活動記録 B&G全国教育長会議

活動記録 「第13回B&G全国教育長会議」開催
  (日本財団助成事業)

インクルーシブな地域社会を目指して~障害者差別解消法の推進~

 11月8日(火)・9日(水)、東京都港区の日本財団ビルにおいて「第13回B&G全国教育長会議」を開催しました。この会議は、B&G海洋センターが所在する市町村の教育長が集まり、毎年異なるテーマで実施をしています。

 今回は4月に障害者差別解消法が施行されたことを受け「インクルーシブな地域社会を目指して~障害者差別解消法の推進~」をテーマに開催。44道府県から市町村教育長58名を含む、78名の教育関係者が参加し、教育現場における現状の課題等について共通認識を図り意見交換を行いました。

 会議では、前会長の教育長勇退を受けて会長の選任が行われ、新会長には山口県岩国市・佐倉弘之甫教育長が全会一致で選任されました。

山口県岩国市教育長 佐倉弘之甫 氏が新会長に就任

山口県岩国市教育長 佐倉弘之甫 氏が新会長に就任

子供の頃から適切で丁寧な教育を

 続いて、「障害者差別解消法」の基本方針の策定時に教育分野で中心的な役割を果たした、柘植雅義・筑波大学教授が「インクルーシブな教育と社会を目指して〜障害者差別解消法の推進〜」と題し講演しました。

 柘植教授は「インクルーシブ、インクルージョンという言い方が急速に日本中に広がってきているが、未だ障害者に差別的な対応や、偏見的な発言をする現状がある。小さい子供の頃から、障害について「適切」で「丁寧」な教育をしていかなくてはならない。
 人口が減ってきている日本には、ダイバシティー(多様性)の時代が到来している。互いの人格や個性を尊重し合い認め合う「共生社会」に向けた教育が求められている」と説きました。

 続いて、日本財団パラリンピックサポートセンターによる、パラスポーツ普及の取り組みについて紹介が行われた後、熊本地震について、熊本県内の海洋センター所在地市町村を代表し、熊本県菊池市の原田和幸教育長から「全国の皆様のご支援、励ましの声に勇気づけられました。チーム熊本としてしっかりと前を向いて一歩一歩前進していきたい」との報告がありました。

  • 「障害への理解啓発は確実に進んでいる一方、未だに差別的な対応や偏見的な発言などもある」と筑波大学 柘植教授

  • 熊本県菊池市・原田和幸教育長から熊本地震について報告

自治体の取り組み事例を発表

 2日目には3名の教育長が、現状のインクルーシブ事業への取り組み事例を発表しました。高知県津野町の川上一郎教育長は、夏休みなど長期休暇期間中を利用し、障害を持つ児童にさまざまな体験をしてもらう活動を紹介。「海洋センタープールでの遊び、木工、調理、陶芸、遠足などの多様な活動を行っている。準備段階から地域住民や学生ボランティアが協力し、個性や障害特性の理解を図るため綿密な事前打ち合わせがあり、活動時にはひとりに一人、パートナーとして付き添って活動している」と発表しました。

事例発表を行う高知県津野町 川上一郎 教育長

 また、千葉県香取市の山本有香教育長は「香取市における障がい者のスポーツ活動に係る取組み」を、京都府京丹波町の松本和久教育長からは、障害者のカヌー大会である「パラマウント・チャレンジカヌー」京都会場として、海洋センター艇庫を活用している経緯と今後の展望を発表しました。

 事例発表の後、文部科学省から「特別支援教育行政の現状と課題」と題して同省の取り組みが説明され、最後にB&G全国教育長会議提言を全会一致で採択し、全日程を終えました。

第13回「B&G全国教育長会議」提言

一.誰もが参加できる海洋センター活動の推進
障害のある人もない人もお互いを理解し支え合う、インクルーシブな社会を目指し、誰もが参加できる海洋センター活動を積極的に推進しよう。

※提言は2017年1月24日に開催される「B&G全国サミット」で報告される予定です。

●教育長の感想●

  ・基調講演の内容が大変濃く、参考になりました。
 ・障害者差別解消法について知っているつもりであったが、歴史的な面や込められた思いについて、再発見・再認識することができた。
 ・これからも海洋スポーツを軸としたスポーツの振興、青少年の健全育成、障害者の個に応じ様々な支援をしてほしい。

会議終了後、同ビル内の日本財団パラリンピックサポートセンターの
視察が行われました