコーチが願ったとおり、江原選手は中学に入ってどんどん記録を伸ばしていきました。

「サッカーにしようか悩んだ末に決めた水泳だったので、やるからには絶対にがんばろうという気持ちが常にありました。また、フィッツでお世話になった清水、松野両コーチはとても尊敬できる指導者でしたので、選手として不安なく練習に励むことができました」

取材には清水コーチも同席してくださいました


清水コーチに話をお聞きすると、「江原は身体が小さくて線が細い子でしたが、それがかえって大きなポテンシャルでした。小中時代に身体が大きくて良い結果を出すことができても、そこから先、記録が伸び悩んでしまうケースが多いのです。身体が小さい江原には伸びしろに期待が持てたうえ、水泳そのものに関してとても研究熱心で努力家でした」と振り返ります。

「どうしたら人より小さい身体で速く泳ぐことができるか、いろいろな大会のビデオを何度も繰り返し見ながら、他の選手と自分の泳ぎを比べて研究していました」と語る江原選手。研究熱心だったことから、コーチの教えを吸収する力も高かったそうです。

「何度指導しても、その教えをなかなか理解してくれない子が多いなか、江原には1回言ったらすぐにできてしまう高い理解力が備わっていました。また、そのことはクラブを離れて日本代表チームなどに行ったときでも、新しい指導をすぐに受け入れて自分のものにしてしまう順応力につながっていました」

日々練習に励み、自分の泳ぎを求めて研究を怠らなかった江原選手。中学3年生のときの全中(全国中学校水泳競技大会)1500m自由形で8位に入って周囲の注目を集めた後、高校2年生時のインターハイ(全国高等学校総合体育大会)では、花形種目の100m自由形で見事に優勝を遂げました。

「決勝進出が目標だったので、優勝には驚きました」と振り返る清水コーチ。しかし、この勝利は、その後に続く大きな飛躍の第一歩に過ぎませんでした。
※第2話に続く

インターハイで見事に優勝を果たしたときの江原選手

江原選手は、中1の頃に山梨県内5カ所にある海洋センターを運営し、強豪選手を育成するフィッツスポーツクラブに入りました。南アルプス市白根B&G海洋センターは水泳の検定、甲州市塩山B&G海洋センターと山梨市牧丘B&G海洋センターは、合宿で使用していたそうです。