スペシャル わがまち"おもしろ達人"

No. 103 栃木県那須塩原市 「百村の百堂念仏舞」 2016.07.22 UP

郷土芸能名

百村の百堂念仏舞

撮影地:栃木県那須塩原市百村

百村の百堂念仏舞

 百堂捻仏舞は念仏踊りの一種で、起源については、百村地区での何度かの火災のため記録等の焼失で明らかでないものの、「嘉永3年7月吉日新調」(1850)の塁書きのある衣装箱が残つている。また、踊りに使用する鐘の銘には、「延享3年正月吉日」(1746)の文字が残されている。
 かつて盆中に農耕儀礼的なものとして行なわれてきたもので、たくさんのお堂にお参りしてこの芸能を奉納したところからこの名が生まれたと言われる。以前は旧暦7月15日に村のはずれや辻、光徳寺の境内などで舞われていたが、大正2年(1913)上演後は中断。
 しかし、関係者の努力により昭和34年(1959)から翌年にかけ復活し、現在は4月29日に行なわれている。
 光徳寺から出発し、笛の音にあわせて纏を先頭に念仏(梅若)を唱えながら街道を流し、愛宕神社では各配置を整え、舞を奉納する。
 踊りは、念仏と笛の音を伴奏に色彩豊かな衣装をまとつた警護・形振・鐘木切り。太鼓打ちで上演される。この踊りの演者は踊り子(ナリフリ2名。ショウモクキリ4名。太鼓打ち2名)と笛方3名・念仏唄数名。笛のリードで光明遍照。オカザキ・トウトノマイ・綾念仏などの踊りを美しく踊る。演目中実に美しいのは綾念仏で、8人の踊り子が左右に分かれ、あたかも綾をくむように踊るのでつけられた名称である。
復活された芸能であるため一部が欠落しており、現在の演舞は15分程度で終了する。なお、竿頭に楠木正成の人形がついた大マトイが実にみごとである。