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B&Gなごや海洋クラブ:
昭和62年設立の、なごやジュニアヨットクラブを母体に、平成9年開設。活動拠点は、名古屋港少年少女ヨットトレーニングセンター。二村種義名誉会長ほか複数のベテランセーラーが指導にあたり、現在の会員は親子合わせて約30人。B&G OP級ヨット大会 東日本大会のホストクラブとしても知られている。
「おはよう!」のあいさつを大切にしながら、人間教育に力を入れてきたB&Gなごや海洋クラブ。一時は30人を超える会員が集まって賑やかな活動が展開されていましたが、5〜6年ほど前から会員の減少が目につくようになりました。
「現在の会員は10人ほどですから、多いときに比べて1/3程度の規模になりました。クラブを運営するためには、それなりに資金が必要ですから、会員の減少は頭を悩ませます」
そう語る、クラブ名誉会長の二村さん。創設以来、長年にわたって指導にあたってきただけに、子どもたちの海離れ傾向を心配そうに見守っています。
「この理由はいろいろ考えられますが、現在、親の世代になっている人たちを見ると、海や水を怖がる人が多いように感じます。彼らは『危険だから水に近寄ってはいけない』と言われて育ってきた世代のようです」
こうした状況を乗り越えようと、クラブでは『けっして海は怖くありません。いままでに大きな事故も起きていません』といって、親の世代の理解を求めながら会員募集をするそうですが、期待するほどの数はなかなか集まらないそうです。
「明るい兆しがないわけではありません。ショッピングモールが併設された賑やかなマリーナでOPヨットの模擬体験会を開くと50〜60人ほどの親子がすぐに集まり、皆、体験した後は喜んで帰ります。ですから、きっかけの工夫が必要なのだと思います」
では、なぜ賑やかな場所で人が集まるのでしょうか。おそらく、人がたくさんいて明るい雰囲気なので、遊園地の乗り物に近い感覚を持つのではないかということです。
そのためか、体験会に集まった親子にクラブ員募集のビラを渡しても、ほとんど関心を持ってくれないそうです。遊園地のように、そのとき楽しむ乗り物ならいいのですが、クラブに入って継続的に乗ることまでは思いが至らないようなのです。その垣根をどのように乗り越えて会員を集めていくかが課題になっているそうです。
水を怖がる親の世代の広がりや、子どもたちの海離れを心配する二村さんですが、今年になって心強い援軍が現れました。
「先に述べたように、海や水辺で遊ぶことの楽しさを広く知ってもらうためには、人を呼び込むための工夫が必要です。その点、さまざまなカリキュラムを通じて『水の事故ゼロ運動』を展開するウォーターセーフティー ニッポンという組織ができたことをうれしく思います。
『水の事故ゼロ運動』による水辺の安全講習会や各種イベントを通じて、水を身近に感じるようになった人が増えれば、自ずとヨットなどのマリンスポーツへの関心も高まることでしょう」
ウォーターセーフティー ニッポンの主旨に賛同したB&Gなごや海洋クラブでも、さっそく今年6月に「水の事故ゼロ運動」体験教室を開催。近隣の小中学生、および保護者など約50人の参加者を集め、身近な物を使った救助法や心肺蘇生法、ヨットの試乗やバナナボート体験など、全8カリキュラムにおよぶ内容を実施しました。
「初めての開催だったので手探りの部分も多かったですが、水辺の安全に関する意識の向上や、海に出て遊ぶことの楽しさを多くの親子に体験してもらえたと思います。人を呼び込むための工夫が必要だと思っていたところに、『水の事故ゼロ運動』という願ってもないキャンペーンができました」
8つもカリキュラムを組んだため準備に追われたと振り返るのは、クラブ副会長の水谷さん。次回はもう少し数を減らして、じっくり対応したいと語っていました。
「今回はちょっと欲張りすぎて大変でしたね(笑)。来年は、目標を絞って内容を整理したたいと思います。この事業は継続しなければ意味がありません。10年、20年と続けて始めて成果が見えてくるのではないかと思います」
今回の「水の事故ゼロ運動」体験教室には、地元のテレビ局も取材に来てくれました。クラブの皆さんすべてが、この事業の展開に大きな期待を寄せているそうです。
「水の事故ゼロ運動」体験教室は、地域の子どもたちを対象にしていますが、加えて海洋センター・クラブとの交流も深めていきたいと、二村さんは語ります。
「B&G OP級ヨット大会 東日本大会の運営を行うようになってから、初心者対象のCクラスに海のない県の海洋センター・クラブの子どもたちが参加してくれるようになりました。少しづつではありますが、他の海洋センター・クラブとの交流が進んでいます。
思えば、私たちのクラブは交通の便の良い名古屋にあるので、ここを拠点により多くの仲間とヨットで交流を深めていけたらいいなと思います。
また、私たちは東日本大会しか知らないので、いつかは九州に遠征して西日本大会にも参加してみたいですね。九州の親御さんたちもレースの夜には盛り上がると聞いていますので、大人同士の交流も楽しみです(笑)」
九州遠征が実現する日を楽しみにしているという二村さん。そのときのために、できるだけたくさんの会員を集めておきたいと胸を膨らませていました。(※続きます)