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海洋センター:兵庫県旧南淡町に、昭和53年11月設立(体育館、武道館、艇庫)。昭和59年5月、同町に無償譲渡。開設以来、地域のさまざまなスポーツ拠点として利用され、平成17年1月に周辺4町が合併して南あわじ市になってからも積極的な活動を続けている。
指導者会:海洋センター施設の高い利用率を受け、南淡町の時代から海洋センター職員経験者が中心になって施設の活動を支援。こうした経緯を踏まえ、合併後の平成18年に指導者会を発足(近畿ブロック登録第1号)。以来、市長、教育長の理解を得ながら海洋センターのあらゆる事業を支え続けている。
今年の夏、南あわじ市で開催された「アジア国際子ども映画祭」南あわじ市予選会において、「青少年の健全育成に努める財団の賞をぜひ設けたい」と願い、B&G会長賞を設定した中田勝久市長。
平成17年に周辺4町が合併して以来、市政を担い続けている同市長に、海洋センター事業への期待や要望を語っていただきました
。
南あわじ市南淡B&G海洋センターは、指導者会の協力を得ながらさまざまな活動をしていますが、行政としては特にどのような事業展開に注目していますか。
日本のどの地方も少子高齢化の波を受けており、南あわじ市も例外ではありません。しかし、これからの地域を支えていくのは子どもたちですから、なんとかして子どもたちが夢を持って暮せるような地域社会をつくっていかねばなりません。
そこで大きな役割を担うのが、青少年の健全育成を担う海洋センターです。幸いなことに、私たちの海洋センターは従来から指導者会の皆さんが熱心にサポートしているおかげもあって、毎日のように多くの利用で賑わっています。
こうしたなかで、特に私が関心を寄せているのが、親子カヌーや親子キャンプといった親子参加型のイベントです。家族ぐるみの体験で地域社会や自然の大切さを学ぶことができるからです。
「アジア国際子ども映画祭」南あわじ市予選会でB&G会長賞を設定した背景にも、同じような理由があるのでしょうか。
この映画祭は子どもたちが作った作品によって開催されるもので、子ども同士、そして子どもと大人の交流を深める目的があります。また、地区大会からはじまって国際大会まで用意されているので、子どもたちの国際交流も深められます。
ですから、この映画祭を誘致することで子どもたちの将来に対する新たな取り組みができるのではないかと考えました。また、こうした発想はB&G財団の理念に通じるものがあるので賞の設定をお願いしましたが、うれしいことにB&G「親子ふれあいキャンプ」をレポートした子の作品が入賞し、次の予選会に進むことができました。
その作品の内容は、どのようなものですか。
子どもが撮影したものですから映像がブレているところもありますが、父と子がカヌーを一緒に楽しむ光景や、食事をつくるシーンなどが、ごく自然な親子の会話を通じて描かれており、親子で何かを共に体験することの大切さが伝わりました。ですから、こうした体験づくりを熱心に行っている海洋センター事業の必要性を改めて感じました。
そのような活動を支えている指導者会については、どのようにお考えですか。
簡単に言えば、体育館やプールといったスポーツ施設は、指導者が揃っていなければ単なる箱に過ぎません。ですから、指導者会あってこその海洋センターなのではないかと思います。現在、52人の指導者が会に属していますが、1人1人に積極的な気持ちがなければこの数は集まらないと思います。
また、一方で市の係長から部長クラスまでが年に1回、カヌー体験を取り入れた合宿研修を行っているので、職員の誰もが自然体験事業に理解を示しています。資格はないので指導はできませんが、彼らのような管理職でも海洋センターが忙しいときは手伝いに出向きます。
ですから、欲を言えば有資格者の指導者会に加え、忙しいときに手伝うボランティアの応援隊組織ができてもいいのかなと思います。B&G「親子ふれあいキャンプ」の映像作品が入賞したことでも分かるように、海洋センターの事業には映画の題材にしたくなるような感心、感動の場面がたくさんあって、それを支えるスタッフはいくらいても良いと思うからです。
いろいろ貴重なお話、ありがとうございました。
合併以来、海洋センター事業に深い理解を示し、平成20年2月からはB&G全国教育長会議の会長に就任。今年になってからは全国指導者会設立総会に出席するとともに、WSN(ウォーターセーフティー ニッポン)の幹事を務めるなど、さまざまな角度からB&G財団関連事業にご協力いただいている、塚本圭右 南あわじ市教育長に、同市がめざす海洋センター事業への取り組みについて語っていただきました。
塚本教育長は、いろいろな角度からB&G財団事業にご賛同いただいておりますが、その一番の理由をお聞かせください。
B&G財団は、海洋センターを軸にさまざまな体験活動事業を展開されており、私どもの市でも海洋性スポーツを中心に多岐にわたる体験型事業を行っています。思えば、昨今は教室内での教育が主になっており、学校の外に出ていろいろな知識を得る体験が少なくなっています。しかし、人が人として成長していく上では体験しなければ身につかない知識もありますから、海洋センターの事業は欠かせないものであると思います。
また、淡路島の経済は、主に農業、漁業、瓦産業によって支えられてきましたが、高齢化に伴う後継者不足によって農業も漁業も年々衰退しています。ですから、将来を担う子どもたちに島の産業を理解してもらううえでも、地域の自然を体験する活動が大切です。
そこで求められるのが指導者ですが、その点、私たちの海洋センターでは指導者資格を持った市の職員が繁忙期の仕事を手伝う仕組みが定着しているので助かります。と言いますか、このような体験型の事業は役所ぐるみで取り掛からないことには前に進めませんし、子どもが相手となれば十二分な安全対策が必要です。そのため、必要があれば資格のない職員でも手伝いに出掛けます。指導できなくても、子どもたちの安全を見守ることはできるからです。
かつて、川に泳ぎに行けば年長の子どもが年下の子に泳ぎを教えたものですが、いまではなかなかそのような光景を見ることができません。ですから、誰かがその年長の子の役をしなければ、子どもたちは地域の自然から遠のいてしまいます。最近の親は忙しいので、その役はなかなかできませんが、海洋センターの活動であれば、常に指導者がいますから安心です。
人間、水なくしては生きられないのですから、水と親しむことや、水の怖さを知ることが必要です。また、そのような経験を地域のなかで積むことによって、島を支える農業や漁業への理解も深まります。
水への理解を深めるという意味では、塚本教育長がWSNの幹事に就任されて組織の活動に尽力されていることにつながります。
WSNはすばらしい取り組みだと思います。危ない水場に標識を立てるだけではなく、なぜ危険なのか、どうしたら危険に陥るのかといった知恵を、地域の子どもたちに身につけてもらう努力が必要です。
ですから、私としてはWSNのNは地域のネットワークという意味も含まれていると思っています。つまり、かつては子どもたちが危ない場所に近寄ったら、地域の人たちが声を掛けて注意したものです。言い換えれば、地域のネットワークによって子どもたちが見守られていたわけです。
いまは、うかつに声を掛けたら不審者扱いされてしまう世の中になってしまったので難しい面もありますが、いろいろ手を尽くしながら昔のように子どもたちを見守る地域のネットワークができたらいいなと思います。
人を信じるなという教育は一番手っ取り早い教育ですが、水は危ないから近づくなという教えと一緒で、それだけで十分な安心は得られません。ですから、海洋センターやWSN の事業を通じて、少しずつでも水と親しむ子どもたちの安全を守る社会を築いていきたいと思います。
いろいろなお話し、ありがとうございました。