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No.002:山口県周防大島町 椎木 巧 町長 誰もが主役で幸せに暮らせる町づくりをめざして
2017.02.24 UP

瀬戸内の「ハワイ」として、その観光資源をもとに積極的な島おこしを行う山口県周防大島町。B&G全国サミットへの出席で上京の折に、椎木巧町長にまちづくりについてお伺いしました。

プロフィール 椎木 巧(しいき たくみ)町長
1948年(昭和23年)生まれ。山口県周防大島町出身。1966年に旧大島郡橘町へ入庁。旧橘町総務課長を経て、2002年に大島郡合併協議会事務局次長となり、大島郡4町の合併に携わる。2004年に周防大島町が誕生した後、総務部長、副町長を歴任。2008年に周防大島町長に就任し現在に至る(現在3期目)。B&G全国サミット 副会長。



第1話:観光交流人口100万人にむけて

改めて見つめなおしたストロングポイント

- 周防大島町では "観光交流人口100万人構想"を進めているそうですが、導入の経緯を教えてください -

 平成の大合併で他の市町村よりいち早く、2004年に大島郡の4町が合併して新たに周防大島町としてスタートしました。旧4町の財政内容には格差があったので、財政的に均一化した町にしなきゃいけない、という点が町の大きな課題でした。

 その地域格差を均そうとすると、全体が引き下げられて、これまでより低い水準になってしまうし、だからといって低かった所は引き上げなければいけない。そこで、平均的にするためには全体をかさ上げしなければ、と考えました。

 町を元気にしてかさ上げするには何がいいか? そのことを考えた際に思い浮かんだのが、40年前に本土と島を結ぶ橋がかかり20年前に通行料が無料化されて以来、観光客の数や地域間交流が増加していたことでした。私が初めて町長の選挙に出た8年前時には、人口減少に歯止めがきかないという現実もありましたが、人口2万人の町で年間87万人くらいの観光交流人口を数えていたのです。

 しかし、その中身を精査すると、日帰り客が多く宿泊客が少ないという状況だったので、選挙の際には「観光交流人口を100万人にしよう」と有権者に訴えました。100万人はどういう根拠か、という質問もありましたが、町の人口が2万人だから2万人×50倍、目標はあくまで100万人であると掲げました。

 町長に就任して最初の4年間、いろいろ試みたものの100万人には届かない状況が続きましたが、一昨年になって98万人を数え、昨年の概数を把握したところ、初めて100万人という数字が達成できそうな見通しが出てきました。私が町長になって8年目に、ようやく到達の目途がつきそうです。

  • 瀬戸内海に囲まれた温暖な気候と、白い砂浜、青く透きった海に恵まれ「瀬戸内のハワイ」と呼ばれる周防大島町

  • B&G全国サミットの出展で自らPRする椎木町長。周防大島町は山口県のみかんの80%を作る「みかんの島」としても知られている

本場のハワイと「瀬戸内のハワイ」との関係

 ハワイのカウアイ島と周防大島は、姉妹島提携を結んでいます。3年前に50周年記念式典を行ったので、それはもう歴史ある長い交流になります。なぜハワイのカウアイ島かといえば、明治時代に周防大島から移民としてハワイに4千名の住民が渡った歴史があります。今もカウアイ島には、ルーツを同じくする日系人も多く、双方の交流は続いています。

 そうしたことから、町ではフラダンスの活動がとても盛んです。毎年7月20日から8月末までの毎週土曜日には、サタデーフラダンス、通称「サタフラ」と呼ぶ大会を、ホテルや道の駅、スポーツ合宿施設など島内数カ所の会場で開催しています。

  • 7~8月の毎週土曜日には町内で「サタデーフラダンス」が開催され、県外の愛好者もチームで参加し踊りを披露する

  • 毎年、ハワイ州カウアイ島との姉妹縁組締結日である6月22日から、アロハシャツを正装とするアロハビズを実施している

 全国にフラダンス教室はたくさんあって、習っている方も多いのですが、なかなか発表する場がないという点が愛好者の悩みのようです。発表しようとすると、会場を借り、MCや音響をつけてと何かと費用がかかり、自分たちでお金を出さなければいけないという事情があります。

 ところが、周防大島のサタフラに来たら、無料で1日3回も踊れるんですね。発表の場があり、ホテルの宿泊客の方が踊りを見て楽しんでくれます。昨年は120組3千人のフラガールが来るなどして、町の観光交流人口100万人構想を支えてくれています。

※第2話に続きます

(文:進藤 博行

体育館、プール、艇庫の各施設で、年間約2万5千名に利用されています。
海洋性スポーツや自然体験活動などを通して、青少年の「こころ」と「からだ」の育成と、地域住民の健康維持、コミュニティづくりなどに活用されています。