水辺を学ぶ ヨット講座
小松一憲のヨット講座 オリンピック出場4回、2004年アテネオリンピック日本選手団監督
Lesson1 セーリングの世界
ディンギーから帆船まで、さまざまなセーリングの魅力を紹介します。
ひとくちにヨットといっても、オリンピックや国体などの競技に使われるレーシングディンギーから、クルージングを楽しむセーリングクルーザーまで、実にさまざまな種類があり、帆走という意味では帆船やウインドサーフィンなども含まれます。
セール(帆)を使って走る船の仲間を知るということは、セーリング(帆走)そのものへの理解を深めることにつながります。
いまでも活躍する帆船たち
動力船が主役の今日でも、帆船は船乗りの航海訓練に欠かせない存在です。風を読みながら巧みに帆船を走らせるためには、海洋気象の知識やチームワークの大切さが求められるからです。
ヨーロッパでは、いまでも帆船によるレースが行われており、日本からも航海訓練帆船「海王丸」や「日本丸」などが参加して、訓練生たちが腕を競っています。
動力船が主役の現代でも帆船は活躍しています
商船大学や商船高専の学生たちは、航海訓練のほか、帆船レースや帆船パレードの参加を通じてセーリングのノウハウを身につけていきます。
ディンギーの種類
帆船にも応用されているセーリング(帆走)の基本は、おもにディンギー(デッキが開けていてキャビンのない小型ヨット)で習得します。ディンギーは、リグ(帆装)の違いによっていくつかの種類に分かれますが、キャットリグとスループのリグがよく使われています。
キャットリグ
1本のマストに1枚のセールを展開するシンプルな構造が特徴です。複雑な艤装ではないため、1人乗り用のシングルハンドディンギーに多く見られます。B&G財団の指導者養成プログラムにも採用されています。
日本でもっとも普及しているキャットリグのシングルハンドディンギー、シーホッパー
子ども向けに開発された小型のOPディンギー(オプティミスト・ディンギー)も、入門ヨットとしてよく利用されています
スループ
スキッパー(艇長)とクルーの2人が乗り、1本のマストにメインセール(主となる大きなセール/メンスルとも言う)とジブセールの2枚のセールを展開して走ります。スキッパーは舵とメインセールを担当し、クルーがジブセールを受け持ちます。
メインセールとジブセールという、2枚のセールを展開して走るスループ・ディンギー
さまざまなセーリングの楽しみ方
ディンギーはヨットの入門用として使われるほか、オリンピックなどの競技にも採用されており、モーターボート並のスピードを出す艇種もあります。また、長期間の航海ができるようにキャビンを備えたセーリングクルーザーも数多く建造されており、風を頼りに世界中を旅して歩く人がいるほか、大海原で展開される 外洋ヨットレースも盛んに行われています。
このほか、セーリングという意味ではウインドサーフィンもヨットの仲間であると言えるでしょう。走る原理はヨットや帆船とまったく同じで、オリンピックの競技種目にもなっています。