連載企画

注目の人:全国の海洋センター・クラブで活躍する方や、スポーツ選手など、B&G財団が注目する人にインタビューをしています。

No. 93

日頃の練習の成果を発揮! 特集:第68回 国民体育大会(スポーツ祭東京2013)

2013.10.30 UP

今年の国体で活躍した海洋センター・クラブのアスリートたち

スポーツの秋が到来! 今年の国体も9月から10月にかけて東京都で開催されており、全国各地の海洋センター・クラブで練習に励んでいる青少年の皆さんも、競泳やヨット、カヌーなどの大会で大いに力を発揮しています。
そこで今回の注目の人は、今年の国体に出場している選手の皆さんを大会の現場で取材し、出場までの経緯や競技に参加した感想、これからの抱負などをお聞きしました。競泳:5人(第1~2話)、ヨット:2チーム(第3~4話)、カヌー・スプリント:2人(第5話)の順にご紹介していきます。
●B&G海洋センター・海洋クラブ選手の入賞者を紹介!
●第68回 国民体育大会に出場した海洋センター・クラブの選手(OB・OG含む)リスト

画像

第5話(最終話)大きな夢をパドルに託した選手たち

画像

今年の国体は東京都大田区の京浜南運河で開催されました。写真の右手前方には羽田空港の滑走路が控えています

 羽田空港にほど近い、京浜南運河の特設会場で開催された、カヌースプリント競技。最終回の第5話は、B&G香取市小見川海洋クラブで練習を重ね、千葉県代表として活躍した3人の選手の皆さんを紹介します。

練習してきたことを信じて、ぜったいにあきらめない!
少年女子カヤックペア 千葉県代表 志村 遥さん(B&G香取市小見川海洋クラブ/高3)

努力は結果に表れる

画像

少年女子カヤックペア千葉県代表の志村 遥さん(右)。左はペアを組む、亘 和菜さんです

●いつ頃から、どのようなきかっけでカヌーを始めましたか。

 兄が海洋クラブに通ってカヌーをしていたので、自分も漕いでみたいと思って小学3年生のときから始めました。

●カヌーのどんなところが好きになっていきましたか。

 カヌーは、がんばって練習すればするほど大会に出て良い結果が得られるので、やり甲斐を感じていきました。自分の努力が結果となって表れるところが、とても好きです。

●これまでに出場したなかで、もっとも印象深い大会を教えてください。

 小学4年生のとき、B&G全国少年少女カヌー大会に初めて出場し、普及艇の部で2位に入ることができました。とても緊張しましたが、精一杯漕いで大きな結果を出すことができたので、とてもうれしかったです。
 その後、中学生とほぼ同じメニューで練習するようになり、中学に入ってからは部活でもカヌーの活動に励んでいきました。

●いつから国体に出るようになりましたか。

 最初に出たのは中学3年生のときで、それから毎年続けて今回が4回目です。初出場のときはペアと呼吸を合わせることに必死でしたが、8位入賞を手にすることができたので、とても良い思い出になりました。

楽しみな東京オリンピック

●今回の国体にはどのような気持ちで臨みたいですか。

 現在、高校3年生で、卒業したら就職することを考えています。就職してからカヌーを続けることができるかどうか定かではありませんから、今年が最後の国体だと思い、優勝をめざして力を出し切りたいと思っています。

●2020年のオリンピックが東京で開催されることになりました。そのことに刺激は受けませんでしたか。

 高校を卒業したら就職するつもりでいますから、現時点で東京オリンピックに出場する夢は描いていません。でも、開催が決まったときはとてもうれしく思い、早く始まらないかなと、いまからワクワクしています。

●最後に、全国で練習を重ねているB&G海洋クラブの子どもたちに、励ましの言葉をいただきたいと思います。

 スポーツは、あきらめないことがとても大事です。うまくいかないことあっても、自分が練習で重ねてきたことを信じ、最後まであきらめないでほしいと思います。

 ― いろいろなお話、ありがとうございました。

画像

国体会場で練習に励む志村(前)/亘ペア。通う高校は違いますが、普段から香取市小見川B&G海洋センター前の同じ海面で練習に励んでいます

画像

艇置き場に指定された会場脇の公園は、全国から集まったたくさんのカヌーで埋め尽くされました

腰を痛めた仲間の分も合わせて、がんばりたい!
少年女子カヤックペア 千葉県代表 亘 和菜さん(B&G香取市小見川海洋クラブ/高2)

水に落ちるのも楽しい経験

画像

志村さんとともに出艇する亘 和菜さん。中学時代には全国大会で2位の成績を収めました

●いつ頃から、どのようなきかっけでカヌーを始めましたか。

 ずっと兄がカヌーをしていて、大会に出るときなどは家族ぐるみで遠征して応援していました。ですからカヌーにはとても親近感があって、地元の海洋クラブや中学のカヌー部が活発に活動していたこともあり、中学に上がってからカヌー部に入って練習するようになりました。

●小学生のときは、何かスポーツをしていましたか。

 バスケットボールや陸上競技など、まったくカヌーとは違ったスポーツをしていました。ですから、中学に入っていざカヌーに乗ろうとした際は不安もあり、実際、練習を始めた頃はバランスが取れずに何度も水に落ちてしまいました。
 でも、水に落ちるのも気持ちの良いもので、夏になるにつれて、「涼しくていいや」なんて開き直って練習を楽しんでいきました。

●その練習の成果は、いつ頃から表れましたか。

 中学1、2年生の頃はあまり良い成績を収めることはできませんでしたが、大会に出る経験を重ねるごとにタイムが伸びていくので、練習に弾みがついていきました。
 こうして中学3年生になって、部の仲間の竹内明日香さんとペアを組ん出場した全中(全国中学生カヌー大会)で2位に入ることができました。

練習は辛いが得るものは大きい

画像

大会前日に行われた公式練習には、各県の代表が海面に出て、いろいろなコンディションを整えていました

●全中で2位に入ったことは、大きな自信につながったのではないでしょうか。

 どんなスポーツもそうだと思いますが、成果が出るとうれしいものです。ですから、高校に進学してからも同好会ではありますがカヌーの練習に励んでいます。私の所属する佐原高校カヌー同好会では、黒部川を活動水面としていますが、この水面は、海洋クラブや小見川中学、小見川高校カヌー部も活動していますので、同好会ではありますが、練習環境は充実しています。

●昨年のぎふ清流国体では、高校1年生で初出場していますが、そのときの感想を聞かせてください。

 すごく緊張しましたが、フォアで出場したので3人の仲間といろいろ相談しながら、とてもよいチームワークが取れました。決勝4位の成績は、ちょっと悔しかったです。

●2回続けての出場となった今年の大会では、志村さんと2人でペア種目にエントリーしました。フォアからペアへの変更で苦労した点などはありませんでしたか。

 実は、全中で2位になったときに一緒だった竹内さんが志村さんとペアを組む予定だったのですが、彼女が腰を痛めてしまったために、急遽、私が代役を務めることになりました。そのため、あまり時間がなかったこともあって、フォアからペアへの変更では練習で戸惑うこともかなりありました。でも、ここまできたら竹内さんの分も含めて思い切り力を出して、志村さんとともにがんばりたいと思います。

●2020年に東京でオリンピックが開催されることになりました。何か刺激を受けましたか。

 とりあえず、高校での活動があと1年残っているので、いまはそこに意識を集中しています。ですから、現時点でオリンピックのことは考えていません。先は長いですから、あまり遠くのことは見ていません。

●最後に、全国で練習を続けているB&G海洋クラブの子どもたちに、励ましの言葉をいただきたいと思います。

 正直な話、練習はとても辛いと思います。でも、がんばった分だけ大会に出て結果につながります。そのことを意識して日ごろの努力を重ねてほしいと思います。

 ― いろいろなお話、ありがとうございました。

結果が出ると、もっと前に進みたくなる!
少年男子カナディアンシングル 千葉県代表 八角(ほすみ)周平 君(B&G香取市小見川海洋クラブ/中3)

ネット動画で研究

画像

少年男子カナディアンシングル千葉県代表の八角(ほすみ)周平 君。中学に入ってから大会に出るようになり、3年生になった今年には国体選手に選ばれました

●いつ頃から、どのようなきかっけでカヌーを始めましたか。

 小学5年生までバスケットボールをしていたのですが、遠征のたびに親に負担を掛けていたので、6年生になってからは大きな大会の回数が少ないカヌーに転向しました。カヌーは地元で盛んな競技で海洋クラブもあるし、中学に行ってからもカヌー部があって続けられる環境が整っていました。

●最初にカヌーを漕いだときの印象を教えてください。

 海洋クラブの活動を見学に行って、そこで初めてカヌーに乗りましたが、水の上に浮かんでいる感覚がとても新鮮でした。また、クラブに同級生が5~6人いたので、一緒に活動を楽しむことができました。

●いつ頃から大会に出るようになりましたか。

 小学生のときはカヌーに乗って遊ぶレクリエーション的な活動が中心でしたが、中学に進んでカヌー部に入ってからは速く走るための練習に取り組んでいきました。そして、中学1年生のときに初めて出場した県大会で優勝することができました。
 このときはとても驚きましたが、結果が出ると、それより前に進みたくなるもので、ユーチューブなどのネット動画を使って国内外の有名な選手のフォームを研究するようになっていきました。

●有名な選手のどんなところを見て参考にするのですか。

 選手によって参考にさせてもらうところが違いますが、速い選手に共通しているのは体の使い方がとても上手だということです。それを真似しながら自分なりの漕ぎ方を追い求めます。

平常心を心がけよう

●中学に上がってから競技の世界に入り、3年生になった今年は初めて国体に選ばれました。感想を聞かせてください。

 昨年、国体出場枠を競う関東ブロック予選会に出た際、自分では意識しなかったのですが、コーチから「来年の国体には必ず出ろ」と励まされました。その言葉をいただいたことで自分には可能性があるんだと思って練習を重ねたら、本当に今年の予選会で2位に入って国体出場を決めることができました。ですから、いま国体会場にいることがとてもうれしいです。

●その初出場の国体には、どのような気持ちで競技に臨みたいですか。

 レースが始まったら自分を見失わないように、平常心を心がけてパドルを握りたいです。国体ともなると、覇気のある選手が周囲にたくさんいるので、その中に入って気持ちの面で飲み込まれないようにしたいです。

●2020年のオリンピックが東京で開催されることになりました。何か刺激を受けましたか。

 東京オリンピックが決まったときは、飛び跳ねて喜びました。やはり、オリンピックの自国開催は感動も違います。中学を出た後、カヌーを続けていくかどうか考え始める時期に来ていましたから、この喜びが今後もカヌーを続けていく決心につながりました。2020年に、自分は大学4年生の年齢になっています。そのとき、日本代表として世界の舞台に挑むことができたらいいなと思います。

●最後に、全国で練習を続けているB&G海洋クラブの子どもたちに、励ましの言葉をいただきたいと思います。

 とにかく、自分が一番になるんだという強い思いを持って練習に励んでほしいと思います。そして、学校の仲間などにもカヌーに乗る楽しさをどんどん伝えてほしいです。

 ― いろいろなお話、ありがとうございました。

画像

大会前日の公式練習で海面の感触をチェックする八角周平君。カヌーに乗り始めた頃、仲間と一緒にカナディアンを試し乗りした際、八角君だけが沈しなかったことから、この種目をめざすようになりました

画像

カヌーを肩に大勢の選手が行き交う国体会場。八角君は、この場所にいられるだけでうれしいと語っていました

東京国体カヌー競技にも、B&G出身の選手が多く出場していました

画像

ロンドンオリンピックに出場した大村朱澄選手(注目の人NO.74で紹介)も、静岡県代表として出場していました