2023.11.24 UP 特集第二弾!各拠点でのユニークな取り組み紹介

特集第二弾!各拠点でのユニークな取り組み紹介 
子どもは社会の宝~安心して過ごせる居場所づくりに向けて~

助成事業

子ども第三の居場所の拠点では、拠点独自の様々なユニークな取り組みが行われている。今回は、子ども第三の居場所特集第二弾として、第1回子ども第三の居場所サミットの事例発表を行った岡山県奈義町、岡山県美作市、兵庫県養父市の拠点で展開されている施策や支援を紹介する。

岡山県奈義町の取り組み

子ども第三の居場所「b&gなぎ」内観

子ども第三の居場所「b&gなぎ」内観

岡山県奈義町と言えば、2019年の合計特殊出生率が2.95と全国平均の1.36を大きく上回る「奇跡のまち」として脚光を浴び、岸田首相が視察に訪れたこも記憶に新しい。同町は2012年に「子育て応援宣言の町」を打ち出し、様々な子育て支援策が行われている。子ども第三の居場所も施策の一つである。町の子育て支援等の拠点施設である「なぎチャイルドホーム」に併設し、子ども第三の居場所「b&gなぎ」が開所。それまで産前から未就学児を持つ家庭の子育て支援として、親子向けのサークル活動や、バザーなど様々なイベントが行われている施設であったが、「b&gなぎ」が併設されたことによって幼児だけでなく、小中学生まで支援対象が拡大された。

「b&gなぎ」から生まれた新たな取り組みがある。まずは不登校の親の会である。2か月に一度程度開催しており、不登校の親特有の悩みや、子どもの将来について親同士で話したり、学び合うことで保護者のケアの場となっている。また、不登校児への働きかけとして、マンガ教室、マインクラフトカップなど定期的に開催。これらの取り組みが功を奏し、学校に行けなかった子どもが学校に行けるようになったという事例もあった。
その他に学習支援として、幼稚園の年長児を対象に「チイク」をスタート。言葉遊びや数遊び、読み聞かせなどを行っている。保護者と連携し、小学校での学習に戸惑うことがないよう、子どもたちに学ぶ楽しさを知ってもらい、学習に適応できる力を育んでいる。今後はこの活動を小中学生まで対象を広げ、学習支援を拡充し、学力格差の解消につなげていく予定だ。

親の会

親の会

  • チイク

    チイク

  • マンガ会

    マンガ会

  • マインクラフトカップ

    マインクラフトカップ

岡山県美作市の取り組み

岡山県美作市には英田拠点・作東拠点・大原拠点3つの拠点が存在し、スタッフの相互派遣を行うなど、それぞれの拠点同士が連携し有機的に機能していることが最大の特徴だ。また3拠点のマネージャーが情報交換・共有を行うことでより多くの知見が蓄積され、スタッフのスキルアップに繋がっている。

  • 英田拠点 内観

    英田拠点 内観

  • 作東拠点 外観

    作東拠点 外観

  • 大原拠点 内観

    大原拠点 内観

夏休みの長期休業中には、美作市作東B&G海洋センターで3拠点合同行事が行われており、子どもたちの交流が図られている。カヌーやローボートなどのマリンスポーツを通し自然とふれあい、環境や水辺の安全について学びを深めるとともに、挑戦すること、力を合わせること、物事を最後までやり抜くことを経験させることで、子どもたちの生きる力を育んでいる。その他に英田拠点では、地元ホテルの協力を得て、テーブルマナー講習を実施。基本的な食事マナーや、友達と一緒に食卓を囲んで食事を楽しむことでコミュニケーション能力や相手を思いやることなどを身に着けてもらいたいという拠点スタッフの思いが込められている。

市内に拠点が3つあることで、困難や課題を抱えた子ども等の受け皿が拡大され、網の目がより細かくなり、制度のはざまで支援から漏れてしまっている子どもを救うことができる。また、そういった子どもを見つけ出すことが可能となった。美作市の子ども第三の居場所はこれまで顕在化していなかった福祉的ニーズを把握し、状況に応じて他の支援先につなげる役割も果たしている。

  • ローボート体験

    ローボート体験

  • カヌー体験

    カヌー体験

兵庫県養父市の取り組み

兵庫県養父市は、「中山間農業改革特区」として、国家戦略特別区域の指定を受けている。国家戦略特区とは、大胆な規制緩和により経済活性化の拠点をつくる仕組みである。養父市の提案に基づき国が規制改革を主導し、様々な新しいことに挑戦している地域である。そして令和5年度の市政運営の基本方針の3つの柱に1.デジタル技術の活用、2.子育て環境の充実、3.社会的処方の推進を掲げている。

ほっとステーションkukuna 外観

ほっとステーションkukuna 外観

「子育て環境の充実」施策の一つに子ども第三の居場所が含まれている。子ども第三の居場所「ほっとステーションkukuna」は困難な状況にある小中学生への学習・生活支援、子どもにとって居心地のいい居場所を提供する場として様々な取り組みを行っている。そこでは「デジタル技術の活用」「社会的処方の推進」施策も取り入れられている。

学校、家庭、行政が連携し、地域と協働で子どもの学習や体験活動を支援。地域のボランティアを活用し、生け花教室や調理実習、子ども食堂を実施している。今後も地域人材を活用し、書道教室や卓球教室、音楽教室など、さらに活動の幅を広げていく予定だ。またKDM(慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科)と連携し、パソコンの組み立て教室や3Dプリンターや、メタバースの体験授業を行っているほか、CAT(芸術文化観光専門職大学)の学生が教材を持ち寄り、子どもたち向けに土曜学習教室を実施している。

同市は「ほっとステーションkukuna」を誰ひとり取り残すことなく、一人一人の可能性を広げながら、従来の学校システムの枠にとらわれない学びができる居場所として発展させていくことを目指している。

  • KDMによるデジタル教室

    KDMによるデジタル教室

  • 3Dプリンターを学ぼう!

    3Dプリンターを学ぼう!

  • CATによる土曜学習教室

    CATによる土曜学習教室

今回は3自治体の取り組みを紹介した。そこには拠点、行政、民間企業、地域住民など様々な方々が関わり、子どもたちを支援している姿が見えた。

次回は11月21日、22日に日本財団ビル(東京都・港区)で拠点スタッフやマネージャーなどを対象に実施した子ども第三の居場所フォローアップ研修会を紹介する。

B&G財団は、引き続き子ども第三の居場所の設置自治体を募集しています。ぜひ、お気軽にB&G財団 地方創生部 子ども支援課(TEL:03-6402-5311 mail:kodomo@bgf.or.jpまでお問合せください。ご応募をお待ちしております。

2024年度「子ども第三の居場所」実施自治体を募集!

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