水辺を学ぶ ヨット講座

小松一憲のヨット講座 オリンピック出場4回、2004年アテネオリンピック日本選手団監督

Lesson10 セーリングの実践

ブイとブイの間を自在に走る、実践練習に挑戦してみましょう。

(1)ブイ回りの実践練習

 水面の風上、風下、それぞれにブイを打ち、これらを周回する練習を繰り返すことで、クローズホールド、ランニングといったさまざまな帆走パターンが習得できるほか、ブイを回ることでタッキングやジャイビングのイメージが身につきます。 風上、風下という相反する目的地(ブイ)を自在に行き来できるようになれば、ヨットに乗ってどこでも行くことができるようになるわけです。

 ブイ回りの練習でもっとも大切なポイントになるのは、ブイを回るためのコース取りです(ブイへのアプローチ)。 最初のうちは、ブイを回るつもりでタッキングやジャイビングを始めても、ブイの手前を回ってしまったり、ブイを行き過ぎてから回ってしまったりと、なかな かイメージどおりにブイを回ることができません。どうしたら最短距離でブイを回ることができるか、実際に水面で試行錯誤してください。

練習

ブイ回り

動画 風上ブイの回航(820KB)


動画 風下ブイの回航(738MB)

(2)沈おこし

沈

帆走中やタッキング、ジャイビングの最中に艇のバランスを崩すと、横転(沈:チン)したり転覆(完沈:カンチン)したりしてしまいます。ミニホッパーのようなディンギーには十分な浮力が備えられているので、転覆しても沈むことはありません。ですから、けっして焦らず、冷静な気持ちで沈おこしの作業に移ってください。

沈おこしで、もっとも注意していただきたいのは、艇から離れないように心がけることです。沈おこしが上手くできず、どうしても艇が起きない場合でも、横転や転覆した艇につかまっていれば、やがてレスキュー艇などに助けてもらえますが、艇から離れて泳いで岸に向かおうとしたら、風に流されて遭難する危険が生まれます。

(3)沈おこしの手順

1:艇が転覆してしまいました。メインシートがラダーやセンターボードに絡んでいないか確認したら、風を背に受けた状態に艇を回し、船底に乗ってセンターボードをつかみます。
2:体重をかけながらセンターボードを手前に引くと、艇が起き上がってきます。
3:艇が起き上がったらコクピットの中に入り、メインシートと舵を調整しながらセールに風をはらませます。
4:セールが風をはらむと艇が走り始めます。体のバランスを崩したり、セールが風をはらみ過ぎて急に艇がヒールしたりすると、ふたたび沈してしまいますから、舵とメインシートを調整しながらヒールし過ぎないよう注意してください。

動画 沈おこし(1.68MB)

(4)着岸

着岸

 バウを風上に向けながらメインシートを緩めていくと、セールが風をはらまなくなって艇は減速し、惰力でしばらく走った後に船足が止まります(ラフィングといいます)。この動作を行いながら着岸してみましょう。

 スロープや浜辺に着岸するときは、水深が浅くなったところでセンターボートとラダーを引き上げてから、惰力で岸に向かうことになります。

動画 桟橋への着岸(838KB)