連載企画

注目の人:全国の海洋センター・クラブで活躍する方や、スポーツ選手など、B&G財団が注目する人にインタビューをしています。

No. 93

日頃の練習の成果を発揮! 特集:第68回 国民体育大会(スポーツ祭東京2013)

2013.10.02 UP

今年の国体で活躍した海洋センター・クラブのアスリートたち

スポーツの秋が到来! 今年の国体も9月から10月にかけて東京都で開催されており、全国各地の海洋センター・クラブで練習に励んでいる青少年の皆さんも、競泳やヨット、カヌーなどの大会で大いに力を発揮しています。
そこで今回の注目の人は、今年の国体に出場している選手の皆さんを大会の現場で取材し、出場までの経緯や競技に参加した感想、これからの抱負などをお聞きしました。競泳:5人(第1~2話)、ヨット:2チーム(第3~4話)、カヌー・スプリント:2人(第5話)の順にご紹介していきます。
●B&G海洋センター・海洋クラブ選手の入賞者を紹介!
●第68回 国民体育大会に出場した海洋センター・クラブの選手(OB・OG含む)リスト

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第1話聖地・辰巳に挑んだB&Gのスイマーたち(競泳その1)

 今年の国体競泳種目は、日本水泳界の聖地と呼ばれる東京辰巳国際水泳場が舞台になりました。B&G全国ジュニア水泳競技大会でも馴染み深いこの場所で、各県の代表として戦った海洋センター・クラブ(在籍・出身)の皆さんを2話にわたって紹介します。

練習の送迎をしてくれる、お母さんのためにもがんばりたい!
少年女子B 100m自由形 島根県代表 阿瀬川 京香さん(B&G三隅海洋クラブ/中3)

 「2013 B&G 全国ジュニア水泳競技大会」女子100m自由形(中学生の部)で優勝した阿瀬川 京香さん。島根県中学校選手権大会でも同種目で大会新記録を出して優勝を飾り、国体標準タイムも超えたため、見事に国体への出場を決めました。

練習が嫌いになったこともありました

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東京都の開催ということもあり、今年の国体はB&G全国ジュニア水泳競技大会で馴染みの深い、日本水泳界の聖地、辰巳国際水泳場が会場になりました

●阿瀬川さんは、どのようなきっかけで、いつ頃から水泳を始めたのですか。

 3歳からスイミングスクールに通い始めましたが、幼かったこともあって当時の様子はあまりよく覚えていません。ただ、ときどき泳ぐことがいやで泣いていたようです(笑)。

 (父で水泳指導者の阿瀬川 文輝さん)―京香が水泳を始めたのは、病院で「小児喘息を治すのに効果がある」と聞いたからでした。まだ小さかったこともあって、最初の3カ月ぐらいは家内が付き添っていないとプールで泣き出すこともありました。

●そんな阿瀬川さんが水泳を好きになっていた理由を教えてください。

 プールに通いながら、ごく自然に好きになっていきました。タイムが落ちると、がっかりして練習が嫌いになってしまうこともありましたが、すぐにまた好きになりました。そんな繰り返しを重ねながら今に至っています。

●小学生になってからは大会に出るようになったと思いますが、どのような大会が印象深いですか。

 小学生になっていろいろな大会に出るようになりましたが、あまり上位に入っていなかったので記憶に残る大会は特にありません。でも、中学1年生のときに初めてB&Gの全国大会に出場し、50mバタフライで2位に入った際は、ちょっと自分でも驚きました。
 その際、地元に帰って市長室を表敬訪問して入賞したことをお伝えすると、市長さんから「次は優勝の報告を待っています」と励まされました。

●今年は100m自由形で優勝しました。報告に行きましたか。

 昨年、種目を100自由形に変えて出場して3位になり、今年は勝つことができました。今回の表敬訪問では、市長さんから「よく、がんばったね。高校生になってからも努力してください」と声を掛けられました。

●それは大きな励みになったことと思います。自由形に種目を変えたのは、なぜですか。

 バタフライで調子が悪くなったとき、不規則な身体の動きを直すためにクロールを泳いでみたら良いタイムが出たので、そのまま自由形の大会に出るようになりました。それから、すっかりクロールに馴染んでしまいました。

目標があれば、がんばれる!

●練習が嫌いになっても、またすぐに好きになるそうですが、どのようにして気持ちを切り替えるのですか。

 お母さんがいつもプールに送り迎えしてくれています。それを思うとがんばる気持ちが湧いて練習に励むようになり、そこからまた水泳が好きになっていきます。

●その結果が、B&G全国ジュニア水泳大会や島根県中学校選手権大会の優勝につながりました。国体出場が決まったときは、どんな気持ちでしたか。

 国体に出たい気持ちはありましたが、まさか県大会で参加標準タイムを切れるとは思っていませんでした。だから、うれしいとともにびっくりしました。

●好タイムが出た理由はどこにあったと思いますか。

 大きな大会になればなるほど、その雰囲気に押されて夢中になって泳ぎます。それが良い結果につながったのではないかと思います。

●国体でも、ぜひ夢中になってさらに良いタイムを出してもらいたいと思います。最後に、国体選手として、各地の海洋センターで練習している後輩たちに励ましの言葉を送ってほしいと思います。

 いくら大会の雰囲気に押されて泳いでも、練習の積み重ねがなければ好いタイムは出ませんし、逆に、誰でも練習に励めば必ず成果は得られます。また、目標があればがんばれますから、練習が辛いときは、次の大会に思いを寄せると良いと思います。
 私も、これからは自由形だけでなく、いろいろな種目に挑戦していくことを目標にしながら、日々の練習に励んでいきたいと思います。

 ― たくさんのお話、ありがとうございました。

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島根県代表の国体選手に選ばれた阿瀬川京香さんと、水泳指導者で浜田市三隅B&G海洋センターに勤めるお父さんの文輝さん(アドバンスト・インストラクター)

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国体での阿瀬川さんの力泳

国体の雰囲気に、気持ちが高まります。
男子400mメドレーリレー・背泳ぎ 石川県代表 池端久泰君(志賀町富来B&G海洋センター/高1)

 小学5年生のときから中学を卒業するまでの5年間に、4回もB&G全国ジュニア水泳競技大会に出場した池端久泰君。高校に進学した今年は、国体で石川県のメドレーリレー・チーム 背泳ぎ選手に抜擢されました。

小学生時代、一番の思い出

●どのようなきっかけで、いつ頃から水泳を始めたのですか。

 5歳の頃、同じ保育園に通っていた仲良しの子が海洋センターの水泳教室に通っていたため、私の母が同じ教室に入れてくれました。以来、今日に至るまで、おもに祖父がクルマで送り迎えしてくれながら海洋センターで練習しています。

●水泳を好きになった理由は何ですか。

 ようやく100m泳げるようになった小学4年生のとき、初めて大会に出て優勝することができました。能登地区の小さな大会でしたが、私にとってはそれが大きな励みになって水泳が好きになりました。
 その後、5年生になると身長が一気に伸びてタイムも上がり、練習が楽しくなって大会に出場する機会もどんどん増えていきました。

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昨年のB&G全国ジュニア水泳競技大会50m背泳ぎに出場し、大会新記録を塗り替えて優勝したときの池端君。思わずガッツポーツが飛び出しました

●B&G全国ジュニア水泳競技会にも5年生になって初めて出ていますが、そのときの様子は覚えていますか。

 50m背泳ぎで5位の成績だったので、とても悔しかったことを覚えています。同じ学年でも速い子がたくさんいるので、日本は広いなと思いました。でも、翌年には同種目で大会新記録を出して優勝し、最優秀選手賞もいただいたので、小学生時代の一番の思い出になりました。
 また、B&Gの大会には全国から選手が集まるので、競技を通じて他県の友だちがたくさんできるようになりました。

大切な日々の積み重ね

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B&G全国ジュニア水泳競技大会に小中学校時代を通じて4回出場した池端久泰君。高校に進学した今年は国体の石川県代表に選ばれました

●中学に入ってからは、どのような活動になっていたのですか。

 中学生になってからの練習はとてもハードで、迷ったり悩んだりする時間さえもないほどでした。何をどうしようなんて考えず、ひたすら海洋センターに通って練習に励みました。ただ、学校に水泳部がなくて美術部に入ったので、絵を描くことが良い気分転換になりました。

●その練習の甲斐あって、今回、国体の選手に選ばれました。感想を聞かせてください。

 国体は目標にしていたので、とてもうれしいです。リレーの選手に選んでいただいたコーチの方々に感謝しています。また、実際に会場に入ると有名な選手がたくさんいるので気持ちが高まりました。国体の雰囲気は特別です。

●2020年のオリンピックが東京に決まったときは、うれしかったですか。

 決定したことをテレビで知って興奮し、自分も出たいなと思いました。ただ、そのためには日々の練習の積み重ねが大切で、一歩ずつ進んでインターハイや国体で良い成績を出せるよう、がんばりたいと思います。

●最後に、国体選手として、各地の海洋センターで練習している後輩たちに励ましの言葉を送ってほしいと思います。

 水泳の一番楽しいところは、練習すればするほどタイムが伸びていくところだと思います。結果が数字ではっきりと示されるので、日頃の練習で良いタイムが出たら、それを信じて大会に出てどんどん腕を試していってほしいと思います。

 ― いろいろなお話、ありがとうございました。 (※競泳その2に続きます)