2023.09.15 UP 防災拠点事業 災害現場を想定した防災研修 平時より取り組む有事に備える訓練

水害発生時に活躍する人材を育成する救助艇研修を開催!

日本財団助成事業

9月1日より3週連続で実施している「B&G防災拠点」の企画特集。B&G財団で推進している防災拠点の設置及び災害時相互支援体制構築事業(以下、本事業)のこれまでの歩みや今後の展望を紹介していく。

第1回目と第2回目では、主に油圧ショベルと防災倉庫に焦点を当て、実際の事例も取り入れながら事業を紹介してきた。今週がいよいよ第3回目となり、本企画特集の最終回になる。今回は「救助艇」をテーマに、研修で活用されている様子や方法、そして、実際の救助活動で使われた事例を紹介していきたい。

年間を通して行っている防災研修の概要

全国54ヶ所にあるB&G防災拠点では、平時から防災資機材を活用することで、万が一の時でも迅速に対応できる人材を育成することを目的に、油圧ショベルを扱った重機研修や避難所訓練など、年6回以上の研修会が行われている。

研修会は、各自治体で実施する研修会から、本事業実施自治体の代表者たちが1ヵ所に集まって合同で実施する研修会に至るまで、種類と内容も幅広く実施している。まずは、今年7月に福島県南相馬市にて実施した「広域モデル救助艇研修」を紹介したい。
本研修は、各地域や本事業実施自治体にて実施される救助艇研修の内容やプログラムの向上を図ることを目的に実施し、全国53自治体から133名が参加。水害の基本から要救助者の運搬、無線の取扱い等を座学で学んだのち、午後は実技等の屋外研修にて実践的訓練を行う流れで研修内容を構築した。救助時や水害に対する知識を学んだ上で、実際に救助艇を用いて操船及び模擬救助を行い、それら災害や救助に係る学びを深めていった。

  • 浸水家屋からの要救助者搬送訓練

    浸水家屋からの要救助者搬送訓練

  • 災害現場の指揮本部の運用を学んだ

    災害現場の指揮本部の運用を学んだ

研修で学んだことを地元に広げて防災力の向上を図る

この研修をもとに、8月21日、南あわじ市では「令和5年度 B&G防災拠点事業 救助艇拠点研修」を開催した。南あわじ市南淡B&G海洋センター艇庫において、広域消防に勤務する職員を講師に招き、水難救助の種類やロープワーク、要救助者の搬送方法を学んだのち、B&Gインストラクターによる水難者の救助や搬送方法などを実技で学んだ。同研修には市の消防団や、島内からは淡路市・洲本市の職員、警察等、総勢36名が参加した。

同研修は、市の危機管理課が企画し、消防職員という「救助のプロ」とB&Gインストラクターという「水辺のプロ」の双方の資質向上を図ることをねらったプログラム内容となっており、水難救助の研修として非常に質の高い研修となった。

広域消防による要救助者の模擬搬送

広域消防による要救助者の模擬搬送

  • タンカを活用した模擬搬送

    タンカを活用した模擬搬送

  • 救助艇からの要救助者搬送実技

    救助艇からの要救助者搬送実技

実際の災害現場で活用された自治体事例

今年7月に発生した豪雨災害で被害を受けた秋田県男鹿市や昨年度発生した台風14号で被害を受けた宮崎県日向市においては、B&G防災拠点に配備された救助艇が稼働して浸水家屋に取り残された地域住民の救助に役立てられた。河川の氾濫によって住居に取り残された住民を、本事業で配備された救助艇を活用して救助した。

豪雨災害で被災した秋田県男鹿市の救助風景

豪雨災害で被災した秋田県男鹿市の救助風景

このような資機材を活用して地域住民を救助する人材を育成することも、防災拠点事業の重要なプログラムの一つである。
引き続き、各地域の防災拠点の研修の質を高めるため、B&G財団では様々なプログラムを各地に提供し、被災時に対応できる人材および資機材の拡充を図っていきたい。

本事業は、ハード面とソフト面が融合した事業展開が重要な側面をもつ。資機材を配備するだけでなく、平時からそれら資機材を活用した研修を実施し、有事の際の人命救助や被災地の迅速な復旧・復興にあたる人材を育成することで、より強固な地域づくりが図られると考える。年々、災害発生数は増加しているだけでなく、規模も激甚化しており、常日頃からの万全な備えが、地域住民の安心・安全を守ることに繋がっていく。まだまだ整備の途中であるが、災害大国ニッポンの未来を守る取り組みを、地域とともに作り上げていきたい。

B&G財団は、2021年度から自治体と連携し、災害支援に即応できる機材と人材を備えた「防災拠点」を整備し、油圧ショベルとダンプカー、救助艇などの機材を配備すると共に、機材の操作方法と災害対応の研修を受けた人材を育成しています。
 全国の「防災拠点」担当者が、どこの拠点でも同じ器材と手法で災害支援活動ができる体制を整え、平時には「防災拠点」に備えられた段ボールベッドや災害用トイレ、ドローンなどを使用して、地域住民の「防災訓練や避難所運営訓練」を実施し、災害時だけでなく平時も活用される新たな防災拠点を目指します。
 防災拠点は、2021年度第一期の25ヵ所、2022年度第二期29ヵ所が決定しました。

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