活動記録 湖畔でのデイキャンプに参加 子ども第三の居場所拠点を訪問

湖畔でのデイキャンプに参加 子ども第三の居場所拠点を訪問

日本財団助成事業

一緒にBBQや外遊びを楽しみ、雄大な山々をバックに紙芝居を朗読

子ども健全育成大使

11月12日、晩秋の長野県大町市。例年、初冬を迎える時期ではあるが、今年はあたたかい日が続いており、四季としての秋を長く体感した気がする。ただ、この日はあいにくの曇りのち雨模様。気温も一気に下がり寒々とした日中となったが、楽しげな子どもたちの声が美しい湖のほとりで響き渡っていた。

この日、子ども第三の居場所事業の一環として運営を行っている「b&gおおまち拠点(以下、本拠点)」主催のデイキャンプが、木崎湖キャンプ場にて開催された。今回は特別ゲストとして、子ども健全育成大使を務める酒井法子氏が駆け付けた。スタッフも含めた約30名の参加者は、この日を心待ちにしていた。

実は子どもたちと酒井氏、この日が初めての交流ではない。今年7月に開催した「海洋体験ツアー in沖縄」へ参加していた子どもたちであり、同じく大使活動の一環として参加した酒井氏と、一緒にカヌーに乗ったり食事をしたり、沖縄で同じ時間を過ごしている。あれから約4ヵ月。久々の再会を果たすべく、忙しいスケジュールの合間をぬって、酒井氏自らが拠点を訪問し、子どもたちと久しぶりの面会をする運びとなった。

大自然の中でBBQ 大町市長も歓迎のあいさつ

日頃から約20名の子どもたちが本拠点に通っている。学習や生活習慣の一部をサポートするとともに、必要に応じて食事の提供なども行っている。本拠点の特徴として、体験活動の充実に力をいれており、カヌー体験や野菜作り体験などの自然体験にとどまらず、四季折々の季節行事も随時開催。豊富な体験活動を提供し、将来の自立に向けて、生き抜く力の醸成を図っている。

デイキャンプの開催にあたり、活動冒頭には大町市長である牛越徹氏も駆け付けた。市長は「北アルプスの麓、水が生まれる信濃大町にようこそお越しいただいた」と酒井氏らに向けて歓迎の言葉をかけた。また同あいさつの中で、「子どもの頃の体験は大きな力になる。一つ一つの体験を大切にしながら、この自然豊かな大町市で健やかに、そして元気に育ってほしい。」と子どもたちへエールを送った。

今回の活動は、外遊びやBBQにはじまり、酒井氏による紙芝居の朗読、落ち葉を使ったリース工作のプログラムを企画。昼食のBBQは、参加者全員で準備を行った。火起こし体験では、着火に四苦八苦する子どものたちの姿があり、一方では、拠点スタッフらにならって真剣に盛り付けと下準備に励む姿があった。酒井氏も下準備はもちろんのこと、モクモクと煙が立ち込める中、終始子どもたちと一緒にお肉や野菜を焼いた。そして、焼けたお肉を頬張る子どもたちを優しいまなざしで見守っていた。

紙芝居「かっぱのふうちゃん」を迫力満点に朗読 酒井氏の優しい気遣いを感じた一瞬

昼食後は、紙芝居「かっぱのふうちゃん」を酒井氏が朗読。夢中で話に聞き入る子どもたちと、時々クエスチョンを投げかけながら朗読を続ける酒井氏とのやりとりが印象的だった。

紙芝居「かっぱのふうちゃん」は、ライフジャケットの着用の重要性を、子どもたちが覚えやすい合言葉を用いて展開される。水辺で遊ぶ子どもたちの命を守ることをモットーに製作された作品である。拠点の子どもたちは夏場になると、木崎湖の水面でマリンスポーツも体験する。水辺の活動があるからこそ、再度ライフジャケットの大切さを学んだ。

今回のプログラムは、紙芝居の朗読後に「ゴムボート体験」も予定していた。しかし、急な天候の変化により、残念ながら中止となった。元気いっぱいの子どもたちでも、雨もちらつき気温も下がる中では、寒さがこたえるようだった。

そんな折、寒がる女の子を見かけた酒井氏は、自ら持参していた使い捨てカイロを提供。「お腹をあたためると良いよ」と声をかけながら、自ら使い捨てカイロを優しく貼る姿があった。子どもたちの個性や性格も多様。自己表現が苦手な子もいる中で、どの子の行動にも目を配り、子どもたちの体調を気に掛ける姿があった。

桟橋から生き物観察をする子どもたち

桟橋から生き物観察をする子どもたち

拠点を支えるスタッフの姿 安心して過ごせる居場所を作るために

今回の活動に参加した子どもたちは、時折ケンカする姿もあったが、上級生が下級生の面倒を見たり、困っている友達の手伝いをしたり、子どもらしさが垣間見える一方で、穏やかで落ち着いた子が多い印象を受けた。その子どもたちの姿は、日頃から見守るスタッフたちのサポートが支えとなっているのではと思う。

今回の活動も、事前の企画や当日の進行まで、拠点のスタッフたちが全面的に準備を行っている。子どもたちが安心して活動に参加し様々な経験ができるのは、この拠点スタッフの情熱と支えがあってこそだと思う。

本拠点のスタッフは、他拠点に比べて割と若い世代のスタッフが多かった。取材した際に感じた印象だが、年配のスタッフのように、歳を重ねた包容力がある接し方というよりは、割と歳が近いスタッフだからこその、時流を捉えたスマートでフラットな接し方をしているように感じた。

その一つの特徴として、本拠点スタッフは子どもたちを「さん付け」で呼ぶ。呼び捨てで呼ぶことが悪いという訳ではなく、あくまでも子どもたちを一人の立派な「人間」として接している表れのように思った。

「家族」や「学校の先生」以外の大人と接することの大切さ

活動の最後には、拠点での「落ち葉を使ったリース工作」を行っている。それぞれが思い思いの作品を仕上げる中で、子どもたちの豊かな感性が発揮されていた。

バランスを考えながら細かく飾り付ける子もいれば、リースを立体的に捉え大胆に飾りを配置する子もいる。だれ一人として似たような作品がなく、無限の可能性を秘めた子どもたちの才能に、ただただ脱帽した。

そして、その個性をやさしく導きサポートする拠点スタッフたち。工作の手助けは最小限に、子どもから受ける質問に対しては、真摯に助言している様子がうかがえた。

子ども第三の居場所事業は、その子の特性や個性に合わせた支援・サポートが、人としての成長を促す要となる。そして、子どもの成長は即座に目に見えるものでもなく、日頃からの見守りと指導の継続によって積み重ねられるものであると考える。

裏方として作業にあたるスタッフの姿、そして、無邪気で素直な子どもたちの姿の両方を見て、この拠点のすばらしさを身に染みて感じた。

酒井氏とのふれあい 2度目の再会だからこそ得られた体験

今回も楽しい時間はあっという間。全プログラムが終わった後は、酒井氏とのお別れに寂しさを隠せない子どもたちだった。

お別れの際には双方準備したプレゼントを贈呈。子どもたちから酒井氏へのプレゼントは、手作りの品々がたくさん入っていた。特に、沖縄で酒井氏とカヌーに乗った女の子は、酒井氏との再会に際し、ずっと前からプレゼントを用意していた。ビーズを使った工作、酒井氏との夏の思い出を描いた絵など、想いがこもったその贈り物は袋いっぱいになっていた。嬉しそうに受け取る酒井氏。そして、自ら手渡した女の子は、自信に満ち溢れた表情をしていた。

活動の冒頭、久しぶりの再会ということもあり緊張した表情を見せていた子どもたち。しかし最後は、施設を去る酒井氏を見つめながら名残惜しそうに手を振り続ける女の子や、「一緒に写真を撮ってもらった」と照れながらも嬉しそうに答える男の子の姿あった。

たくさんの大人たちに支えられて、健やかに成長する子どもたち。今回、酒井氏と再会し共に過ごした時間は、子どもたちにとって貴重な体験の一つとなった。子どもたちの豊かな感情を育む上で「どんな体験活動を経験できたか」も大切であるが、「幅広い年齢や立場の人々とも交流できたか」も重要なポイントなのではないだろうか。普段接する機会がない酒井氏との交流は、子どもたちにどんな感性や想いを育んだだろうか。たった一日の活動ではあったが、子どもたちにとって、思い出深い一日になったことを祈るばかりである。

  • 拠点スタッフが複数人でサポートを行っている。和気あいあいとした雰囲気が伝わってきた

    拠点スタッフが複数人でサポートを行っている。和気あいあいとした雰囲気が伝わってきた

  • 子どもたちと一緒にリース工作を楽しんだ酒井氏。かわいいイラストも一緒に沿えてくれた

    子どもたちと一緒にリース工作を楽しんだ酒井氏。かわいいイラストも一緒に沿えてくれた

フォトギャラリー

終始、子どもたちと一緒に楽しいひと時を過ごした酒井氏。徐々に緊張が解け、無邪気な笑顔を見せた子どもたち。短い時間ではあったものの、かけがえない時間となった活動の様子である。

活動記録